第24話 初めての異世界交流⑤
「ソラ様はどちらから?」
「自分は元々この地で住んでいるんです」
俺、ラロッソ、フロウゼル、アーシェの四人を交えて行っていた会話は俺の身の上話に変わっていく
「この地?ご家族や他に人が住んでいるのでしょうか?」
「いえ、自分は捨て子なので・・・・・・丁度基地の外で待たせている太郎、銀毛の狼と一緒に生活しています」
『銀毛の狼は私も確認しています』
俺の話を補足するように、横に座るアーシェさんも喋る。
「なるほど、ではなぜ調査隊が襲われているところへ?」
「珍しく黒煙が上がっていましたので、そして現場に着いてみたらあの惨状を見て咄嗟に」
俺なんかより人生経験豊富そうなラロッソさんとフロウゼルさんを相手に嘘は付けそうにないので、なるべく正直に話す。
鷲を彷彿とさせるフロウゼルさんの眼差しに、どこか居心地の悪さを感じつつも、会話は続いていく
「住処はどこに?」
「基地付近の森を北に抜けた先ですね」
本当は更に北にある山の近く、多分あなた方が言う巨樹の森ですとは言わない
「・・・・・・そちらへ私達がいくことは?」
「無理ですね」
神の地と呼ばれるこの場所は、北へ行けばいくほどモンスターが強くなる傾向がある。
序盤の森ですらほとんどの調査隊が壊滅している状況で、更に北へ向かうのは無理だ。
あと自分以外の人がいると太郎が威嚇するので、護衛しがらな向かうのも無理だと伝えておく、このままだと案内してくれなんて言われかねないし
「太郎寂しくなかったかー?」
その後、他愛のない会話を交えつつ塔を後にし、基地の外へ出た。
ラロッソさん曰く、帰ってこないと思われていた調査隊の遺品が戻ってきたり、現地民(俺)が現れたことで緊急の会議が行われるとのこと
そして俺も一旦拠点に戻りたかったので、そのまま無事釈放と言った形になった。
「報酬何貰おうかなぁ」
部屋を出る間際に今回救出したアーシェさんと亡くなった隊員の遺品回収による功績で報酬を用意すると言われた。
なので後日また基地へ再度出向いてくれとのこと
個人的にはラロッソさんから聞いた情報だけで充分価値があったのだけど、貰えるのなら貰っておけの精神
国の支援も潤沢なので、欲しい物があったら何でも言ってくれ、と豪語していた一番偉い人と思われるフロウゼルさんの言葉
いや、実際にフロウゼルは偉い人なんだけど
今回お邪魔した場所は、調査隊を結成した際に多大な貢献をした五大国の内の一つ
エマネス帝国の居住区だそうだ。
アーシェさんを始めとしたあの部屋に居た人達は全員そのエマネス帝国の冒険者だそうで
アーシェさんはそこの期待の若手冒険者だそうだ。
帝国でも歴代最速でA級冒険者に昇級し
今回も国の偉い人からの推薦で調査隊に入隊したそうだ。
そしてラロッソさんは国の考古学者
フロウゼルさんは冒険者兼、帝国公爵家の次女だそうだ。
すげーなフロウゼルさん、冒険者で貴族様なんて強烈な個性だ。
俺よりよっぽどラノベ主人公をしてそう
ただフロウゼルさんも一流の冒険者
我の強い冒険者達を纏めるだけの実力を持っているそうだ。
あの部屋でフロウゼルさんのオーラが一番大きかったので、嘘偽りでは無いと思われる。
そして国でも有数の権力者でもあるので、彼女の力が及ぶ範囲内であれば、本当になんでも用意してくれると苦笑いでラロッソさんは言っていた。
「でも、権力闘争みたいなのありそうだしなぁ」
太郎が待っていた丘から見える6つの巨大な塔
それらは調査隊を結成する際に貢献した主要五カ国に分かれているそうで
もし再度基地へ出向く際には、必ずエマネス帝国人に話しかけてくれと言われた。
エマネス帝国の人たちはまんまヨーロッパ人のような姿をしているので間違えることは無さそうだが
似たような人種にライバルのコーヴォス聖王国という国があるらしく、そことフロウゼルさんたちエマネス帝国の調査隊は仲が悪い
注意してくれと言われた。
そこには多国籍で結成された組織として
何やら陰謀じみた権力闘争がありそうな感じだった。
「わん!」
「ごめんごめん」
いつまで待たせるんだ!と言った感じに戯れついてくる太郎をいなし、急いで拠点へ帰る。
当初の予定としては昨日のうちに帰る予定だったんだけど、アーシェさんを助けた関係で時間がかかってしまった。
向日葵が寂しい思いをしているかもしれないし
そう思い、俺は太郎の背に乗って北へ走り出した。
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