第10話 夜の修練場! 井出句の狙い

 人気のない夜の由良坂学園にめぐみは来ていた。更衣室へと入り、そこで修練着へと着替える。


「よい……しょっと……」


 制服を脱ぎ、ブラを外し、ショーツも脱いでいく。一糸まとわぬ姿になり、乳首の上からニップレスを貼る。そこから修練着へと手をかける。


 そしてレオタード調のピッチリした薄着に足を通し、独特な圧迫感に耐えながら袖に腕を通した。


 着替えを終えて修練場へと向かう。井出句馬句郎は既に中で待っていた。


「おぉう。よく来たなぁ、めぐみぃ。待ってたぞぉ」


 井出句馬句郎は昼と同じく、ねっとりとした視線をめぐみに這わせてくる。思わず鳥肌が立ちそうになるが、めぐみはグッとこらえた。


「井出句……先生。お待たせしました。それで。井出句家に伝わる秘伝というのは……?」


「まぁ待て。まずは準備体操からだ。めぐみぃ、こっちに来い」


「…………」


 めぐみは言われた通り、井出句馬句郎の前まで移動する。


 目の前の男が自分の股間と胸に視線を集中させているのは分かるが、相手は仮にも次期井出句家当主。めぐみは文句を言わずに耐えた。


「まずはお前の魔力に対する親和性を向上させる。こいつを使ってな……」


 そういうと井出句馬句郎は懐から瓶を取り出した。中には何かの液体が入っている。


「先生。それは……?」


「ぐふふ。これは井出句家に伝わる秘伝薬の1つだ。めぐみぃ、ここでストレッチを始めろぉ。終わったらお前にこれを塗ってやるぅ」


「……! け、結構です……! 自分でやりますから……!」


 男に自分の身体が触れられるなんて、考えたくもない。だが井出句馬句郎は、そんなめぐみの考えを許さなかった。


「あぁん!? なぁんで井出句家に何の所以もないお前に、秘伝薬を触れさせなきゃならんのだぁ!? お前に盗られ、成分解析されるリスクを俺に踏めってのか、あぁん!?」


「…………っ!!」


「それともなんだ。せっかくこんな時間に、我が家の秘伝の魔力向上トレーニングを受けるために来たのに、今さら帰るってのかぁ? どうなんだ、めぐみぃ!」


 抵抗感も嫌悪感もある。このまま帰ろうかとも悩む。


 だが帰ったところで、しずくとの差が埋まる訳ではないのだ。しずくと昂劫の関係が続く限り、今の状況は変わらない。一生。


「……わかり……まし、た……」


「最初からそう言えばいいんだよぉ。それじゃあめぐみぃ。始めろぉ」


「…………」


 めぐみは言われた通りに準備運動を始める。腰を曲げ、腕と足を伸ばす基本ストレッチだ。


 そして井出句馬句郎は両手に液体を馴染ませると、準備運動をするめぐみの真正面に立ちながら、その動きをつぶさに見つめていた。


「ぐふふぅ。よぉく柔軟しておけよぉ。この後は結構ハードだからなぁ」


 井出句馬句郎は明らかに、性的な目でめぐみの柔軟を見ている。だがめぐみはこれにも何も言わず、ただ言われた通りにストレッチをこなしていった。


「よぉし、いいぞぉ。めぐみぃ、シューズを脱いでマットの上に立てぇ」


「……はい」


 めぐみは修練着のシューズを脱ぐと、生足でマットの上へと移動する。気のせいか、普段使っているマットよりも硬い気がした。それに見た目も違う。


「よし、ジッとしてろよぉ。しっかり塗ってやるからなぁ」


 そう言うと井出句馬句郎はめぐみの右腕を取る。そして指先に自分の指を絡め、ねっとりと謎の液体を塗っていく。


(き、気持ち悪い……っ!!)


