第23話 キングオーガとフリス
逃げるように飯屋から飛び出したフリスと国王は停めていた馬車に乗り込んだ
「さあ!出発だ!」馬車を動かすフリス
「何を慌てて居るのじゃ?勇者なのだから、どっしり構えれば良いのではないかの?」
「馬鹿か?国王と勇者が金も無いのに飯屋で無理矢理ツケにしてるのが知り合いにバレたら何を言われるか…」(まぁこんな田舎に俺の事を知ってるやつは居ないと思うがな…)
「取り敢えず、キングオーガの所まで向かうぞ!」
森の中を馬車で走るフリス達は魔王城の近くの拠点を目指していた
(このまま馬車で拠点まで行けたはず…てか、まだ在るよな…いや、在るはずだ!アイツが作った物は間違いなかったからな…ムカつく奴だったが物作りに関しては凄かったからな…たしか魔物に襲われないセーフエリアとか言ってたからな~)
「良いか?これから向かう拠点で国王は待機していてくれよ?流石に守りながらは戦えないからよ」
「拠点?そんな物がこの森に在るのかの?」
「あ?まぁ魔王城を攻略する時に作ったやつがまだ在るはずだからな、そこで待機していてくれ」(付いて来られたら邪魔でしかないし…討伐が無理なら逃げるから…足手纏いは要らない)
「分かったぞ、その拠点とやらで待っていたら良いのだな?」納得した国王は返事をした
~~数時間後~~
(森の中だと時間の感覚が分からなくなるな…ただ、体感的にはもうそろそろ着くと思うのだが…お?在った、良かった~外観は無事みたいだな、まぁあれから全然時間が経って無いし当然か…)
「ほら、見えたぞ!あれが拠点だ」
「ほう?あ~ずいぶん小さいの~それに汚そうだしの?あんなので大丈夫かの?」心配する国王
「あ?大丈夫だよ、あれでも魔物が近付けない結界?聖域?だかが守ってるらしいぞ?」(あれ?何だったかな?まぁ大丈夫だろ?見た目は変わってないしな)
「まぁ勇者殿が言うなら…で?ワシは此処で待って居ればよいのじゃな?」
「おう、頼むわ」(これで身軽になるな、そうだ馬の世話も頼まないとな~)「あと馬の世話も頼むわ~まぁエサは勝手に食べるから逃げ出さないように気を付けてくれるだけで良いからさ」
「うん?ワシの食べ物は何が有るのじゃ?馬よりもワシじゃろ?」
「あん?勝手に部屋の中に有る物を食べて良いぞ?確か食料が入った箱が有ったはずだからよ、まぁ頼むわ~」
「分かったのじゃ、まぁ気楽に待つとするかの~」小屋に入って行く国王
(後は馬を括って…よし、これで良いな)
「じゃあ、行ってくるわ~」小屋から走って離れるフリス
(ここまで来れば誰も見てないな…)「はぁ~やってらんないな…取り敢えずは足手まといが居なくなっただけましか~もうそろそろ城が見えてくるし…覚悟を決めるか…」
しばらく歩いたフリス、魔王城の近くまでたどり着いた
(…魔王城か…ここのは懐かしいな…あの頃は良かったな~皆から尊敬されて…戦闘は他のやつがやって手柄だけ貰えて…)「まぁ仕方がないな、全部アイツが悪い!まったく、その為に俺がこんな事をやらされてるし…割に合わない!」(まぁ独り言はこれくらいにして…そろそろ、今回のターゲットを探すか…情報によれば此処から南の方に居たらしい…慎重に探すか…)
周囲を索敵する事数十分、フリスはオーガの集団を見付けた
(お?居たな…オーガ十体とキング一体か~まぁ結界内なら何とかなるかな…仕方がない、やるか~)「お?小鬼かと思ったら小さいオーガだったか?てかリーダーの鬼も小さいな(笑)てか結界が通れないなら来るなよ(笑)まぁ雑魚には結界を通るのも大変だからな(笑)」(これだけ挑発すれば激昂して突っ込んで来るだろ…そこを順番に叩く!)
「…フザケタニンゲンダナ…ソンナソウビデカテルトデモ?」
(よし、上手く行きそうだな…このまま油断してくれれば…)「テメーら小鬼なんてこんなもんだろ?薄着で充分だよ(笑)」
「…コウカイスルトイイ…ヤルゾ…」動き出すキング達は結界を無理矢理通り始めた
「グォー!イクゾ!!」結界を通りフリスへ襲いかかるキング達
「へ、来やがったな!マジックバックから装備を転送!」マジックバックを叩いて叫んだ瞬間にフリスの身体を純白の鎧が包み込んだ
「「グォー!!」」二体のオーガフリスに向かって突っ込んで来た
「へ、甘いな」二体のオーガからの攻撃を余裕で避けて、去り際に二回剣を振り抜いた「ほらよ!」
倒れた二体のオーガを見てからキングを見据えたフリス(?おかしいな…何で結界内で普通に動ける?それにオーガ程度が激昂して二体しか動かないのも変だ…少し様子を見るか…)「おや?他の小鬼はビビったのか?(笑)」
「…ダマレニンゲン…オマエタチモオチツケ!ウゴケテイルシ、タイセイヲタテナオセ!ワカイヤツラガヤラレタノハボスノハナシヲキカナカッタカラダ!」オーガ達は即座に武器を構えて陣形を作り始めた
(おいおい?マジかよ!オーガが陣形?戦闘戦術が出来るってか!?不味いな…これは話が変わるぞ…)「へ、小鬼の癖にずいぶん慎重だな(笑)此方は一人だぞ?ほれ、掛かって来いよ(笑)」
「フン、チョウハツハムダダ、サァユックリトススメルゾ!」オーガ達は陣形を崩さずにゆっくりフリスに近付いて行った
(くっそ!戦いにくい!何だよこれ!)
オーガが少しずつフリスとの距離を詰めながら背後を取ろうと動き出した
(!?背後を取られたら不味い…手前から攻めないと…)「小鬼の癖にビビリだな(笑)そっちから来ないなら俺から行くぞ?」フリスは上段に構えて一番近いオーガに斬り掛かった
「キダゾ!マワリノモノハカバーニハイレ!カナラズフクスウデタイショシロ!」
「は!小鬼の癖にさっきから難しい言葉を使うな?意味が分かってるのか?」(おかしい、いくらキングとは言え賢すぎる…!?もしかしたら裏にキングの上が居るのか?だとしたら、不味いな…隙を見て逃げないと…)
時は遡りフリスがオーガと出会う前
~~セバス視点~~
「では、そろそろ出発しますかね?」(計算ではそろそろ、勇者が魔王城に向かっているはずですしね~)
「分かりました、向かいましょう!」勢いよく立ち上がったエドガード
「そうね、行きましょうか~それにしても勇者と国王が無銭飲食するなんてね~(笑)」笑いながら立ち上がったレイナ
「まぁ、仕方がないのか?国王は金の事はよくわからないだろうし、勇者は全部取られたしな~」
「いやいや、駄目ですよ!私の父ながら恥ずかしい…その節はセバスさんの部下の人に迷惑をお掛けしました…」深々頭を下げるエドガード
「いえいえ、偶々そこに私の部下が居ただけですし、そもそも私の指示では無いですよ?なので次に会ったときに直接お礼をしてみては?本人も喜びますよ?さあ!雑談はこれくらいで、気合いを入れて行きますよ!」
森に向かい全力で走り出したセバス達は魔王城へ向かいました
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