第21話 偽りの勇者フリス
~~フリス視点~~
時は少し戻り、フリスと国王が城を出発する頃
「さあ勇者殿、出発式を始めるぞ!」意気揚々と外に向かう国王
「そんな騒がなくても分かってるよ、まったく面倒臭いな~」(何で俺がこんな事をしなきゃなんだよ…キングオーガなんか一人で討伐出来るかよ…あ~逃げたい…)
「何か言ったかの?」
「何も言ってないぞ、ほれ早く行くぞ」(何とかアイツらと合流出来ればな~マーリンなら余裕だろうし…てか旦那様のピンチに何してるんだよ!腹立つな~)
城の前に出た国王とフリスは集まった国民に手を振りながら用意された馬車に向かった
「では、これより勇者フリスは王国の脅威であるキングオーガの討伐に向かう!皆の者は勇者からの朗報を待つが良い!」
「おう、大船に乗ったつもりで待っててくれ」(ヤバイな…もう、後戻りは出来ないな…)
馬車に乗り込む勇者と国王…馬車は動く気配が無かった…
「おい?何時動くんだ?てか馬車の操作は誰がするんだ?」疑問を国王に聞くフリス
「?何を言っておる?他に人は集まらなかったんだからお主しか居ないぞ?ワシは操作出来ないしの~」簡単に答える国王
「はぁ!?俺が動かすのかよ?まぁ出来なくは無いが…誰か雇えなかったのか?」(流石に勇者が運転はカッコ悪いだろ…)
「仕方がないのじゃ…誰もキングオーガに近付きたく無いからの~」
「まぁ…それもそうか…仕方がない、分かったよ俺がやるよ…」渋々立ち上がり前に向かうフリス
「じゃあ、動かすぞ~ハイ!」馬にムチを入れて動かすフリス
「うむ、頼むぞ~」
(まったく…これなら馬車より馬の方が楽だったな~面倒臭いな…国王も邪魔だし…)
~~一時間後~~
「勇者殿?そろそろ、休憩にしたいのじゃが…町はまだかな?」疲れた様子でフリスに声を掛ける国王
「はぁ?もう休憩か?まだまだ町までは時間が掛かるぞ?」(おいおい、いくらなんでもバテるのが早すぎだろ~これだからお偉いさんは…)
「せめて次の町までは我慢してくれよ?食べ物なら食べてて良いからさ~」
「そうかの?なら勇者殿の分も食べるかの~(笑)ワシの分はもう食べてしまったからの~お言葉に甘えるとしようかの(笑)」食事を始めた国王
~~三時間後~~
「まだ着かないのか?」フリスに聞く国王
「まだだよ、だけど馬が疲れて来からこの辺で休憩にするぞ」(マジで疲れた~何だよこのジジイは!道中も飯を食うか喋るか本当に五月蝿かった…)馬車を止めてから中に入ったフリス
「なぁ?俺の分の飯は?何処にも見当たらないが…」辺りを見渡すフリス
「?ワシが食べたから無いぞ?」答える国王
「はぁ!?俺の分も食べたのかよ!どうすんだよ!」
「食べて良いと言ったのは勇者殿だぞ?あ~まだ果物が少し残ってたかな?ほれ、隅っこの袋に入っているぞ?」袋を指差す国王
「あ?何れだよ、?これか?てかリンゴが1つだけ……そうだ!俺のカバンに干し肉と黒パンが有ったはずだ」思い出したフリスはカバンを漁った
「あ~カバンの中に固くなった肉とパンが有ったから捨てて置いたぞ?食べていたら腹を壊してたかも知れないからの~(笑)」
「ば!馬鹿か!?あれは保存食だ!食べ物が何も無いとか…どうすんだよ…シャリ…旨いな…」リンゴを食べながら悩むフリス
「まぁ町までの辛抱じゃな(笑)ちなみにいつ頃町に着くのじゃ?」
「あ?そうだな…城から此処までで…途中で仮眠を取って…まぁ明日の朝位には着くかな?」
「何?明日の朝!?どうするのじゃ?夜ご飯は?」
「だ~か~ら~悩んでんだよ!俺なんてこのリンゴだけだからな!?」(まったく…どうするかな~まぁ森の中だしオークか野生動物か魚か…散策するしかないかな?ただな~国王が居るから余り離れれないし…かと言って連れて歩きたくは無いな…まぁ仕方がない何か有ったらその時考えるか…今は食べ物だな)
「取り敢えず食べ物を探しに行ってくるわ~何か有ったら大声で呼んでくれ、なるべく速く戻るからさ~」馬車から降りて国王に声を掛けるフリス
「分かったのじゃ、ワシの分も頼むぞ?」
「分かってるよ、まぁ馬車からは降りるなよ?危ないからな」(まだ食うのかよ…面倒臭いが仕方がないか…一応は雇い主だからな~)
辺りを散策し始めたフリスは集中して生き物を探した
(出来ればオークが良いな…次に野生動物か~魚かな…先ずは川か池を探して…無いな~生き物の気配はゴブリン位だしな~)
~~一時間後~~
(駄目だな…川や池すら見付からないし…そもそも、余り国王から離れるのも問題だし…オークも見付けれないし…最悪の場合ゴブリンか~嫌だな…アイツらの肉は臭いからな~まぁ背に腹は代えられ無いしな…ゴブリンを狩って戻るか…)
ゴブリンを一体狩ったフリスは国王の元へ戻った
「お~い、戻ったぞ~」狩ったゴブリンを引きずりながら戻ったフリス
「お~勇者殿、戻ったか、で?晩御飯はどうなったのじゃ?」馬車から降りる国王
「食べ物は見当たらないが…どうなったのじゃ?」フリスの周りを見ながら確認する国王
「うん?これだよ、これ」ゴブリンを見えるように持ち上げるフリス
「今から調理してやるから待ってな」
「はぁ?ゴブリンは食べれないじゃろ?小鬼料理なんて聞いた事もないぞ!?」驚く国王
「まぁ聞いた事は無いだろうな…俺も何回かしか食った事無いしな~基本的に不味いが死にはしないから安心してくれ(笑)」(さてと、どう調理するんだったかな~特殊な方法で少しはまともな味になるんだけど…忘れたな…まぁ焼いて食うか~臭いけど…)
ゴブリンを解体して火に掛けると辺りに生臭い独特な匂いが充満しだした
「勇者殿?凄く臭いのだが…本当に食べれるのか?」鼻を塞ぎながら訪ねる国王
「あ?毒素は無いから大丈夫だ、まぁ食ってみてくれ」(まぁ最初は国王に食わして毒味だな…)
「本当に大丈夫なのか?腹が減ってるから食べるが……パクっ……不味い…」一口だけ食べて後は捨てた国王
「あ!勿体無い!投げるなよ~他に食べ物が無いんだからよ」(まったく勿体無い事しやがって…まぁ俺も食うか…怖いけど…)ゴブリンを口に入れるフリス
「…パクっ……不味い…けど食べれなくは無い……パクっ…」文句を言いながら少しずつ食べていくフリス
「よく食べれるの~ワシは無理じゃな…まぁ馬車で寝て居るから食べ終わったら出発で頼むぞ?」馬車に乗り込む国王
「分かったよ、食ったら出発するよ」(まったく面倒臭い奴だな~それにしてもゴブリンは不味いな…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます