第9話 王様とフリス


~~パレード二日目~~


 城の待合室で王様を待つフリスは寝不足でふらついていた

 (駄目だな、眠い…今日はちゃんと寝る場所を見付けないと…あと飯か~腹が減った…)


 「今日も頼むぞ?勇者殿?顔色が悪いが大丈夫かの?」

 「少し寝不足でして…」(この流れで中止に成らないかな~)

 「それはいけない!?エド!!何とか成らないか?」

 「そうですね~発汗作用の有る飲み物で顔色を良くすれば良いのでは?ついでに目覚ましにも成りますし、用意しますか?」

 「直ぐに頼むぞ」「少々お待ち下さい」メイドを従え下がるエドガード

 「これで安心だな(笑)」「はぃ…そうですね~」(ついでに食べ物も持って来てくれたら助かるのに…)


 「お待たせしました、此方が先程話した飲み物になります」奥から戻って来たエドガードはコップを持ってやって来た

 「そんな、エドガード様自ら持って来なくても…」 「言い出したのは私だから気にしないで飲んで下さい」

 コップを受け取るフリス

 「なかなか、刺激的な匂いですね~」(飲めるのかこんなの!?でも飲まなきゃだし…)

 「まぁ遠慮せずどうぞ?」「そうだぞ?勇者殿?時間も余り無いし、早く行くぞ?」

 「はぃ、頂きます…」一気に飲んだフリス

(!!辛!!なんだこれ!?辛くて苦くて空きっ腹にはキツイ~!!)

 「よし!顔色が良くなったな(笑)それでは、パレードに行くぞ勇者殿!」

 「行ってらっしゃい勇者様(笑)」

 「はぃ…行って来ます…」(クソ~絶対に解っててやってるだろ~俺が何かしたか!?)


~~パレード二日目その後~~


 疲れ果てた姿で城に戻ったフリスは悩んでいた

 (今日も終わったがこの後が問題だ…寝る場所と飯…そうだ!?あいつらの所に行って見るかな…)

 「それでは、今日もお疲れ様でした、また明日もよろしくお願いしますね?」

 「解ってるよ、じゃあな」イライラしながら城を後にするフリス


 (クソ~何で俺がこんな目に遇わなきゃいけないんだ!?これもアイツのせいだ!!)


 元パーティーハウスに着いたフリスは悩んでいた


 (そうだよ、ここにはアイツが居る可能性が有るから面倒臭い事になるかも…まぁ良いや何とかなるだろ)


 「お~い、俺だ!開けてくれ~」

 ガチャ「どちら様ですか~?あれ?フリスさん?どうしたんですか?」扉が開いた途端に滑り込んだフリス

 「いや、ティアに会いに来たんだよ?元気だったか?4日ぶり位だな(笑)」

 「まぁ、そうですね~それ位ですかね~?最近は忙しくて日時の感覚が無いですからね~では用事が終わりましたらお帰り下さい(笑)」

 「何照れるなよ~(笑)俺に会いたかったんだろ?マーリンも居るのか?」「照れてませんよ、マーリンさんなら奥に居ますが…」勝手に奥に進むフリス

 「!?駄目ですよ!!」「あぁ気にするな二人とも愛してるからさ(笑)」「?五月蝿いわね…誰が来たのよ…フリス?何で居るのよ」

 「すみません~勝手に入って来てしまいまして~」「よう、マーリン久しぶりだな(笑)」テーブルに有るパンに手を伸ばすフリス

 「そうね、久しぶりだけど、何の用よ?あと、勝手にパンを食べるな!」「モグモグそんな事言ったって寂しかったんだろ?モグモグ会いに来てやったぞ?嬉しいだろ?モグモグ」(旨いなこのパン、こいつらいつも食ってるのか?ズルいな…)

 「別に?そもそも、存在を忘れてたし、ねぇティア?」「はぃ…だからビックリしました」

 「モグモグまあまあ、俺を取り合うなよ(笑)モグモグ」

 「別に取り合っていないし、そもそも勝手にパンを食べるな!」「そうですよ、私達のパンですよ!?」

 「モグモグ、照れるなよ~大丈夫だ、今日からまた一緒に居てやるからよ(笑)」(二人とも照れて可愛いな~ティアはモジモジしてるしマーリンはツンデレだし…やっぱり二人とも俺に惚れてるな(笑))

