第24話 あまねを救え! 男昂劫和重の決意

「ふぅ……」


 どうにかアムニルスを倒した。しかし流石はあまねの術式。単独で戦闘するにしても十分強力だ。


 どうしてこんなところにアムニルスがいたのか。魔獣災害発生アラームも鳴っていないのに。気になる点は多いが、今はもう一つやらなくてはならない事がある。


「隊長……」


「おうあまね。終わったぜ。怪我はないか?」


 あまねは股間を手で押さえながら、ゆっくりと首を横に振る。


「どうした。どこか痛むのか?」


「もう少しで……触手に、初めてを……奪われるところだった……」


「ああ……」


「お尻とお股は大丈夫だったけど……ボク。口の中にあいつの触手が……」


 ……なるほど。直接飲まされたか。だがどれだけアムニルスの分泌液の影響を受けようが、解毒する術はある。


 それも方法は簡単だし、副作用も後遺症も出ない。


「ボクのお口……。汚れちゃったかも……」


 俺はあまねの直ぐ側まで移動する。そして膝を曲げて視線を合わせた。


「どれどれ……よく見せてみ?」


「ん……」


 あまねも僅かに前かがみになる。そして。俺はその唇を再び貪った。


「ん……っ!? んふ、んちゅ……んは……」


 俺はあまねの口腔内を隙間なく舐めていくが、あまねは先ほど同様、積極的に俺に舌を絡めてくる。それに俺の後頭部に手を回し、角度を変えながら唇を強くこすり合わせてきた。


 催淫効果が効いているとはいえ、これは俺も興奮するな……! 場所がこんなビルじゃなければ、なお良しなんだが。


「んふ……っ、んく……んはぁ!」


 俺との唾液交換に夢中になり、息するのも忘れていたらしい。あまねは俺から唇を離すと、呼吸を整え始めた。


「これであまねの口、綺麗になったな」


「……え?」


「俺が綺麗に舐めとっておいたからよ! 男は女の身体を舐めて、綺麗にするのが仕事だからな!」


 股とかな! しかしあまね、股間から体液が止まらないな。


 戦闘スーツの素材は水を弾くが、関係無くどんどん隙間から漏れ出てきている。もう太ももがびしょびしょだ。


「……つらいか?」


「うん。せつない。今のでもっとせつなくなった」


「そうか……。あまね。アムニルスの分泌液を解毒する方法なんだが……」


「知ってる。男性がボクを抱けばいいんでしょ」


 ……知っていたか。なら話は早い……が。あまねも中等部に通う学園生だ。クラスの男子で好きな子とかいたら、申し訳ないな……。


 その場合はどうにか、そのクラスの男子を見つけて……。


「たいちょぉ……お願い……。ボクを、助けてぇ……」


 あまねは俺に抱きつき、身体を擦り付けてきた。そして懇願する様に見上げてくる。


「ボク、隊長以外の男の人に抱かれるなんて、嫌だよぉ……。隊長がいい……このまま家に帰ったら、誰があてがわれるか……」


「…………っ!」


 あまねの甘える様な声に、俺の理性も限界だった。正直、あまねの股間から漂う芳醇な匂いに、脳はとっくにキているのだ。


 俺のモノも早くこの幼い肢体を貪りたい、蹂躙したいと主張している。俺は自分の欲望と、あまねの希望に正直になろうと決めた。


「分かった。俺もあまねを抱きたい」


「隊長……!」


「でも場所がな……」


 せめて柔らかいベッドでもないかな。あまねの初めてだし。と思っていたが、あまねは俺のズボンのチャックに手をかける。


「今、ここで。ボクを抱いてほしい」


「……いいのか?」


「うん。ボク、もう。我慢できないよぉ……」


 …………! くそ、かわいい……! 


 

◼️



「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー」


 結局2回もヤった。一度だけでは解毒が甘かったらしく、まだ催淫の影響が残っていたのだ。


「どうだ。落ち着いたか」


「う……ん。たぶん……」


 あまねはフラフラな足取りだったので、こけない様に俺にもたれかけさせる。場所がこんなところでなければ、どこかで横にさせてやるんだが。


「……こんなに……凄いんだね」


「……そうか?」


「うん……。めぐみがあんなに気持ちよさそうに、夢中になっていたのも分かる」


 そういやあまねには、がっつり見られていたんだったな……! 