 井出句馬句郎はそのまま右腕全体を軽く揉みながら液体を塗ると、今度は左腕にも同じ様に塗っていく。


 めぐみは思わず足が出そうになるのを、必死に抑えながらされるがままになっていた。


「よぉし、次は足だぁ。めぐみぃ、ここで仰向けになれぇ」


「え……」


「どうしたぁ? まだ秘伝の準備段階だぞぉ? 俺もいそがしいんだ、さっさと横にならんかぁ」


「…………!」


 もうやけくそだ。めぐみは井出句馬句郎に言われた通り、マットに仰向けになる。井出句馬句郎はめぐみの足元に移動すると、自分も座り込む。そして。


「な……!!」


 めぐみはてっきり、腕と同じ要領で足も塗られると思っていた。しかし井出句馬句郎はめぐみの両足首を掴むと、そのまま股をがばっと大きく開けさせたのだ。


 今、自分の処女まんこは薄い修練着越しに、井出句馬句郎の目の前にさらされている。


「この……!」


 これには堪らず、めぐみも手……いや、足が出た。半ば反射的に掴まれた足首を動かし、井出句馬句郎の顔面に蹴りを入れる。


「うごぉ!?」


 まさか足が飛んでくるとは想像していなかったのか、井出句馬句郎はまともにめぐみの足蹴りを受ける。そしてめぐみは、仮にも指導役に暴力を振るった事を自覚し始めた。


「あ……」


「めぐみぃ……! お前、よくもやりやがったなぁ!?」


 やってしまった。井出句家が正式に伊智倉家に抗議してくる可能性もある。だが、それでも無理なものは無理だった。


「あ、あなたが、いきなりあんな事をするからでしょう! 普通に塗ればいいものを、どうしてあんな……!」


「うるせぇ! 俺は今日、お前をヤるつもりでここに来たんだよぉ! せっかく今からぶち込んでやろうと思ったのに、俺の滾りに水を差しやがってぇ……!」


「え……」


 井出句馬句郎が何を言ったのか、めぐみは一瞬理解できなかった。


「あ、あなた、な、何を……?」


「いつもお前の身体を見て、いつヤってやろうかずっと考えていたんだぜぇ? 何ならお前も期待して、ここに来たんじゃねぇのか、あぁ!?」


「そ……! そんな訳、ないでしょ……! あなた、正気……!? 私に手をだせば、あなただってただでは……!」


「貧乏伊智倉が何をお高くとまってやがる! 表に出たら出たで、俺がお前を娶れば済む話だぁ! お前の親に借金を肩代わりしてやるって言ってなぁ!」


「…………!!」


 伊智倉家は先代当主が作った借金があり、井出句馬句郎の言う通り、名門家系ながら抱えている負債は大きかった。一方で、井出句家は資産家としても知られている。


「せ、先生も結婚なされているでしょう……!」


「おお、お前で10人目だなぁ! 安心しろ、俺もこんなに若い妻を娶るんだ! 毎晩可愛がってやるよぉ!」


 そう言うと井出句馬句郎はズボンを脱ぐ。


「この……!」


 もはや話は通じない。この男はここで倒す。そう判断し、めぐみは攻撃術を発動させようとして。


「辰雷」


 井出句馬句郎が一言、呪文を唱える。その瞬間、めぐみの両腕と両足首に電撃が走った。


「きゃあ!」


 全身がビクリと震え、固いマットに倒れ込む。


「な、なに、が……」


「ぐふふぃ~。さっきの液体なぁ。ありゃ俺の血液をベースに作った呪具だぁ。俺の呪文一つで、お前に電撃を与える事ができるのさぁ!」


「そ、んな……!」


 これで井出句馬句郎が、初めからめぐみの魔力トレーニングを行う気はなかった事が確定する。


「安心しなぁ。ちゃぁんとスマホで録画しておいてやるからよぉ。それをばらまかれたくなければ、お前はこれからの学園生活において、俺からの呼び出しには直ぐに答えろよぉ?」


「だ、だれ、が……!」


「辰雷」


「きゃああああ!」


 再び身体に電撃が走る。電撃は意識を失うほどのものではなかったが、術の完成を阻むのに十分であった。


「ふん、いつまでそんな態度でいられるかなぁ? まぁいざガキを孕んだら、そこはちゃんと責任取ってやるからよぉ。それじゃあ始めるか。……」


 井出句馬句郎は一度、魔力を込めて小さく手を叩く。その瞬間、マットが変形し、1つの椅子を形作った。


「な……!」


 ただの椅子ではない。後部から魔力が込められたロープが伸び、床に倒れるめぐみの両手両足を拘束する。そしてそのままめぐみを拾い上げると、強制的に椅子に座らせた。


「井出句家は様々な生活霊具を作っているって知っているだろぉ! こいつはうちの研究室で作らせた、特別製だぁ! こういう風に使おうと思ってなぁ!」

 