 「はぁ?何言ってるの?あんたの場所は此処にはもう無いわよ?」「そうですよ、怒られる前に早く出て下さい~」

 「だから、照れるなよ(笑)俺の部屋はまだ有るか?」「無いわよ」「そうか~そんなに俺と寝たかったのか~(笑)なら今日はマーリンと寝るかな?」

(俺の寝る所を無くして一緒に寝るとか可愛い事するな~(笑))


~~セバス視点~~


 (ふぅ今日は遅くなりましたね~二人とも怒ってないと良いのですが…)

 「おい、まだなのか?早く部屋が見たいのだが?」

 「まあまあ、焦らないで下さい、もうすぐ着きますよ(笑)」

 「なら、良いのだが…」

 「浮かれてますね~剣聖とも在ろう御方が(笑)」

 「仕方がないだろ?あの人に会えなくとも部屋くらいは見たいのだから…」

 「まぁ、気持ちは解りますよ、私も同じでしたから(笑)まさか買い取る事が出来たなんて夢のようです(笑)そろそろですよ?」

 「あ~!!私のパン!!」突然聴こえてきたティアの叫び声

 「?何でしょう?」「さぁ、解らん、とにかく行って見るぞ?」 

 「そうですね、急ぎましょう」急いで向かうセバスと剣聖


 「只今戻りました、何が有ったんですか?」居間に入ったセバスは状況を確認した

 「あ~なるほど、原因は貴方ですか…何してるんですか?衛兵を呼びますよ?フリスさん?」(話には聞いていたけどここまでヒドイ人間だとは…)

 「げ!?お前はセバス!?何で居るんだよ!!」

 「何でと言われても…ここは私の家ですよ?逆に貴方がいる方が変なのですよ?剣聖さん、申し訳ないのですが衛兵を呼んで貰えますか?不法侵入です」

 「あぁ解った、行ってくる」家を出ようとする剣聖「待って下さい、あと私のパンを食べた罪もです!!」「解った、伝えておく」

 「ティアさんのパンを食べたのなら重罪ですね~許せませんね」

 「あ?パン位良いじゃね~か、俺とティアの仲だろ?」「何言ってるのですか?今食べたパンは王国大通りの有名なパンですよ?限定だったのに…」

 「まあまあ、落ち着いて下さいティアさん、また買って来ますから、ね?何なら今日は気晴らしに外食でもしますか?どうですかマーリンさん?」

 「私はどっちでも良いわよ?ティアはどうする?」「そこまで言うなら…解りました…」

 「よし!何処に行く?」「?貴方は衛兵の詰め所ですよ?連れていく訳無いでしょう?」(図々しい人ですね~よく、あの人はこんなのを連れて歩けましたね~私には無理です)


 「戻ったぞ」「流石に速いですね~」「急いだからな」一緒に入って来た衛兵に説明するセバス

 「と言う事で連れて行って貰えますか?」

 「了解しました!さあ!行くぞ!」フリスを連れて行く衛兵

 「止めろ!引っ張るな!ここは俺の家だ!ティア、マーリン助けてくれ~」

 「良い気味ね(笑)」「食べ物の恨みです!」


 「ふ~落ち着きましたね~」居間のテーブルに座る四人

 「先ずは自己紹介をお願いしますね?」

 「俺か?俺の名は《剣聖》ダンブだよろしく」挨拶しながら懐からメダルを出すダンブ

 「へ~ドラゴンと剣ね?格好いいわね~」

 「そんな事よりあの人の部屋は何処だ?観てみたいのだが…」

 「良いですよ、私が案内します」立ち上がるティア

 「すまない、頼めるか?」立ち上がるダンブ

 「それでは、その間に外食の準備でもしますか?」「そうね、そうしましょう」

 「お店は私の行き付けの店で良いですか?」

 「任せるわ」

 「了解です、それでは二人が戻ったら行きますか?」「?予約とかは良いのかしら?」

 「すでに手配済みです(笑)それにまだ会わせたい人も居ますので」「へ~それは楽しみね」

 奥から戻る二人

 「さぁ二人も戻りましたし食べ物屋に向かいますか」「はい!賛成です、お腹が空きました」「本当にティアは相変わらずね(笑)行きましょうか?案内は頼むわよ?」「解りました行きましょう」

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