第46話 その頃のフリス②

 エドガードが落ち着いて自身が調べた事や見た事を順番に説明し始めた


 「先ず、事の始まりは私達の師匠でも在るエリックさんの喪失から始まりました…私は勇者の言葉を最初は信じてしまったのでエリックさんは魔王討伐の際に不慮の事故で亡くなった者だと思っていました…しかしセバスさんに確認した所、エリックさんが所有する物が死亡時に能力の解除で相当な量が出るはずだからと言われ…そこから私は勇者を疑いました」

 「俺が嘘を言ってたら何なんだよ、まさかそれが罪だってか?馬鹿らしい…」呆れた様子のフリス

 「…少し黙ってくれますか?話はこれからですから…」静かに切れるエドガード


 「…疑った私は勇者の身辺を調べてみた所、貴族に貴重品を売ると約束している事を突き止め、疑いから確信に変わりました…」

 「そ、それは…エリックの遺言で~持ってる物をくれるって…」

 「黙って貰えますか?…で、エリックさんの次がマーリンさんとティアさんを手に入れる計画でした…正直、話を聞いた時は正気を疑いましたね…まぁ財産目当てだったみたいですけど…エリックさんの持ち物は手に入らなく、二人の財産は既に寄付されて無かったので実質無駄でしたが…この件に関してはお二人が先手を打って居たので終わりかと思ったのですが…ここからの話は実際に私が見た内容です…私は討伐の際、セバスさんに足手まといと言われ魔王城に逃げ込みました…そこで勇者と聖女のティアさんの口論が聞こえて来て…急いでその場に向かったのですが…ティアさんは自分の持つ剣で首を…光の粒子になって…消えました…私はティアさんを助けられなかった…なのでこんなやつが勇者だなんて!許せません!どうかお願いします、きちんと罪にしてください…以上です…」

 「…ふん、若いな…息子ながらこの程度か~まったく…」

 「…父上?」

 「は~ワシに言わせればそんなものお前の勝手な妄想じゃろ?証拠も無いのに何をバカな事を…で?こんな場を開いて無罪と成ったらお前はどうやって責任を取るのじゃ?まったく、これでは何時までも王位を譲れんの~」

 「…………」

 「まぁ何も考えて無いわな…情けないの~で?今の話を聞いてワシらはどんな罪で裁かれるのじゃ?」

 「…まぁ正直な所…証拠が無いので~何とも…」

 「そんな…そうだ、セバスさん!何か無いのですか?」

 「うん?私ですか?そうですね~この場で使えるような物は…」(エドは若いですね~まぁ少しは助けてあげますかね~)

 「先ず気になる所は勇者の実際の手柄ですかね?なのでギルドのマスターを呼んで確認しましょうか~それと今回の討伐に参加しなかった騎士団の副騎士団長も本心の確認をして貰っても良いですか?後は~この辺の貴族を数名呼んで勇者の身辺の確認ですかね~では今すぐお願いします(笑)あぁもし拒否した場合は私の名前を出して下さいね?」

 「は、はい!只今人を走らせます!」

 「お願いしますね~では、その間は休憩ですかね?エドガード?ちょっと良いですか?」

 「…はぃ…奥の部屋で良いですか?」

 「ええ、良いですよ~久し振りの説教です」

 「……はぃお手柔らかに…」

 

 奥の部屋を借りたエドガードとセバスは対面式に席に着いた

 「…では、順番に説明しますね~?ポイントは貴方が当てにしている証言は身内の物なので今回の場では余り使えませんよ?解ってました?」

 「…いえ、勉強不足でした…」

 「次に、貴方は感情的に成りやすいと前から言われていましたが~今回の事で意味が解りましたか?」

 「……はぃ……」

 「では、最後に本来どの様に動くべきでしたか?」

 「…貴族や国民に話を聞いて…証拠を集めるべきでした…」

 「う~ん、それでも足りません、貴方は証拠と共に議会の人員を仲間にするべきでしたね~今回の事ではどうやっても無罪に成ってしまいますよ?」

 「……セバスさんでもですか?」

 「私が頑張ったとしても…まぁやれるだけの事はしてみますが~余り頼りにしないで下さいよ?何分準備が無いですからね?」

 「…お願いします…」

 「まぁ頑張りますかね~(笑)そろそろかな?戻りますか~」

 「…了解です…」

 説教を終えてエドガードとセバスは元の場所に戻り会議の再開を待った


 「…お待たせしました、セバス様が呼ばれた方達が集まりましたので会議を再開します」


 「では、次は私セバスが進行させて貰います、よろしいですか?」

 「意義あり!お前は関係ないだろ!」騒ぎ出すフリス

 「…関係は有るでしょう~馬鹿なんだから黙って居た方が良いですよ?では、先に~ギルドのマスターさん?確認なんですがこの方の功績?本当なんですか?」ギルドのマスターに質問するセバス

 「あ~そうだな~多分皆が思ってるよりも少ないぞ?これは俺がエリックに頼まれて黙認してたから…まぁ正確には調べなきゃ解らないが~魔物の上位は討伐してないぞ?」

 「そうですか~(笑)では副騎士団長?良いですか?」

 「はい!本日は声を掛けて貰いありがとうございます!何でも聞いて下さい!」

 「では、普段の討伐には参加していた騎士団が今回の討伐に不参加だった理由は何ですか?」

 「はい!それは、単純に勇者が好きでは無いのと討伐へ付いて行った場合の損失が大きいからです!何時もはエリック様が主体の討伐なので騎士団は参加していました!」

 「そうですか、そうですか(笑)ありがとうございます…では最後にお集まりの貴族の方は何か有りますか?」

 「…まぁ特には無いかな~」

 「同じく…」

 「良いのですか?勇者が裁かれますよ?」

 「…まぁコイツが勇者で無くてもな~」

 「…そうだな~基本助かってたのはエリックさんのお陰だったからな~」

 「同じく…」

 「そうですか~貴重な意見ありがとうございます(笑)では今の話を聞いた上で国王と勇者は何か在りますか?あ~勇者には聞かなくても解りますから、国王は何か在りますか?」

 「!?何だと!!ふざけんな!」

 「まぁ落ち着くのじゃ…此処で怒鳴っても得は無いぞ?時にセバスよ少し良いか?」

 (この狸ジジイ…スイッチが入ったか…)「何でしょうか?」

 「ふむ、まぁ皆が言いたい事は解ったが~ワシは何故まだ捕まってるのじゃ?」

 「!!それは貴方が王印を使って二人を追い詰めた事を」「落ち着きなさいエドガード?」

 激情したエドガードを落ち着かせたセバスは国王にジェスチャーで先を促した

 「すまんな、ワシの教育不足じゃな…さて、その事じゃが~何が問題じゃ?勇者と聖女と魔女の婚姻を認めて何の罪になる?実際に国民も認めていたぞ?追い詰めた?そんなものは夫婦間の喧嘩じゃろ?そこまでは国で面倒はみれないぞ?」

 「…まぁそうなんですよね~仮に強制だったとしても~二人に確認が取れないとね~」

 「…そんな…でも二人はエリックさんの事が…」

 「まぁ確認が足りなかったのは認めるが…その程度で罪?どんなじゃ?ほれ、言うてみなさい?」

 国王が全体に問い掛けた途端に会場は静まり返った

 「じゃあ~これを外して貰うかの?ほれ、早くしろ」手錠を前に出し解錠を促す国王

 「そうだ!俺のも早く外せ!」フリスも便乗して手錠を前に出す


 「…そんな…セバスさんでも無理だなんて…」

 

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