 まぁあまねに関しては、催淫効果もあったと思うが。しかしこれであまねも、俺の呪いを受けた事になるのか。


「ボク……もっと隊長のこと知りたい。これからもいっぱいシしたい」


「……あまね」


あまねはいつも通り表情が乏しい。だがその声色には、しっかりと感情がのっていた。


「それって……俺と……。一緒になりたいってことか……?」


「うん。ボク、隊長のお嫁さんになるよ。だめ……かな……?」


 あまねは甘える様に、上目遣いで俺を見てくる。


 く……かわいい……! 


 表情が乏しいと言っても、あまねにはしっかりと感情があるし、顔も可愛い。それに。おまんこはとても感情表現豊かだったし、行為の時はいろんな顔を見せてくれた。そのギャップがまた堪らない。


「……レディに恥をかかせてすまない。あまね。俺からもお願いするよ。どうか俺の側にいてほしい」


「うん……!」


「……プロポーズするにしても、場所もムードもへったくれもないな。すまない。またどこかで仕切り直させてくれ」


「楽しみにしてる」


 まぁ仕方ない……というか。あまねを抱くと決めた時に考えた事だ。責任は取ると。


 あまねと関係を持ったのはアムニルスの影響だし、ああなっていた以上、誰かがあまねとする必要があった。


 まだ中等部通いの学園生を、しょうがないとはいえ、俺はしっかりと抱いたのだ。


 男として、責任は取らねばならないだろう。


(しずくとめぐみ、2人を娶るって覚悟を決めたからかな……)


 多分その影響もあり、もう2人が3人になっても同じだろうと、結婚へのハードルが下がったんだと思う。


 しかし抱いたばかりの女の子に、ここまで情が移るなんてな。もう俺はあまねが、誰か別の男と結ばれるなんて考えられない。誰にも渡したくない。


「うんしょ……」


 あまねはおしっこをする様にしゃがみ込むと、そこから股に指を入れて体液を床に出していく。


 何だかいけないところを見ている様で、めっちゃエロい。


「たくさん出る……身体もドロドロ……」


「ああ。身体は直ぐに綺麗にしてやるよ」


「え……?」


 そう言うと俺はあまねに仙術をかける。たちまちあまねの身体は、風呂上りの様に綺麗になった。


「これは……!? これも、隊長の能力……?」


「ああ。まぁなんだ。俺の力については、今度時間を取って説明するよ」


「……! 本当に……!?」


「本当だ。それにもう気付いているんだろ? 俺があまねの術式を使っていたって」


 複写させてくれと同意を取った上で、実際目の前で使って見せたんだ。


 あまねは術に対して精通しているし、かしこい子だ。俺が何故、皇女みつばの術式を使えたのか。その理由にも合点がいっているだろう。まぁ原理仕組みまでは分からないだろうがな。


「それより、だ。どうしてこんなところにアムニルスなんていたんだ? こいつは皇国では発生した記録がない、海外限定魔獣のはず……」


「うん。それに。魔獣災害が発生する時に見られる、独特な魔力の淀みも観測されなかった」


 そう。魔獣がこちらの世界に発生する際、魔力の淀みが計測される。それらは確認された時点で魔獣災害発生アラームが鳴るし、対応する魔獣課に情報が回される。


 だが今回は、その魔力の淀みが観測されなかったのだ。


「過去に討ち漏らしていた魔獣……? いや、それでもアムニルスがいるってのはやはりおかしい。こいつは厄介さで言うと、そこそこ上位にくる魔獣だしな。それに……」


 フロアをよく見渡してみる。所々ではあるが、何者かが争った形跡と、血痕が確認できる。間違いなくここで何か争いがあった。


「そういやあまね。あまねはどうしてここに?」


 あまねは戦闘スーツの股間部を、元の位置に戻していた。

 

