第8話 封印門

~~マーリン視点~~


 「何とか取っ掛かりは見えてきたわね」

 参考用の魔道書を開きながら同意を求めるマーリン

 「そうですね~何とか少しは読める様に為りましたね~ただ、難しいです…」

 同意しながらも頭を悩めるティア

 「そう言えば上手く行ったのかしら?」

 「何がですか?」

 「セバスとフリスよ、まぁ~アイツはバカだから余裕でしょうけどね(笑)」


 「只今戻りました」

 「噂をすればね(笑)」

 「お帰りなさい」

 「はい、お土産のパンです、お食べください(笑)」

 「あら?助かるわね~」「有り難うございます」

 「いえいえ、気にしないで下さい」

 「モグモグ、そう言えばどうなったの?」

 パンを食べながら訪ねるマーリン

 「?どうとは?」「ほら、フリスよ」

 「あ~アイツは予定通り無一文にして装備も回収しましたから、まぁ問題無いでしょう(笑)この家からも追い出しましたし(笑)」

 「ふ~んでも、かなりのお金を使ったんじゃないの?」

 「まぁ、白金貨五~六枚位ですかね?(笑)」笑いながら言うセバス

 「!?まあまあな金額よ?」

 「そうですね、ですが~お金より大事な物も在りますよ?特にあの人の教えですよ?お金は手段で在って目的ではない、でしょ?」

 「まぁそうだけど…」

 「そんな事よりもどうですか?手掛かりは在りましたか?」

 「まぁ、少しは進展が有ったわ」「本当ですか!?」「本当に少しよ?」「それでも素晴らしいですよ!?」「そうかしら…」「一歩が大事ですからね?」「まぁそうよね」(先は長いけど…進めた事は確かよね!)「頑張るわ!」

 「はい、頑張って下さい、露払いはしますので(笑)」「頼りにしてるは、ねぇティア」「モグモグ、はい、頼りにしてます!?モグモグ」

 「相変わらず良く食べるわね(笑)」

 「モグモグモグモグそんな事無いですよモグモグ」(こんなに食べてスタイルが良いのは反則よね~)

 「ちなみに、何が解ったのですか?」

 「まぁあの人風に言うと機能よ、機能は魔王の力を利用して封印する事とあの人が魔力を込めると開く事よ?ただ…あの人の事だから何か隠してる機能が在りそうなのよ…」

 「モグモグ、そうなんですよ~ロマン?とか良く言ってたですし隠し機能が在りそうなんです」


 「あ~男のロマンとか言ってましたね(笑)懐かしいですね~」

 「まぁそう言う事よ、それに…諦めきれないじゃん…」(あの人はまだ生きてるはず…)

 「モグモグ、そうです、あの人は簡単には死にません、モグモグ」

 「そうですね、あの人が死ぬイメージは無いですね(笑)再会するためにも頑張って下さいね?私は魔道書が読めませんので二人が頼りです」

 「えぇ頑張るは」「はい、頑張ります」


~~フリス視点~~


 (王様に呼ばれて来たのは良いが新しい装備は一体いくら掛かったのかが心配だ…)


 「フリス様、もう少々お待ち下さい、今準備していますので」

 「いや、大丈夫だ…」

 「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」

 「いや、問題は無い」「お待たせしました」

 扉から現れたのは第一王子のエドガードと白金色の光輝く鎧一式だった

 「いや~どうですか?此方の装備は前の物より素晴らしいでしょ?」

 「そうですね…とても良さそうです」(高そうな装備だな…払えるか?まぁ半分だし何とかなるかな~?)「それでは、此方の装備に掛かった費用の半分金坂五枚は今貰えますか?」「はい?金坂五枚ですか?」(何でぴったり金坂五枚何だよ!?完全に金がなくなる…)「あ~そうそう、もしお金が足りなかったら働いて貰いますからね?よろしいですか?」

 「いゃ…払えるよ…」懐から金坂五枚を出すフリス

 「ほう、お持ちでしたか(笑)流石は勇者様ですね」

 「いや、それほどでも無いけど…」(これで無一文か~先ずはギルドに行って仕事をするか?討伐系なら報酬も良いだろうし…)

 「では、私はこれで…」「?何を言ってるのですか?これから国民に御披露目するパレードだと国王が言っていましたよ?まぁ少なくとも一週間は拘束させてもらいますね?あ~パレードの時間以外は自由ですので毎日昼から来てくださいね?よろしくお願いしますね?今日はこの後ですが一週間頼みますよ?」

 「解りましたが俺の寝る所とかは?」「?自由ですよ?昔、城には泊まらないと言っていたので手続きして置きました(笑)」

 「…有り難うございます…」(どうしよう…寝るとこ…あと飯か~金が無い…)


 「さぁ行くぞフリス殿!?」颯爽と現れた王様に連れていかれたフリスを見送るエドガード

 「それでは、頑張って下さいね?勇者様(笑)」


~~パレード一日目その後~~


 「やっと終わった~」

 「お疲れ様でした、また明日もよろしくお願いしますね?」

 「解ってるよ」(先ずはギルドに行って見るかな)

 「絶対に遅れないよう気を付けて下さいよ?」

 「解ってるよ、また明日な」(急がなきゃ…)

 急いでギルドに向かうフリス


 「おい、何か簡単な討伐依頼は無いか?」

ギルドに到着後直ぐに受付に駆け寄るフリス

 「討伐ですか?それはエドガード様から止められていますので無理ですよ?」

 「無理!?何でだよ?」(不味い…稼げない…)

 「エドガード様の話では新しい装備のお披露目をしてるので装備が傷付く事や血で汚れる事は駄目だそうですよ?」

 「はぁ!?ならギルドで金を貸せよ!!」

 「それも駄目ですね~ギルドの規定で一年に貸せる金額が決まってますので…あの時に貸したので上限ですよ?」

 「なら…せめて仮眠室を貸してくれ…」

 「まぁそれくらいは良いですよ?手続きして置きますね?ただ、部屋には新人冒険者が居ますので問題は起こさないで下さいね?」

 「解ってるよ」(どうして勇者の俺が無一文で新人と寝なきゃ何だよ~情けない…)


 仮眠室に向かったフリスは周りの冒険者の笑い声が気になって仕方がなかった

 (クソ~皆が俺を馬鹿にしてるように聞こえる…駄目だな早く寝よう…腹も減ったし、まぁ明日には何とかなるだろう)


 「邪魔するよ、今日はよろしく」仮眠室に入ったフリスは空いてるベッドに向かった


 「こんな所に何で勇者様が!?」「サインを貰えますか?」

 「あぁ良いよ、サインでも何でも書いたげるよ、だから早く寝かせてくれ」

 「有り難うございます!この服にお願いします」

「はいよ、他は?大丈夫か?」(もう静かにしてくれ…)


 結局、朝まで騒がれて眠れなかったフリスは寝不足のままお城へ向かうのだった


 (クソ~結局眠れなかった…気が付いたらもう昼だし…今日もパレードか~しんどいな…)

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