第17話 生き残った女冒険者②

「うーん、冒険者にしては若いよなぁ・・・・・・」


 今にも起きそうな状態の赤髪が特徴的な女性。


 身に纏う鎧といい、どこか西洋の騎士を彷彿とさせる。


 ただその見た目は自分と同い年ぐらいだろう。


 それにしても若すぎないかな?


 俺の場合は転生チートとかで説明がつくけど、彼女の見た目は中学生ぐらいだ。


 そんな女性がこんな森へやってくるだろうか?


 確かこの世界だと確か15歳で成人なはずだから、もしかしたら新米冒険者とかその類なのかも。


 ラノベ的な感覚だと、冒険者や魔法使いかなんかの学園の生徒だとかありそう。


 授業かなんかで森へやってきたら、そこでいきなりモンスターに襲われてしまったとか?


 その線もあるかもしれない。


「Kj..........alukj?」

「あ、起きた」


 上半身を持ち上げ、霞む目を手で擦って辺りを確認する赤髪の女の子。


 その目は、髪色と同じく綺麗な緋色の瞳をしていた。


 うーん、絵になる人だ。


 本来は勝ち気な性格っぽいけど、辺りをやたらキョロキョロしており不安げで落ち着かない様子。


 まぁあれだけモンスターにボコボコにされてたらそりゃ仕方ないか。


「あの・・・・・・」

「hunH!?」

「もしかしてこれ・・・・・・」

「AnH!?seotijjh!!」


 落ち着いた頃を見計らって声を掛けてみるが、なにやら興奮している様子。


 ガシッ!と両手を掴まれ何か一生懸命喋ってくれるが何言っているのか全然分かんない。


 おかしいな?


「村の人とはちゃんと喋れていたはずだけど?」


 物心がついた段階で普通に村の人達と話せていたし、意思疎通が出来ていたはずだ。


 まさかあまりに人と接していなくて言葉が分からなくなったとか?


 そんなことはないはずだけど・・・・・・


「もしかして他国の人とか?」


 村に居た人たちは褐色肌で金髪や茶髪の人が多かった。


 俺はその頃から若干色白っぽい肌色をしていたけど。


 概ね同じだったと思う。


 ただ目の前にいる人は全然違う。


 肌の色も乳白色で、派手な赤い髪色をした人なんて村には居なかったはずだ。


 数少ない外部からやってくる人にも、そのような肌や髪色をした人も居なかったはず・・・・・・


 なら別の場所から来て、異なる言語体系であるなら言葉が通じないのも納得だ。


 少なくとも敵意は無いし、理性的そうなので問題はないはず。





「君が来た場所はここ?」

「ZeH」

「じゃあここ?」

「ZeH」


 亡くなった人たちの遺品から手に入れた付近の地図を広げて、指を差しつつコミュニケーションを取っていく。


 とりあえず彼女には襲ってきた鳥型モンスターのボボスの亡骸を見せたり、本を取り出して様々なモンスターの絵を見せてみたりした。


 そしてその過程でYesかNoだけ判断出来るようにする。


 そして地図を指差し、襲われた場所、今キャンプとしている場所を確認する。


 意外だったのはこの世界でもYesだと頷き、Noだと首を横にふると言うことだ。


 未だ言葉は分からないけど思いの外コミュニケーションは順調に取れている。


「じゃあここが君たちの拠点?」


 俺が指を差した場所は、地図の南端。


 見た感じ深い谷があるっぽくて、そこに橋が掛けられているような絵がある。


 森を抜けた先にはペンタゴンのような五角形で囲われた絵が存在し。


 多分そこが彼女の拠点かな?


「Xoh......」


 お、この様子だと予想は当たっていそう。


 あんまり言いたくないけど・・・・・・といった様子が彼女から伺えるが、ボボスの襲撃で壊滅する実力だとそのまま一人にするのは怖い。


 あの様子だと他に実習グループ的なものがあっても壊滅している気がする。


 取り敢えず明日には地図に記した拠点へ向かってみよう、親御さんも心配しているだろうし。

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