 さっきまであの何も知らなさそうな身体と激しく愛し合っていた……。そう思うと、グッとくるものがあるな。


「うん。何か術が発動した様な……妙な魔力の気配を感じたんだ」


「魔力の気配……」


 あまねは魔力の流れが見える魔眼を持っているし、魔力を感じれる親和性も高い方だろう。だからこそ、一度感じた違和感を放っておけなかったに違いない。  


 あまねは改めて事の経緯を話してくれた。


「で、ここに来たらすでにアムニルスが居たと」


「うん。油断しちゃったけど……」


 アムニルスは男を捕食していたらしい。多分魔力を持たない者だろう。多少でも魔力を持っていれば、催淫分泌液や体液補充の餌食だっただろうからな。


「気になるが、俺たちではこれ以上調べようがないな……」


「隊長は、どうしてここに? ボク、ここに行くって言ってなかったのに」


「ああ、それか……。まぁそれもおいおい話すよ。とにかく今は、俺とあまねで口裏を合わせないと」


「え……?」


 あまねは何の事だろうと可愛らしく首を傾ける。これもまたかわいい……!


「アムニルスだよ。こいつは俺が発見し、倒した。あまねは近くを巡回していただけ。こういうシナリオで行こう」


「あ……そっか。ん、分かった」


 もしあまねがアムニルスと戦ったと知られれば。当然、その影響を疑う者が出てくるだろう。


 まだ中等部に通う学園生が、魔獣の被害に合い、解毒のために男とまぐわったなんて知れたら。これからのあまねの長い術士人生に、影を差す事になる。


 それに真咲家も名家だ。誰かが意図してあれやこれやと噂をばら撒き、その評判に泥を付けようとするかもしれない。


 なら初めから、そもそもあまねはアムニルスと遭遇していなかった。このシナリオが一番単純で分かりやすい。


「隊長……ありがとう」


「いいってことよ。未来の嫁さんのためだからな、これくらいはな」


「ん……」


 やはりあまねは無表情だったが、その口角が普段よりも上がっている事に俺は気づいた。





『いやー、助かったよ! ありがとな、昂劫!』


「ああ」


 その日の夜。俺は事務所兼ほぼ我が家と化したマンションの一室で、インスタントラーメンを食べながら女性と電話をしていた。


 電話の相手は隣の地区の魔獣課隊長だ。なんだかんだ付き合いが長い奴でもある。


『報告見たぜぇ! まっさかうちのエリアで、アムニルスが出るなんてなぁ!』


「たまたま俺が通りかかって良かったよ。詳しい調査は警察機構任せになるが……」


 しかしこいつ。初対面の時から話し方が男っぽいんだよなぁ。見た目は美人なんだが。


『いつかこの礼はちゃんとさせてくれよ! そうだ、お前も隊員を連れて旅行に行ったらどうだ? お前のエリアは小さいし、その間はうちでカバーしてやるよ!』


「いやいや。うちは現役の女学園生4人だし。これで旅行に行ったらどんな噂が立つか……」


『噂なんざ好き放題に流させておけって! 私も今回、女1人で旅行に行ったんだぜ? もう既にいろんな噂が流れているよ!』


 そう。こいつの課は隊長以外、全員男なのだ。しかも若くて美形揃いときている。そのせいもあり、確かに根も葉もない噂が流れていた。


『ま、事実なんだけどな!』



「事実なのかよ!?」


 おいおい、逆ハーレムを満喫していたのかよ!? 


 ちなみにしずくとめぐみを娶ろうと決めた時、俺は過去の魔獣課の隊長で、隊員と結婚したケースがあるのか調べてみた。 


 結果は割とあった。まぁ家同士の繋がり的にも、釣り合いが取れていたんだろうけど。


『お前んところはお嬢さまばかりだけどよぉ! で、どうなんだ? もう全員とヤったのか?』


「人聞きの悪い事を聞くんじゃねぇ!」


 4人中3人ともう肉体関係を結んでいるなんて、言える訳がない……! しかも全員現役の学園生だ……!


『とにかくだ、最近は蒼月会の動きも活発になっているっていうし。海外の犯罪魔術師が翠桜皇国に入り込んでいるって噂もあるんだ。お前も気を付けろよ? ただでさえそっちは、お前以外は足手まといなんだからよ』


「お、おお……」


 しずくもめぐみもあまねも、俺とのセックスで割と強力な魔力を持っているんだが……。


 まぁわざわざ訂正する事もないので、聞き流しておく。


『じゃあな。おやすみ~』


「ああ。またな、才葉」


 そうして俺は隣の魔獣課の隊長、才葉蓮華との通話を終えた。

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