託された物
亮二たちを追っていた襲撃者との接触をし建山コーキングを後にした俺たちは、再び亮二を探すためにどうするかを悩んでいた。
「なあ、結局どうやって亮二を見つけるんだよ」
「確かにこれ以上亮二君の足取りを追うのは難しいわね……」
「いや、そうでもないぞ。これを見てくれ」
俺は懐から一通の封筒を取り出した。
「なんだそれ?」
「あの建物の二階で隠すように置かれてたんだ。紙の状態がまだ良いから亮二が隠したんだと思う」
「それで何が書いてあるの?」
封筒を開き中を見る、そこには二枚の紙があり、そのうちの一枚にはコンピュータで打ち込んだ整った文字が綴られていた。
「差出人は書いてないな。えーと、どれどれ、『拝啓、二橋亮二様。貴方にご協力していただきたいことがあります。二十八日の二十二時、指定の場所でお待ちしています。ご協力頂けない場合は貴方のお仲間が不幸に見舞われる可能性があるのをご理解ください』」
「……は?」
「どういうことなの……」
何者かが亮二を使って何かをしようとしているという内容だった。協力しない場合は俺たちに不幸が訪れるという脅しを付け加えながら。
「亮二は何かに巻き込まれたのかもしれないな」
「なら早く助けに行かないと!」
「九十九ちゃん、落ち着いて。亮二がどこに居るかまだわからないんだ」
そう、まだ亮二の居場所が掴めてない今、下手に動くのは危険だ。
「それでリーダー。もう一枚の紙はなんだよ?」
「リーダーやめろ。えーっとこれは……」
もう一枚の紙は地図だった。そして街の情報が書かれた地図の一部に丸で囲った一つの円がある。
「うん、どこだここ?」
「あ、そこは市役所近くのデパートだよ!」
「デパート……」
一つの場所を示していた地図。亮二宛に送られた一通の手紙には時間の指定はあるが場所については記してなかった。そしてその二枚が一つの封筒に入れられていた。
何かしらの関連があると言っているようなものだ。
「もしかしたら今夜、このデパートに亮二が現れるかもしれないな」
「リーダーもそう思うよな!」
「だよね」
これからの行動方針が決まった。今夜デパートに乗り込む。そのために準備をしなくては。
「とりあえずアジトに戻って装備を整えよう。もしかしたら鐘村の奴らの残党が居るかもしれない」
「「了解!」」
そうして俺たちは一旦自分たちのアジトに向けて歩き始めた。
この後に何が起こるかも知らずに。
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