第25話 あまねの決意! 順風満帆……? な昂劫チーム

「……そういう事だったんですか。それじゃ、俺が戦ったアムニルスは……」


 2日後。俺のスマホには、かかってきたら少し身構えてしまう人からの着信があった。この人からの電話は、高確率で執行官のアルバイト話だ。


 だがそれは杞憂に終わり、俺に新たな情報を伝えるものだった。


「そうですか……。分かりました。ええ、助かります。では……」


 思いつきで余計なお願いごとをされる前に、さっさと電話を切る。そして今の話を思い出していた。


「八嘉良助……元社長の復讐、か……」


 昨日、警察機構に映像レターが届いたらしい。そこには八嘉良助という男性が、自分が行った犯罪行為について語っていた。


 娘をレイプされ、会社を乗っ取られた。そして島崎家を認める翠桜皇国も同罪であるとし、秘密裏に調達したアムニルスを街に放ったと。


「きっと自分の映像レターが届くころには、街に甚大な被害が出ていると思っていたんだろうなぁ……」


 警察機構の調べで、島崎の死亡も確認できたらしい。島崎家については、これからしっかり調査の手が入るそうだ。


 もし元社長の言う事が本当だった場合。家には懲罰金の請求と、連座で親族が罪に問われるだろう。同じ犯罪でも、一般人より術士の方が罪は大きいからな。だが謎も多い。


 どうやったらアムニルスなんていう危険生物を、海外から都合し。それを街中まで運ぶ事ができたのか。


 術士でない人間に、そんな事ができるとは思えない。ふとこの間、才葉が話していた事を思い出す。


「蒼月会……それに海外の犯罪魔術師……か……」


 そう言えばこの間も、蒼月会絡みのニュースでネットは盛り上がっていたし、意外と無関係とも言えないのかも知れない。


 ま、ああいう凶悪犯罪者は執行官を始め、専門の部署が相手をするんだ。俺たちが関わることじゃないな。


「さ、て……。今日も働きますかっと」





 それからというもの、俺の隊は順調そのものだった。たまに魔獣が出るが、4人はもう慣れたのか、問題なく対処できている。しかし。


「いやぁ。みんな魔獣課の仕事にも随分と慣れてきたんじゃないか? この間も発生したクラス3の魔獣、いちころだっただろ?」


「そりゃそうですよぅ。何せ私以外、3人とももの凄い魔力を持っているんですからぁ!」


「…………」

 

 そう。俺があまねと関係を持った事実はすぐに発覚した。当然だ。いきなり保有する魔力が桁外れになったんだから。


 そして俺との関係を続ける限り、一度上昇した魔力が元に戻る事はない。多分10日も何もしなければ、元に戻るとは思うんだが……。


 そんなに長い間、互いに想い合う若い男女がほぼ毎日顔を合わせているのに、何もせずに過ごす……なんて事はあり得なかった。


 あまねにしても、あれから改めてベッドでしっかりと抱いているのだ。ちなみにベッドでよがるミニマムボディは、めちゃくちゃ最高だった。


「いや、それについてはちゃんと説明しただろう……」


 あまねがアムニルス被害に合った事は、世間には基本的に伏せている。だがあまねと話し合い、3人には共有することになったのだ。その方がいろいろ理解が早いだろうと。


 また状況によっては、あまねは皇女みつばにも共有するとの事だった。


「聞きましたけどぉ。確かにアムニルス被害は仕方がないとはいえ……うぅ~ん」


「ま、まぁまぁ」


「どうせ変態お兄ちゃんの事です。良い口実ができたと、嬉々としてあまねちゃんのロリボディを楽しんだんでしょう?」


「当たり前だろ! ……あ、いや。違う。魅力的な女の子を、いやいや抱く男なんていないって意味だ。相手に失礼だからな!」


 しずくはやや困った顔で、めぐみは半眼で。そしてあまねは無表情で俺を見てくる。いや、どうしろと!?


「そ、そうそう。明日からしばらく、俺は別件があるから。以前の様に、俺の代理として陽介がサポートに入る。しばらくはあいつの指示に従ってくれ」


 俺の話に4人は驚く。めぐみが何かに気付いた様に声をあげた。


「もしかして。執行官のお仕事……?」 


「まぁ詳細は言えないんだが。それで察してくれ」


 めぐみの言う通り、俺はまた面倒なアルバイトを引き受ける事になった。今回は強制ではなかったのだが、手伝えば50万出すと言われたのだ。


 将来に向けて貯金がしたい俺は、これを承諾する事にした。何せどうにか3人の嫁を娶ろうというのだから。


 ま、ちょっとした捜査だし、いつもよりは手軽な仕事だろう。面倒事なら強制アルバイトになっていたはずだからな。


「まぁずっと外出している訳じゃないし、大体はここにいるから。直接指揮を執らなくても、ちょくちょく顔は合わせると思うよ」


「そうですか……よかった……」


 しずくが安心した様に頷く。なにそれ、めっちゃ可愛いんですけど。


「あ、お兄ちゃん。私も明日から、しばらくお休みするから」


「そうなの?」


「うん。最後の仕事で、いろいろイベントが多くて忙しいの」

 

