第38話 臨時最終試練


 勉強施設から早々に集められたマーリン達一同は最終試練を前に少々興奮気味だった


 ~~マーリン視点~~


 (これからと言う時に邪魔が入りましたが…まぁ結果的には良かったのでしょうか…最終試験をクリア出来るかは解らないですが、やる価値は在ります!エリックさんにお願いが出来る権利とか…何でも叶いそうですね…)


 「さぁ付いて来てよ~試練の塔入り口から一気に上まで行くからね~頼むよナビ」試練の塔の入り口から入って行くエリックに続くマーリン達


 入り口に入った途端に目の前の景色が一変した

 (…あれ?前は森の様な場所だったのに、此処は?まるで玉座の間に来てるみたい…)


 「はい、到着~此処が試練の塔の最後の関門だよ?この扉から入ったらボスが待ってるから戦って勝ったらクリアだよ?ルールは簡単でしょ?」


 扉の前に着いたエリック達は誰も扉を開けようとしなかった

 「?なしたの?早く行くよ?中でボスが待ってるからさ(笑)」扉に手を掛けるエリックはそのまま何の抵抗も無い扉を開けた


 「…良く此処まで来たな、理由や状況は別として最後の試練として用意された俺に勝てるかな?」


 (え?エリックさん??が二人?…いや王座に座ってる方は良く出来たゴーレムの様ですね…良く見ても解らない位の出来ですね…ちょっと欲しいかも…)


 動揺するマーリン達を他所にエリックは普通にゴーレムへ話し掛けた


 「…おい、俺のコピーなんだからさ~もう少し普通にしてよ~それじゃあまるで魔王じゃん!何か見た目も少し魔王ぽいし~」

 「うん?だって待ってる間暇だったし~まぁ所詮暇潰しだよ(笑)本体も同じ立場なら同じ事をやったさ(笑)なんせ俺は俺だからさ」

 「う~ん?そうかな~?まぁ創った時の俺はテンションが高かったからな~だからか??まぁ良いや、で?誰からやる??」マーリン達の方を振り返るエリック


 「…ワシから行くぞ!ワシが言い出しっぺだからの~皆も良いか?」一歩前に出てエリックに宣言しながら皆にも確認する怠慢

 「まぁ良いのでは?」

 「はい~お好きにどうぞ~」


 「じゃあ、怠慢から始めるか~で、一応は安全の為にこの入り口付近で他の人は待機ね?俺とナビで結界を張るからさ(笑)ナビ~頼むよ?」


 [了解しました、マスターと共同作業で結界を張りますので動かないで下さい]


 「…もしあれなら私が結界を張りますよ?エリックさんと共同作業で…」面白くなさそうに呟くティア

 [いえ、もう張りましたので必要ありません]


 (…なんかこのナビ…ライバル意識が在る?もしくはエリックさんに特別な感情が??でもエリックさんが創ったって言ってたし…)


 「まあまあ、仲良くね?ほら怠慢~頑張れよ~もしかしたら勝てるかもよ(笑)」


 「…エリックめ~馬鹿にしよって~よし!ワシが本気でクリアしてエリックに謝らせてやる!!」

 「…何時でも良いぞ?ほれ、先制を譲るよ?」


 「……皆して馬鹿にしよって~」


 馬鹿にされ怠慢の身体から魔力が溢れ、その魔力が怠慢の後ろで渦巻き滞留していた


 「…行くぞ、エリック…先ずは小手調べじゃ」


 怠慢の後ろで渦巻く魔力が形を変えてゴーレムに向かって行った


 「…エリック本人では無いんだけどな~ほら、ウォーターボールで相殺」


 怠慢の放った炎を水の魔法で打ち消したゴーレムは苦笑いを浮かべ否定していた


 「…次はどうじゃ?」


 炎を水で相殺した為に水蒸気が充満している所を怠慢が雷の魔法を放った


 「うん、良い判断だ(笑)ただな~これが限界か?例えば…多重魔法とかさ~こんなやつ」


 ゴーレムは笑いながら土の魔法で雷を相殺して風の魔法を上から被せつつ炎を竜の形に生成した魔法を二つ同時に発射した


 「へ?ちょっと待て~結界!結界!く~ギリギリだった~次はワシだ……あれ?」怠慢は首を落とされゆっくりと消えて行った…


 「まぁ魔法の多重展開と近接攻撃は同時にやらないとね?…て、聞こえないか~ナビ?怠慢に今回の説明と至急戻るように伝えてね?」ゴーレムはナビに指示を出した


 [……………………]


 「あれ?ナビ??」

 「…ふむ、俺からも頼むよ(笑)」エリックが笑いながらナビに頼んだ

 [畏まりました、早急に対応させていただきます]エリックに言われた瞬間に対応を始めたナビにゴーレムは苦笑いを浮かべた

 「…まったく~指示の内容は同じなのに融通が利かないな~(笑)」

 「まぁそこがナビの良い所だろ?俺なら解ってるじゃん(笑)」

 「まぁね~(笑)で次は誰がやる?」


 「…どうしましょう…勝てる気がしないです~」

 「本当だな…まぁ俺達は元々文句なんか無いしやらなくても良いんじゃないか?」


 怠慢との戦いを見た二人の魔王は腰が引けていた


 (…もう少しデータが欲しいですね~だとすると…残りの魔王達に頑張って貰ってそれから対策を取り挑むのが今のベストですね…なら…)

 「…強欲と憤怒の魔王二人同時に挑んでも良いのではないですか?どうなんです?」

 「おいおい、流石にそれは…」「良いぞ~」「良いのかよ!?」

 「…それなら何とか挑んでも?どうする?強欲?」

 「…そうですね~二人でなら行ける?のでしょうか~?」

 「私は応援しますよ(笑)頑張って下さい~」

 「そうね、どうせ死にはしないし今の強さの確認をするには良い経験よ?」(少なくとも私には良い経験よ?攻略の糸口が見えれば良いのだけれど…)


 「…分かりました~二人にも応援されましたし…怖いですがやってみます!!」

 「…そうだな、どうせ死にはしないしな~最強の強さを見せて貰うか!胸を借りるぞ!エリック!!」


 「…了解~なら次は二人ね?解ったよ~何時でも良いよ?それとも此方から行くかい?(笑)」ニヤニヤしながらゴーレムは歩き出した


 魔力を滾らす強欲と気を練り込む憤怒は同時に動いた


 「「勝負だ!エリック!!」」

 「掛かって来い!」


 第二回目の戦いが今始まった

 「……何か本当に魔王みたいだな……」

 呆れるエリックを残して…


 

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