第20話 キングオーガ討伐⑤

 ~~セバス視点~~

 背の高い木に登ったセバスは眼に魔力を込めて遠くを見つめた

 (今回の場合は魔力感知が使えると良いのですが…生憎私のはそこまで長い距離が調べれませんからね~あの人達が羨ましいですね(笑))


 眼に魔力を込めたセバスは周囲を観察し始めた

 (奥に見える魔王城から横に結界が張られているからそのまた奥に居るはずですよね~キングクラスは結界を直ぐには通れませんし……あ~居ましたねキングオーガが一体と普通のオーガが十体ですか…まぁ妥当ですね~戻りますかね~)

 振り返り戻ろうとした時に少しだが違和感を覚えたセバス

 (?何でしょうか…何時もと違うような……そうだ!何故か結界の前で止まってる、あれではまるで偵察をしている…では、キングの上にリーダー格が居るのですか…?統率が取れていますし…キングの変異体?)

 セバスは眼に込めている魔力を更に高めて遠くを見つめた

 (見付けれないですね…近くには居ると思うのですが……居ましたね~少し高い丘の上にキングオーガより少し体格の良い個体が…装備も良さそうですし、まぁ間違いないでしょう…キングオーガもあと二体控えて居ますね~一旦戻って作戦会議ですかね…)静かにその場から離れるセバス



 ~~エドガード視点~~

 「…それにしてもセバスさんが遅いですね~?先にご飯でも食べますか?」

 「それもそうね、先に食べましょうか?ダンブも良い?」ダンブに確認するレイナ

 「俺も構わないぞ?まぁもう戻ると思うがな」

 「ではでは、準備しますね~何が入っているかな~(笑)」マジックバックから食べ物を出し始めたエドガード

 「只今戻りました」部屋に入って来たセバスは疲れていた

 「お疲れ様ですセバスさん?珍しいですね?セバスさんが汗をかくなんて…何か問題でも有りましたか?」(何だろう…凄く嫌な予感がする…)

 「あ~そうですね、先ず始めに簡単に言うと敵の戦力が予想以上でした…」

 「何れ位だったんですか?」(セバスさんが焦る位ですから、予想の倍位は覚悟してないと…)


 「そうですね~キングオーガが一体とオーガが十体の編成で結界の前で止まって居ました」

 「へ?それ位ですか?」(少し拍子抜けですね~それ位なら何とかなりそうですね)喜ぶエドガード

 「馬鹿か!?そんな訳無いだろ!そもそも、オーガ種は脳筋だから考え無しに結界に突っ込み無理矢理侵入するもんだ!そうだろ?セバス」怒りながら説明するダンブ

 「その通りです、まぁ私も最初は見逃す所でしたので余り怒らないであげてください(笑)」笑いながらエドガードに助け船を出すセバス

 「有り難うございますセバスさん、話は戻しますが結果として敵の戦力は何れ位ですか?」

 「他にキングオーガが二体とオーガが二十体でその上に変異種が一体居ました」

 「キングの変異種?!聞いた事が無いが…何れ位の強さだった?」

 「そうですね~概算ですが…ダンブより少し強い位には見えましたね~」あっさり答えるセバス

 「はぁ?キングが三体のオーガが三十体でダンブクラスがボスに居る?どうするのよ…私達でも厳しいわよ?」不安になるレイナ

 「そうなんですよね~私の見立てでも五分五分か若干不利位の戦力差ですね~まぁ作戦次第だとは思いますが…正直厳しいですね~」頭を悩ますセバス

 「ほぅ、セバスは五分と読むか…それは全力で戦った場合か?」

 「勿論ですよ、私も出し惜しみ無しで戦って、戦略が決まれば五分五分位にはなりますかね~」

 「それって…かなり不味いですよね…」(余力なしの戦いで五分五分って…ほぼ戦力が足りない状態なのでは…)「そうだ!近くに居るマーリンさんに助けを求めたらどうですか?」(マーリンさんが居れば何とかなるはず…)

 「駄目ですよ、彼女らの邪魔はしては駄目です」キッパリと拒絶をするセバス

 「そんな事言っても…負けるよりは良いのでは?」

 「絶対に駄目です、彼女等の邪魔をするなら私は容赦なく見捨てますよ?」断言するセバス

 「僕達を見捨てるんですか!?」驚くエドガード

 「いえ、この世界をです。そもそも私はあの人を認めなかった人達もあの人から全てを奪った勇者も、それを認めた世界も嫌いなのですよ?助ける理由は元々無いのです!」

 「まぁそう熱くなるな、そんなのは此処に居る皆の意見だ、魔女達にエリックさんの救出を託してるから手を借りたく無いのも解るぞ」熱くなるセバスを宥めるダンブ

 「すみません、少し熱くなりました…」反省するセバス

 「いぇ、僕の方こそ…考えが足りませんでした…」(少し考えたら解るのに…駄目ですね、気を付けないと本当に皆が居なくなりますね…)

 「さあ、その話は置いて~で?どうするの?」場の空気を変えながら話し出すレイナ

 「そうですね~今の予定ですけど、結界が通れない間に敵戦力の分散及び減少を狙います」

 「どうやるのですか?」(それが出来れば今の戦力で何とかなるのかな…)

 「それは~まぁ勇者を囮にして結界を無理矢理越えた所を狙います、勇者次第なのであれですが…上手く行けば五分五分になる予定です」悩みながら答えるセバス

 「勇者次第!?それは賭けですね…勝算は有るの?」セバスに確認するレイナ

 「まぁ、勇者の行動パターンは予想しやすいので…問題はその後です…キングの変異種が果たして倒せるかどうか…」

 「でも、結界が有りますよ?結界の中ならかなり弱体化しますし…それでも勝てないのですか?」(結界が有るのにこのメンバーで勝てないとなると…どうすれば…)

 「いやいや、結界が機能していれば勝てますよ?ただ結界が機能していないと想定して計算していますので…そこが難しいのですよ~」悩むセバス

 「?結界が機能しない?そんな事が起きるのですか?」

 「はい、最悪のタイミングなら結界は効かないです」断言するセバス

 「それは…状況としてどんな状態ですか?」(セバスさんが断言すると言う事は…間違いなく起きる事ですよね…防げないのかな?)

 「それはですね~マーリンさん達が封印門を開けた時です、予想では封印門と結界は緻密に絡み合ってると思うので、開門と同時に結界が開く可能性が有ります、まぁ結界が開く規模は解りませんが…少なくとも城の周りの結界は開くと思いますよ?」

 「了解です…では結界が開いてからが勝負ですね?」(良かった~変に防げないのかとか聞いていたらまた怒られる所でした~下手したら敵扱いされてましたね…)

 「その通りですよ、まぁそれまでは勇者次第ですね(笑)」

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