第52話 人体錬成?

 魔王やマーリン達が互いに高みを目指している頃エリックは着々と作業を進めていた


 「…ついにこの時が来たようだな…世界に向けて新しい魔王の力を見せ付ける時がな!!」


 「…いやいや、ゴーレム?紛らわしいから止めて?俺は魔王に成らないし、力も見せ付けるほど無いよ??」(まったく毎回魔王の雰囲気を出して~勘弁してよ~俺はゆっくりしたいだけなのに~)


 部屋に入るなりゴーレムが魔王の雰囲気を全力で演出していたので静かにツッコミを入れるエリック


 「そうか?いつかそんな日が来ると思うけどな~?まぁ良いや、今日も上の部屋に行くのか?」


 「そうだね~そろそろ仕上げたいしね~まぁ今回で完成形?位には仕上げたいかな?」(構想は出来てるし素材も集めた…あとは俺の技量次第かな~)


 「まぁナビも期待はしてるだろうけど無理はするなよ?ナビにも内緒にしてるんだろ?」


 「まぁね~(笑)この部屋には入らないでってお願いしてるから上の部屋も知らないかな?では、行ってきますね~」


 「了解~まぁ頑張れよ~」


 ゴーレムと軽く話した後、エリックは上へと繋がる隠し部屋に入って行った


 「さて、行きますかね~」何も無い部屋の壁に手を当てて魔力を流すエリック、すると壁が開いて階段が現れた


 「…ふ~設定を間違えたかな?開けるだけで結構キツいな~趣味の部屋に此処までのセキュリティは要らなかったか?ゴーレムの後に一定以上の魔力だし…まぁ作ってしまったから仕方がないね(笑)」独り言を言いながら階段を上がり隠し部屋に向かうエリック


 階段の奥に現れた部屋は無数の培養液や錬金術用の釜が設置されており、壁には資料や材料が分かりやすく並んでいた


 「さて~今回こそは完成させて見せるよ~イメージは出来てるし…」エリックは部屋の真ん中に立つと眼を閉じて集中し始めた


 (俺が創るのは生命では無くゴーレムに人体の構造を足した様な…大事なのは五感…いや六感か…味覚聴覚嗅覚視覚触覚感覚…感覚…ようは勘か~どう表現するかな…)


 エリックは人体に近いゴーレムを創り上げようと考えていたが難航していた


 (人体の不思議をゴーレムで再現するのも難しいのに生命の錬成とは凄い高みに存在するんだな…俺には無理だな…師匠なら可能だったのかな…)


 少し黄昏ながら思考を高速で回し理論をまとめ始めたエリックは頭で組み上げながら完成を目指した


 (…五感まではゴーレムで表現出来てる…勘は~もしかしたら気を纏えば?無意識に気を扱う事で人間は独特の感覚を持つと言われてるから…でも気を使いながら魔力を流すのは俺には出来ないし…うん?マーリンの新しい技法が使えるか?ならゴーレムのコアを生物と鉱物のハイブリッドにして?材料は……神龍の宝玉とヒヒイロか?オリハルコンか?どっちも試すか…ダマスカスも?まぁ物は試しで~)


 「…出来た~コアの試作品が二個か~まぁ物は試しに全力で魔力を流すかな?ポーションを飲んで~本気で行くか…」完成したコアにエリックは自身の魔力を全力で流し始めた


 「……まぁ特に問題は無いかな~一応マーリンも頼むかな?」立ち上がり部屋から出るエリック


 「お疲れ~今回は何処まで作れたのさ?」

 「お疲れ~一応コアの試作品が二個出来たから今からマーリンにチェックしてもらう予定だよ?まぁ食堂に向かうさ(笑)ではでは~」


 ゴーレムと軽く挨拶を交わし部屋から出たエリックは食堂へ向かって行った


 [お疲れ様ですマスター、これからどちらへ向かわれますか?]

