第72話 アオの大樹海②
アオの大樹海の中に拠点となる場所を見つけ、ソラは拠点部分から蜘蛛の巣を張り巡らせる形で調査を広げていった。
「ここが北の5番かな?」
この世界では広く使われているコンクリートのような物質を創り出す魔法である造形魔法を用いて目印となる石碑を建てる。
この世界において、太陽を見て方位を正確には測れないのでとりあえず最初設置した場所を北と仮定して東西南北を決めている。
北となる部分に設置した石碑の先端を尖らし、すぐに判別出来るようにそれぞれ方角ごとに形を変えている。
それを広げるようにして、この分かりにくい樹海を攻略しようと試みていた。
(これでも結構迷うことがあるけど・・・・・・)
石碑と言うには縦に長く、木々が生い茂る森の中でも飛び出すように立ててあるけど、なにかの拍子で折れてしまうかもしれないし、石碑が判別出来ない場所に迷い込んでしまった場合に戻れる方法は無い。
なので慎重に、少しずつ調査する範囲を広げてこの広大な樹海から脱出を図っていた。
「北5には広い沼地か・・・・・・」
アオの大樹海の拠点に戻り、以前狩猟した動物の獣革に簡易的な情報を書き記していく。
すり潰すと真っ赤に色づく植物で出来た赤色のインクに枝の先端を漬けて書いていく・
まず小さく円に書いてその中心に十字を描く、十字の中心が拠点、円と十字が交差している部分が石碑を置いてある地点なので、その交差している部分に石碑近くで発見した情報を書いていく、距離を広げるごとに段々と円を大きくしていき、今では五重の円まで出来るようになった。
「西側にも沼地みたいに泥濘があったし・・・・・・水場が近いのかな?」
これまで手に入れた情報を元に、明日調べる場所を決めていく。
基本的に、人が住んでいる場所は川といった水場が近い場所にあるのが普通だ。
勿論、土地の性質や住んでいるモンスターによってそれら条件は変わってくるだろうけど、今は川を発見することを優先していて、場合によっては拠点を移すことも考えている。
南や東の部分は拠点近くとほぼ同じ鬱蒼と生い茂った森が広がっていて、環境が劇的に変わる場所は泥濘の多い西と北の石碑となる。
出現するモンスターも東西南北あまり変わらない。
基本的に何処の場所にもゴブリンやハイゴブリンが蔓延っていて、たまにオーガが現れたりする。
一応、イノシシやクマ型のモンスターも居るんだけど、巨樹の森に比べたら圧倒的に少ない。
これまで人里を見つけようと様々な場所を探索しているけど、人里は見つからず。逆に見つかったのはゴブリンの住処というオチ。
人が住んでいた痕跡かと思って期待すれば、大体たどり着くのはゴブリンたちの住処、かれこれ壊滅させた場所は両手で足りなくなる程だけど、少しずつ探索区域は広がっているので我慢の時であった。
「おぉ、川だ・・・・・・」
予想通り、というか沼地が広がる北側を重点的に探索してみると清涼な小川を見つけることが出来た。
川を見つけるまでにかかった時間は、この樹海へやってきて半月ほどである。
「水魔法覚えていて良かった」
アリアを蘇生する際に使用した再生槽を作る際に、シロが使っていた水魔法を覚えていた事が幸いした。
火は様々な方法で用意できるものの、水、しかも飲水となれば用意するのは難しい。
飲水の用意はある意味、サバイバルで最も大変な要素の一つだと思うし、今回、川を見つけるのも半月かかったと思えば、水魔法を覚えていない状態でこの樹海に飛ばされていたらかなり危なかったと思う。
水と土を使う造形魔法を覚えるついで・・・・・・なんて考えで覚えた水魔法に助けられるとは思いもしなかった。
そんな事を思いつつ、川の一帯を調べてみれば鹿や狐に似た動物たちが周囲で生活していた。
その周辺には毎日のように襲ってくるゴブリン達はおらず。川辺ということもあって周囲が開けており明るい。
大雨の時、川が氾濫しないかだけが心配だけど、鬱蒼とした森の奥で住むよりは全然良いとソラはこの場に来て直ぐに拠点を移そうと思った。
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