 椅子は一部を展開させ、その形状を変えていく。めぐみは両腕を真上に上げさせられ、そのまま拘束される。そして椅子の形状に合わせて、両足も無理やり大きく開かされた。


 両足はそのまま後ろへと引っ張られる。今、めぐみは椅子の座面に背中をつけ、後頭部と両手両足は背もたれの部分に密着している。


「おお、いい恰好じゃねぇかぁ! 似合ってるぜ、めぐみぃ!」


「…………!」


 両足首にもロープがしっかりと巻き付き、今や両手両足が完全に拘束されている。力を入れようにもまだ身体に痺れが残っており、思う様に動かせない。


 そうして目の前の男に向けて大股を開いている中、当の井出句馬句郎はズボンを下ろしたままめぐみに近づいてくる。


「い、いや……っ!」


「この日をどんなに待ったか……! おい、めぐみぃ。眼をみれば分かる、お前、男が嫌いなんだろぉ? いつも俺の事を汚いものを見る眼で見ていたもんなぁ?」


 どんなに抵抗しようが、めぐみに拘束を振りほどく力はない。むしろそうして身体をよじり、必死に抵抗している姿を見せて井出句馬句郎をより興奮させているのだが、もちろんそんな事も分からない。


 そして。不気味に蠢く井出句馬句郎のモノが、いよいよ修練着越しにめぐみに触れはじめる。


「ひ……っ!!」


「ぐおおおお、たまらんっ!!」


 井出句馬句郎は何度も執拗に、修練着越しにモノを擦り付ける。


 薄布一枚通した先に、グロテスクなモノがあるのだ。しかも滾る様なオスの熱がしっかりと伝わってきている。


 その事実を前に、めぐみは目から涙を流す。


「……がい、します……」


「あぁ!?」


「お、ねがい、します……。も、もう、反抗的な、態度は……とり、ません……。で、ですから、や、やめて、ください……」


 これまで男を見下していためぐみが。皇国四大術士家系が一つ、伊智倉家の娘が。涙を流しながら、自分に懇願してきている。


 これは井出句馬句郎の支配欲と加虐心に火をつけるのに、十分な行為だった。


「あぁん!? よく聞こえなぇなぁ! 何をやめて欲しいんだぁ? はっきり言ってみろよぉ!」


「……せ。先生の……モノで……私を……」


「モノってなんだぁ? ちゃんと言わなきゃ、何を止めて欲しいのかわかんねぇって言ってるだろぉ?」


 そう言うと井出句馬句郎は修練着越しにグッと亀頭を押し付ける。めぐみは恐怖で声を震わせた。


「い、井出句馬句郎先生の、お……お◯ん◯を……。わ、私に、挿れるのを……やめて、ください……!」


 両目をつぶって必死に懇願する。そんなめぐみの様子を見て、井出句馬句郎は満足気に頷いた。


「そうかそうか。よぉし、分かった」


「先生……」


「それじゃあサクッとやるぞ。ちゃんと録画しておいてやる!」


「そ……! そんな……! いや、やめてぇ! だ、だれかぁ! だれか助けてぇ! だれか、だれかあぁぁ!!」


 井出句馬句郎は本気だ。おそらく一度始まると、朝まで終わらない。その間、自分はずっと泣き叫びながらスマホで録画までされるのだ。


 しかも井出句馬句郎はその動画を使って、これからずっと自分を脅してくるつもりでもある。


「だれかぁ! だれか助けてえぇぇ!!」


「無駄だぁ! こんな時間にわざわざ修練場に来る奴なんざいねぇよぉ! おら、いくぞめぐみぃ!」


「いや、いや、いやああああぁぁぁぁ!!」


 井出句馬句郎はスマホを取り出すと録画をし始める。そして。いよいよその太い指が修練着をめくろうと、めぐみの股間へと伸びていき。


「んぶごぉ!?」


「!?」

 

 突如背後に現れた男に、その頭を思いっきり蹴り飛ばされた。




【後書き】

全年齢版のため、かなり文量を削っております。

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