 現在も芸能活動を続けるかぐやだが、今月いっぱいで引退する予定だった。


 元々家からは芸能活動するのも中等部まで、高等部に上がる時には辞める事を条件に、許可されていたらしい。緩いのか厳しいのか分からんな。


 かぐやが中等部を卒業するのは、まだまだ先の話だ。だがその人気は今も上昇中で、このままでは数年先までスケジュール管理をしなければならなくなるらしい。


 さすがにそこまで長期を見越した活動はできないので、これ以上忙しくなる前に引退を決意したとの事だった。


「オリジナルソングの収録にぃ~、握手会でしょ、それに地域イベントの参加と、歌番組の出演。卒業イベントと称して、いっぱい予定組まれちゃって。もしかしたら今月いっぱいは、こっちに来られないかも……」


「そうか……。雑誌やテレビでかぐやが見れなくなるのも寂しいけど、こればかりは仕方ないな」


 しかしオリジナルソングか。これは是非入手しておかないとな……!





 そしてかぐやが芸能活動で、全員と行動ができなくなってしばらく経った頃。かぐやを除く3人はある日、校舎の屋上で昼休憩を取っていた。


「……で、先週は何回?」


「わたしは……3回です……」


「え……わたしは2回なんだけど……。あまねは?」


「2回。めぐみと一緒」


 3人は先週、昂劫と何回したかを話していた。みんな何だかんだで、他の2人が自分と比べて多く行為をしているのか、あるいは少ないのか気になるのだ。


「先週はしずくが1回多かったのね……。まぁその前は私が多かったし、タイミングかしら?」


「でしょうね。先週は私、毎日出勤していましたし……」


「隊長との行為。すごく気持ち良いし、魔力もこんなに上がった。良い事尽くし」


「え、ええ。そうね……」

 

 見た目も幼いあまねの口からしれっと睦の話が出て、めぐみは少し面食らう。だがあまねは初回が催淫効果もあったため、行為時には2人よりも強い快感を感じられていた。


 行為に対し、身体が強制的に一定以上開発された状態なのだ。また生来の好奇心も手伝い、あまねは覚えたばかりの行為に興味津々だった。


「しずく。しずくはどんな体位が好き?」


「え!? たた、体位、ですか!?」


 しずくは顔を真っ赤にする。だがめぐみも興味を持った様子だった。


「私も気になるわ。どうなの、しずく」


「え、ええ!? そ、その。う、後ろから……力強く突かれるのが、好き……です……」


 しずくは恥ずかしがりながらも、何だかんだで答えてしまう。


 だがそれを聞いて、2人も昂劫に後ろから、自分が後ろからされている時の事を思い出した。


「そ……そう、ね。確かに、悪くはない……よね」


「うん。隊長、ボクとする時はいつも足が地面に付かない位置まで持ち上げて、容赦なく突いてくる」


「そうなの!?」


 あまねは4人の中で一番小柄だ。そのため立ちバックの時は、昂劫はいつもその小さな身体を持ち上げていた。そうして執拗に最奥部を突くのだ。


「めぐみは?」


「え!? わたしも!? ……そ、そう、ね。座位……かしら。一番密着できるというか……」


「たしかに……」


 特に座位は密着度合に加えて、キスもしやすい。そして行為中も相手に抱きつきやすく、全身で昂劫を感じる事ができるという点で、めぐみが好きな体位だった。


「そういうあまねはどうなのよ?」


「……駅弁。初めての体位で思い出。あと。すごく気持ちいい」


「……そ、そう」


 しずくもめぐみも経験があるが、あれは男性側も体力がいる。その点、あまねは小柄で持ち上げやすく、やりやすいんだろうなぁと思った。


 そしてあまね自身も好きなので、需要と供給がマッチしている。


「な、なんだか私たち。魔獣課に来てから、どんどんエッチになっていってるような……」


「う……うん。いいのかな……」


「ボクはもっと気持ちよくなりたいし、隊長にも気持ちよくなってほしい。それに。将来隊長の赤ちゃんを産んであげたい」


「そ、それは私もよ」


「わたしも……」


 3人とも昂劫の意思も確認しているし、家の都合という障害はあるが、将来は同じ夫を持つという意識が芽生えつつあった。


「……翠桜皇国で一番多く妻を娶った人って、何人くらいと結婚したのかしら?」


「何百年も昔の記録ですけど、確か75人だったと……」


「75人!? ……さすがにかずしげさんはそんなに増やさないよね?」


「多分……」


 昂劫自身、妻を多く持つのはもはや仕方がないと、3人とも考えている。


 おそらく全体的な能力はSランク相当なのだ。男性でそこまで高い実力を持つ術士など、翠桜皇国には過去1人もいない。


 だがそのポテンシャルを考えると、妻が3人で終わるかは微妙なところだった。


「……いいわ。たとえ何が有っても、私は隊長を……かずしげさんを支えるって決めているから」


「わたしもです」


「ボクも。……だから。そろそろ覚悟を決めるよ」


「え?」


 あまねは何かを決意した目で頷く。


「みつばちゃんに……昂劫隊長の事が好きなみつばちゃんに、ボクとの関係を話してくるよ。何だか隠している様で申し訳ないんだ」

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