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「俺はもう帰ります」

「わかった。では気をつけて」

「はい。小説が完成するの楽しみにしてますね」


 少年はゆったりとした足取りで榊の樹が生えた道を通り神社から出て行った。


「………………」

 

 そして、一人神社に残った青年は静かに神社の本殿を見つめている。どこか虚気な感情を含ませながら。


「おい」


 鋭い声が神社に響き渡る。

 この場には青年一人。しかしその視線は神社の本殿を見据えている。

 まるで視線の先に何者かがいるのを確信しな━━


「いつまで耳障りなを続ける」




「鋭い声だの、青年だの、その回りくどいわたしを愚弄しているのか?」


 …………………………


「そもそももう事は終わった。もう貴様のは必要無いだろうが」


 ……………………耳障りとは、道化の分際で言いよるわ


「道化とはね、協力者に対してよくそんな言葉が言えたな」


 協力者?? 貴様がやったことと言えば『一枚の写真を我が信徒に渡し』『信徒と二言程度話した』程度では無いか

 それで協力者とは片腹痛い


「あの少年にはそれで充分だからだ。過保護も過ぎれば毒になるぞ」


 黙れ、信徒を導くのは当然の事だ


「ほお? なら何故あの男は陥れた。あの男も信徒だったはずだが?」


 『街の歴史を保全する』とのたまいながら我の眠りを妨げる者など信徒でもなんでも無い 

 それどころか我の信徒に手を出したのだ、これぐらい当たり前 むしろ生きていることを幸運に思うが良い


「まったく、少年も可哀想に。こんなヤツに見初められてしまったとは」


 我の力で時をめぐり、命を拾ったのだ 我が信徒も心の内で感謝の涙を流しているだろうよ

 そして我の眠りを妨げる者もいなくなり我は静かに時を流れることができる このことを『一石二鳥』と言うらしいな


「そもそもわたしに頼まずとも貴様が直接介入すればいい話だろう。何故こんな回りくどいことをした」


 わからないか なら教えてやろう 死という経験が信徒の成長に繋がり、この経験が後の糧になり そして真の信徒として一歩近づくのだ


「…………」


 現に貴様の介入があったにせよ我が信徒は逆賊を見事に陥れた これは紛れもない成長であり真の信徒として一歩高みに昇った これは『可愛い子には旅をさせよ』と言うらしいな


「過保護に加え虐待とは……救いが無いな」


 救いは我が授けるのだ 我以外の存在が信徒に干渉するなどあってはならない


「もういい。これで貴様との取引は終わった。後はもうわたしの自由にさせてもらうぞ」


 道化が何しようと我の知ったことではない 


「最後まで耳障りなだ」

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ……消えたか

 声を変え、装いを変え、することといえばただただ物語世界を見るだけとは━━━━まったく酔狂なことよ しかし、彼奴の存在が必要なモノというのもまた事実

 『観測者』とは斯くも度し難い存在だ





 ふん 今回の事象をにするとすればこのようになるか


 一枚の写真。少年が手にした一枚の写真は様々な人間の陰謀を巡らせ、最後はその全てを陥れた。

 それはまるで症候群シンドロームのように。

 


 

 

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