第35話 試練の塔

 ~~怠慢の魔王視点~~


 試練の塔の第一号試験体に選ばれた怠慢の魔王は驚いて居た

 「…外見と中身が違い過ぎでは??こんなに広かった??」

 [改めまして、ナビです]

 「!?びっくりした…よろしく…です…」(馴れないな~エリックの感じからワシにしか聞こえてないみたいだし…どうなってるの?これ…解らん…)


 怠慢の魔王が目にしたのは一面草木に覆われた森の中に少くないモンスター


 (…慎重に行くか?でも試しに戦うのも良いかな?最初の部屋だし…)


 [前方から二体の魔物が近付いて居ます]

 (へ~ナビはそんな事も教えてくれるのか…)


 怠慢に近付いて来るモンスターに無詠唱で魔法を唱えた


 [怠慢の魔法攻撃…コボルト二体にヒット……コボルト二体を撃破した]


 (…ほう…分かりやすいな…)


 [コボルトはコボルトの爪を落とした]


 (…へ~アイテムも落とすのか…一応拾うか)


 コボルトの爪に近付いて収得しようとした所、目の前で急に消えた


 (!?何で??拾えないの???何で拾えないのに落としたの??)


 […ストレージに収納されました…確認方法はタグを握り目を閉じると頭に浮かびます…質問は有りますか?]


 「…凄いな…試しにやってみるか……へ~頭に浮かぶって凄いな……そうか!これがエリックの見えてる世界の一部か!?ストレージってよく言ってたよな…」

 […マスターの持つ機能の一万分の一程度ですけどね…]

 「!?一万分の一!?どんだけエリックは凄いのよ??」(勝てる気がしね~)


 しばらく森の中を探索して出来る事を確認した怠慢はやっと次の階へ向かう部屋を見付けた


 (…此処は?)[次の階へ向かう為のクリスタルが在ります](クリスタル?)[利用すると次の階へ向かうか外に出るかを選べます](なるほど?まぁ試してみるか…)


 [次の階へ進みますか?外へ出ますか?]


 「そうじゃの~なら、出るかな~流石に長い時間この施設に籠るのもな~エリックが心配するだろうし」


 […了解です、脱出でよろしいですか?]


 「よろしく頼む」


 [では、脱出の準備に掛かります…入り直しはこの階の最初からに成ります…では、ごきげんよう~]

 「!?待って??最初から??そんな…」

 [お疲れ様でした、試練の塔準備部屋でございます]

 「…そんな~まぁ仕方がないか~で此処では何が出来るの?」

 [此処では試練の塔に対する為の装備や備品を買う事が出来ます、また要らない物の買い取りも致しますのでストレージから指定して下さい]


 (…ふむ…まぁやってみるか…)


 「なら装備の購入でお願いするわ」


 [メニューは私の前で目を閉じて頂ければ見えますので、そこから指定して下さい]


 「ほう…では早速……うん?この予算が足りないとは?」

 「貴方の所持金では買えないと言う事です」


 (うん?所持金?何それ?…あ!!さっきの要らない物の買い取りとか言ってたやつか?まぁやるか)

 […指定された物の買い取りで宜しいですか?]


 「はい、お願いする」


 「では、全部で銀貨二枚に成ります…宜しいですか?」

 「それで頼む」(銀貨二枚か~それで何が買えるのかな~)

 […買い取り完了です、他に何か在りますか?]


 「う~ん、まぁ試しにこの銀貨二枚の剣で頼む」


 […お買い上げありがとうございます、ストレージに入れて置きますので使う時は出して使って下さい、他に何か在りますか?]


 「いや、特には無いかな~」


 [出口は後ろに成りますので、またのお越しをお待ちしております]


 「…後ろか…気が付かなかった…」


 後ろの出口から出て行った怠慢は早速エリックに感想を伝えた


 「あ!エリック!凄い施設だな!!」


 「お~お帰り~どうだった?」


 「凄かったとしか言い様が無いけど…先ず広すぎ!!かなりの時間が掛かって一階しかクリア出来なかったのだが??」


 「うん?一階だけ??確か一階はチュートリアルに設定したから敵も弱いし練習に成らないだろ~?」


 「へ?そうなの??でも、体感では1日位は使ったぞ?」(空腹具合や疲労感で大体合ってるはず…)

