第45話 その頃のフリス

 マーリン達が必死に鍛えている頃、地上ではエドガード達による断罪が行われようとしていた


 「…おい!何だこれは?先ず手錠を外せ!俺が誰だか解らないのか?俺は勇者だぞ?」

 「そうじゃ!ワシは国王じゃぞ?何を考えとる!!」

 騒ぐ二人に対して周りは静かに諭していた


 「良いですか?この場は貴殿方の罪を話し合い罰則を考える場ですので…地位や名誉なんかは関係ない一人の国民として裁かれます…それが例え勇者や国王でもです、例外は在りません」

 「誰がそんな事を決めたんじゃ!」

 「貴方のお父上ですよ……はぁ~前王は賢王だったのに……まぁエドガード様が…」

 「…まったくよ~まぁ無実を証明して逆に訴えてやる…」


 議会の席にフリスと国王が揃って座ったと同時に断罪の会議が始まった


 「これより勇者と国王の犯して来た罪を話し合いこれからの事を決めて行きます…皆様よろしいでしょうか?この場では私利私欲による発言や虚言は罪に問われますのでご注意下さい」


 「…では、これより二人の罪の洗い出しから始めますのでこの場の開催人でも在るエドガード様からお願いします」

 声を掛けられたエドガードは立ち上がり周りに挨拶をしてから発言を始めた

 「発起人のエドガードです、今回私は勇者フリスに対して魔女マーリンと聖女ティアへの嫌がらせ行為及び殺害の疑いでこの場を開きました、よろしくお願いします」

 「意義あり!マーリンとティアは俺の嫁だから嫌がらせとか殺害?意味が解らないな~嫁イコール俺の物だろ?何の問題が有るんだよ!」

 「…今回はその考えも含めて今後の国の流れも在りますから…有意義な会にして頂きたい」

 「はぁ?何だそれ、そんな事は他所でやれよ!俺を解放しろ!勇者だぞ?解ってるのか?」

 「今は立場とかは関係ないので…もし今回の議会で罪が認められたら貴方は普通の冒険者に成ります、まぁ冒険者のライセンスも取り直しですから新人冒険者からですけど」

 「はぁ!?俺が新人?今までの俺の手柄や評価はどうなる?せめて上級だろ?」

 「…今までの手柄って…全てはエリックさんの手柄ですよね?それも含めるので…覚悟して下さいね?」

 「…それは…」

 「それでは始めますよ?良いですか?ではエドガード様?今回の証人をお願い出来ますか?」

 「はい、一人目は皆様も知っている方から……セバスさん、入って下さい」

 エドガードに呼ばれて入り口からセバスが入って来た

 「これは、わざわざ修行から帰って来た甲斐が在りますね~絶景ですね~(笑)で?エドガード様?何が聴きたいのですか?」

 「はい、今回呼ばせて頂いた理由は前回私も参加したキングオーガ及びキングの上位種の討伐に関する事です」

 「あ~あれですか~何だか懐かしいですね~(笑)私が未熟だと気付けた…まぁ今と成っては有難いミッションでしたね~で?何ですか?」

 「あの時一緒に戦った勇者の事です」

 「勇者?あ~途中までは一緒に戦いましたが…そう言えば上位種が出た時に何処に居ました?気が付いた時には居ませんでしたね~そうだ!二人にお金を貸したのに返しに来ないって私の従業員が泣いてましたよ?速く返しに行って下さいね?可哀想なので」

 議会に参加している一人の男性が立ち上がりセバスに質問した

 「セバス様に質問ですが、そもそも何故セバス様や他の方はあんな所に行ったのですか?ましてやエドガード様はこの国の王子ですよ?」

 「あの時ですか?あれは皆の休みを合わせてピクニックですよ(笑)元々同じ師の元で学んだ仲間…いえ、家族みたいな物ですからね~、いや~休みを取る為にあの時は頑張りましたね~(笑)それが何か?」

 「…いえ…もしかしたらお二人で何か企んで居たのかと…本当にピクニックだったのですか?ギルドでの目撃情報や街での会話は調べれば解りますよ?この場での嘘は重罪ですからね?」

 「おや?調べてないのですか?私達の会話は街の人達が聞いていますので…解ってるのでは?…なぜ私を疑うのですか?何の証拠も無いのに?それこそ私利私欲なのでは?どうなんですか?元国王側近さん?」

 セバスに攻め立てられて何も言えなくなった男性は静かに席に着いた

 「で、では、他に質問の在る方は居ますか?…居ないようなのでエドガード様、続きをお願いします」

 「はい、ではあの時の状況と結果の方をお願いします」

 「…そうですね~あの時は朝から私とエドガード様と王国騎士団のレイナさんと剣聖のダンブで集まって~走って端の村まで行こうと言い出したのは…確かエドガード様とレイナさんだったかな?罰ゲームにお昼の手配でしたよね?で…結果は私が負けて~部屋の手配と食事の準備をしていたら近くに勇者様が来ていると話を聞いて~まぁその話で今居る所が討伐の地域だと解りましたね~で、勇者様が居るなら安心だけど万が一の保険として村には警戒体制を私の従業員を使って準備させましたね~なんせ勇者様は何もしていなかったので…まぁ後の話は皆様も知っての通りですよ?急遽手助けに入って…まぁ何だかんだで討伐は成功しましたね~でも偶々私達が居たから良かったけど…居なかったら今頃は…まぁ何か聞きたい事は在りますか?」

 「…いえ、私からは特に無いです、ありがとうございましたセバスさん」

 「いえいえ、で?私はもう行っても良いのですか?出来れば鍛練に戻りたいのですが…」

 「駄目ですよ?一応はそこの席で最後まで居てください」帰ろうとするセバスをエドガードが引き留めて席に着かせた

 「…まぁ仕方が無いですね~解りましたよ?座って居ますよ…」

 「…他に何か在りますか?無ければ今の話から議論を開始しますが…」

 「いえ、私からも良いですか?」

 立ち上がったエドガードは全員を見渡した

 「それでは、エドガード様お願いします」


 「今回の問題の起こりとしてですが…私が問題視する事は、魔女と聖女の二人を相手に婚姻契約を勝手に進めた国王と勇者の蛮行を議論したいと思います、確かに勇者で在りながら敵前逃亡や無銭飲食や住居侵入罪何かは問題ですが…何よりも許せないのが英雄で在るお二人の尊厳を汚し、追い詰めた事による自殺…絶対に許しません!」

 感情を表に出したエドガードは頭に血が昇っていたがセバスの声掛で落ち着いた

 「ほら~エドガード?落ち着きなさい、感情的に成るのが貴方の欠点ですよ?エリックさんも言って居たでしょ?」

 「…そうでした、感情的に成りすみませんでした…では、私が知っている事を順番に説明させて頂きます…」

 

 

 


 

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