第26話 封印門の解放


 ~~ティア視点~~

 「はい!絶対に助けましょう!」(とは言え…この指輪が無くなるのは…悲しいですね~(泣))

 「じゃあ、開けるわよ?覚悟は良い?」最後の確認をするマーリン

 「はい、よろしくお願いします!」(此処まで来たからには絶対にエリックさんに会わなくちゃ)気合いを入れて頷くティア


 指輪を封印門に触れさせた瞬間、指輪は消えて代わりにマーリンの手には一つのカギが現れた


 「これが…封印門を開ける為のカギ…」手の中のカギを見詰めるマーリン

 「……指輪が……消えた…」(はぁ~覚悟はしていたけど…実際に無くなると…駄目です…泣きそうです~)

 「…ティア?このカギは貴女が使って?ほらあの人を助けるのでしょ?ほら元気だして?」ティアが落ち込んでいるのに気が付いたマーリンは何とか元気を出せるように励ました

 「…はい~頑張りますよ~」(は~駄目ですね~この選択が合理的なのは解ってますが…マーリンさんが心配してますし…切り替えて行かないと!)カギを受けとるティア

 「ではでは、開門しますよ~で?どうやって使うのですか?鍵穴は見当たらないですよ?どうします?」(む~出鼻をくじかれました~気持ちを切り替えたのに~)

 「ちょっと待ってね?……あら?開門の仕方は書いてない?ただ、閉め方は書いて有るから…まぁ閉門の仕方は門を閉めながらカギを押し付けるみたいよ?」資料を読みながらティアに説明するマーリン

 「そうなんですか~あれ少し門が動いていませんか?」(少し振動が?何でしょうか?解りませんね~どうしましょうか…)封印門を見詰めるティア

 「あら?本当ね?もしかして門が開こうとしているのかしら?」ティアに言われて封印門に目を向けたマーリン


 徐々に振動が強くなり封印門が開こうとした次の瞬間


 「ドゴーン!!」外から凄い音が城の中に響き渡った

 「何の音?!」「外からです、あそこからなら見えるのではないですか?行きましょう!」走り出すティアとマーリン


 「…ちょっと遠いけど見えるわね…あれは…キングオーガの上位種?!状況は劣勢ね…周辺の結界が機能していない…もしかして…」考え込むマーリン

 「!?ダンブさんの右腕が無いですよ!!どうしましょう助けに行かないと!」(不味いです~速く助けに行かないと、間に合いません!)

 「……駄目よ、助けには行けない…」

 「どうしてですか?速くしないと手遅れになりますよ?」

 「理由は有るわ、まず私達が行っても勝てるか解らない位相手が強いの、あと封印門を開けっ放しで離れるのはリスクがあるわ、もし時間で門が閉まったらティアの指輪が無駄になる…それに門の中に何が有るか解らないのに魔力を使いすぎるのは危険よ」淡々と説明するマーリン

 「…ではマーリンさんは見捨てるのですか?…仲間やこの国の人達を…」


 「……正直…セバス達は助けたいけど…」

 「なら、助けましょうよ!」

 「…やっぱり駄目よ…セバス達よりもあの人の方が私には大切だし…何よりもあの人を侮辱したこの国がどうなろうと私は知らない…」

 「でも!全ての人がエリックさんを忘れた訳では無いですし、感謝している人達は沢山居ます!私にはマーリンさんみたいに完全に割り切れはしないです!」(マーリンさんが言う事も理解できますが~もどかしいです~説明できないのが悔しい~)

 「…ふ~解ったわ、ティアの言いたい事も理解できるし…私は早く助けに行きたいから…ここからセバス達を手助けしてそれからあの人の所へ行くわよ?それで良いかしら?」ティアに微笑みながら妥協案を伝えるマーリン

 「!?本当ですか?はい!それでは善は急げです(笑)」(良かった~何とか私の気持ちが伝わりました~これでセバスさん達が助かります~)

 「まったく、ティアには敵わないわ(笑)良い?此処から魔法で援助するのよ?ティアはそうね~ダンブの腕を治せるレベルの範囲回復でお願いね?良い?行くわよ?」集中し始めるマーリン

 「了解です!」同じく集中するティア

 「ではでは、私から~」「詠唱もしなさいよ?魔力を大事にね?」注意するマーリン

 「了解です~…光の加護を指定した人物に与え、癒しの力を高め身体を元の姿に戻したまえ……エリアヒール女神の息吹き!!」


 魔法を唱えた瞬間、セバス達は光輝き身体の怪我を癒し始めた


 「相変わらず凄いわね~なら次は私ね?…空気中に含まれるマナや精霊よ…私の魔力に応え力を貸しなさい!天からの裁きのイカズチを難敵に与えたまえ……スポットライトニング神の裁き!!」


 魔法を唱えた瞬間、キングオーガの上位種に頭上からイカズチが直撃した


 「ふ~これで五分五分位かな?もう良いでしょ?行くわよ?」結果を確認する前に封印門へ向かうマーリン

 「へ?待って下さい!今ので倒せないんですか!?みんなの身体も回復しました、なのに五分五分なんですか?」疑問をマーリンに聞くティア

 「そうね~結界が機能していないから魔物の力が強くなってるみたい、まぁセバス達なら何とかなるんじゃない?ほら、行くわよ?」振り向きながら答えるマーリン

 「…では、結界が機能していない理由は何ですか?」(多分…いや絶対に封印門の解放が理由ですよね~どうしましょう…)

 「…そうね~ティアも予想は出来ているだろうけど…結界と封印門が魔力的に繋がっていたみたいね…きっとあの人が将来的に結界から出る為の細工ね~あの人らしいわ(笑)」


 「そうですか…なら…仕方が無いですね…私は…マーリンさんみたいに割り切る事が出来ないみたいです…なので……ドン!!…エリックさんを頼みましたよ?」マーリンを後ろから突飛ばし封印門へ落としたティア

 「へ?…ちょっと!!ティアはどうするのよ!!」落ちながら叫ぶマーリン

 「私は此方の世界で二人を待ちますよ…何時までも…マーリンさん!頼みましたよ~!!……ガチャン」封印門を閉めたティア


 (頼みましたよ、マーリンさん…)


 

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