 「まぁそれくらいかな?多分勘違いしてると思うけど…入って直ぐ出て来た~位の感覚だぞ?外ではさ(笑)」

 「そうなの?でも…かなり疲れたぞ?腹も減ったし…」

 「そりゃもちろん!中と外では時間の流れが違うからさ~(笑)」


 「へ?どうやって?そんな事が可能なの??」


 「まぁ色々と魔法陣とか魔道具とか~まぁ気にするなよ(笑)で?感想は?」


 「…気になるだろ…まぁ詳しく聞いても解らないか~そうだ!ワシ、剣を買ったのだった!出しても良いかの?」(え~とストレージから出す?だったかな?)

 「お?ストレージか?良いよ~出してみて?」


 「え~と…ストレージから出す…??…こうか?お?出た」(いや~不思議な感じがするけど…馴れると便利かも…)

 「うん、まぁ良いかな~で?次は限界までチャレンジしてくれると助かるかな~時間的にはそんなに掛からないしさ(笑)」

 「いや、外ではね?中では普通に大変だったぞ?」(まったく~無茶を言うな~まぁエリックの為だし次はもう少し位は頑張るかな?)

 「まぁ多少の食べ物を持って行けばまだ行けるでしょ?ちなみに~階層を進めると進んだ先で再開出来るからね?」

 「そうなの?なら少しでも進んだ方がお得じゃな(笑)まぁ二回戦へ行って来るさ~」


 「はいよ、いってらっしゃい~頑張れよ(笑)」



 ~~エリック視点~~

 怠慢の魔王を見送ったエリック達は寛いで居た


 「…ストレージとかズルくないですか…私も使ってみたいのに…」

 「うん?良いよ?ほらタグとナビのセット…二人にもどうぞ?」(まぁ元々渡す予定だったんだけどね~)

 「…これでお揃い…嬉しい…」

 「…へ~便利ですね…ストレージに色々入るのは楽ですし、何より出し入れがスムーズですね…色々出来そうです…」

 「楽しそうで何よりだね(笑)まぁ試してみなよ(笑)色々出来るし…逆に使いこなせないと大変かな?」

 「色々試してみますね?」

 「私もです(笑)お揃いだし、同じくらいには使いこなしてみます(笑)」

 「頑張れよ?まぁ次は怠慢の魔王も死に戻りしてくれるだろうから…」

 「死に戻り?」

 「何ですかそれ?」

 「フッフッフ、今回の目玉機能の一つ!!施設内で死亡或いはその可能性が在る状況になると準備室に戻るのさ~まぁペナルティとしてストレージ内のアイテムが失くなるけど…まぁ多少だよね(笑)」


 「…エリック??」

 「お~お帰り~次はどうだった?」(表情的に死に戻りしたかな??)

 「…食べ物を持ってないかな?」

 「有るよ~ほらテーブルに食べ物を出すからゆっくり食べなよ(笑)」

 「…すまない…旨いな…」涙を流しながらゆっくり食べる怠慢の魔王

 「まぁゆっくりしなよ~で?どうだった?」

 「…先ず、食べ物が大事だと思った…」

 「そうかそうか、で?」

 「今回は十階まで行けたのだけど…食べ物が途中で失くなって…腹がへって動けなくなって…気が付いたら準備室に居て…ストレージも空に成ってて…でも、腹がへってて…まぁ今に至る感じかな?なぁエリック?ワシに何が在ったの?」

 「まぁ簡単に言うと~死にかけた…で~強制的に戻されたのさ~通称、死に戻りだよ?ギリギリまでチャレンジ出来るように付けた機能だからさ(笑)無事に作動して良かった(笑)ありがとう!動作確認は無事に終了です~お疲れ様でした~」

 「…へ?と言う事は…!?それが機能しなかったらワシは死んでたの??」

 「…まぁ危ない所位には成ったかな?一応ナビに緊急用連絡を設定していたから俺が助けに行く予定だったよ?」

 「…本当に?まぁエリックが助けに来るなら安心だったのかな?」

 (まぁ一秒が一日だからかなりシビアだったけどね~魔王は身体が強いから平気かな~と思った…何て言えないよね~無事に作動して良かった~(笑))

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