 「お疲れ~取り敢えず食堂へ行くよ~あとマーリンは今何してる?頼みが有ったんだけどさ~まぁ手が空いたら教えて?向かうからさ~」試練の塔から出たら直ぐにナビが話し掛けて来たので軽く説明した

 [了解です、早急に食堂へ来るように伝えます]

 「うん?俺が向かうから大丈夫だよ?まずはご飯を食べるしね~」施設に入ったエリックはナビに訂正を入れてから食堂へ向かった


 食堂へやって来たエリックは既に食事が用意されてる席に着き食事を始めた


 「相変わらずナビは仕事が速いね~助かるわ(笑)うん?他に誰か来るのかい?」空いてる席に現れたご飯を見てナビに問い掛けた

 [はい、先ほどマーリンに伝えましたら今すぐ向かうからご飯を用意して置いてとお願いされましたので]

 「なるほど~ならボリュームの有る方がティアだね?何だが久しぶりだな~結構な時間お互いに潜ってたからね~(笑)」

 [ですので食べ終わるのは少々お待ち下さい]

 「了解~ならコーヒーを貰えるかな?ありがとう、やっぱり速いね(笑)…そして旨い…」

 [いえいえ、マスターのパートナーとしては当たり前ですよ?]


 ナビとゆっくり談笑していたら息を切らせたティアとマーリンが食堂にやって来た


 「「遅くなりました~」」慌てて席に着く二人


 「いやいや、こっちこそ急にごめんね?ほら落ち着いてご飯を食べながらで良いからさ?マーリンに頼みが有るんだよ~」「良いですよ、やります」


 「…いや、何も説明して無いよ?まぁありがたいけどね?」


 「?エリックの頼みでしょ?どんな事でもするわよ?ほらティア、落ち着いて食べなさい」

 「…モグ…ごめんなさい~モグモグ…」ご飯を食べながら謝るティア

 「ほっぺたにご飯が付いてるよ?」ティアのほっぺたからご飯を取るエリック

 「で、頼みなんだけど~この二つの魔道具に全力で魔力と気を流して欲しいのさ~頼める?まぁ簡単な耐久テストだよ?出来る?」テーブルに二つのコアを出すエリック


 「…全力で?大丈夫かしら、壊れたりしない?」


 「その為のテストだよ~まぁ気にしないで行っちゃって~(笑)」


 「…解ったわ…一応魔力のポーションを貰える?」コアを受け取ったマーリンがエリックに立ち上がりながら確認した

 「良いよ~魔力と体力の混合ポーションを渡すよ、何本いる?」

 「そうね、一応二本貰えるかしら?」

 「良いよ~ほら使ってよ」異空間からポーションを出すエリック

 「ありがとう……ふ~じゃあいくわよ?……」ポーションを一本飲んだマーリンは集中し始めた

 「……は!!」 「パン!!」マーリンが持っていたコアが粉々に砕け散った

 「あら~流石に耐えなかったか~次のは?試してみて?」

 「了解、ちょっと待ってね?……ふ~いくわよ?」更にポーションを飲んだマーリンが同じく魔力と気を一気に流した

 「……は!!」 「ピシッ!」次のは真ん中にヒビが入るに留まった

 「あら?こっちは砕けなかったわね?」ヒビが入ったコアをエリックに返しながら感想を言うマーリン

 「そうだね~これなら使えるかな?まぁヒビが入ったから創り直しだけどね~(笑)助かったよありがとう~」受け取りながら答えるエリック


 「…ふ~…ちなみにどんな魔道具だったのですか?」ご飯を食べ終えたティアがエリックに聞いた

 「うん?これはね~神龍の宝玉とヒヒイロやダマスカスを混ぜて創った物でね?エネルギーを貯蔵する魔道具だったんだよ(笑)」

 「!?そんな貴重な材料の物を二つも??良いんですか?壊してしまって…」

 「いやいや、壊れるような物は使えないから本当に助かったよ(笑)ありがとう~」


 エリックは笑いながらマーリンに感謝した

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