第6話 エリックの弟子や教え子②

~~フリス視点~~


 「ヤバい寝坊した!?何処だここ?」

周りを見渡すフリス、朧気ながら昨日の記憶が蘇る


 「そうだ、確かセバスとか言う奴に誘われて飲みに行って…そうだ!この素材を買ったんだった!これで貴族への取引は問題ないな(笑)」


 自ら馬車を走らせ貴族の元へ向かったフリス

(この取引で金と貴族との繋がりが手に入るぞ(笑)完璧だ)


 貴族の屋敷に着いたフリスは門番に声を掛けた

(相変わらず大きな屋敷だな)

「どうも、勇者フリスですが、旦那様は居ますか?頼まれてた物を持ってきました~」

「少々お待ちください、今確認中です」


「お待たせしました、此方へどうぞ」

 中から出てきた初老の男性に呼ばれたフリスは門番に馬車を預けて着いていった

「了解です、あ~馬車に物が乗ってるのでよろしく~」「畏まりました、確認しておきます」


「旦那様がお待ちです、失礼します」「うむ、入りなさい」「失礼します」


 中に入るとそこは応接室の様で、すでに館の主が座っていた


「まぁ座りなさい」「失礼します」「で?用意は出来たのかな?」「はい、間違いなく」「素晴らしい!今、確認中だからお茶でも飲んで待ちましょう」 初老の男性がすぐに紅茶を出した


「頂きます」(紅茶はよくわからん)「良い紅茶ですね?」「ほう解るか?」「はい、匂いが違います」(まぁ解らんけど(笑))「気に入って良かったよ(笑)」

 一人の男性が部屋に入ってきた

「失礼します、鑑定の結果は完璧な物でした」

「うむ、下がりなさい」「は!失礼しました」

「どうでした?」「いや~流石は勇者様ですよ、状態も完璧で言う事無しです」「それは、良かった(笑)では、お代の方を」「今持ってこさせますよ、おい!持って来い!」「は!只今、少々お待ちください」

 部屋から出る初老の男性


「お待たせしました、此方になります」

渡されたのは金坂五枚

「これで今回の取引は終了だな、また何か有ったら頼むよ」

 「そうですね?ありがとうございました?」

(あれ?確かアイツは白金貨一枚と金坂五枚でって言ってたような…)

 「どうでした?何かあったか?」

 「いや昨日、物を見た者に白金貨一枚と金坂五枚はすると言われたもので…」

 「ふむ、それはそいつが騙してるのでは?適正価格が解らない奴はかなり居るからな(笑)」

 「ですよね~それでは急ぎますので、失礼しました」(ヤバい騙された!?速くギルドに行って預けてる金を出さないと騙し取られる!!)


 急いで屋敷を後にしたフリスはギルドまで走って向かった


 「すまないが預けてる金を出してくれ!!」


 ギルドに着いたフリスは受付嬢に急かした


 「落ち着いて下さい、先ずはギルドカードの提出をお願いします」

「解った、これで良いか?」フリスはカードを渡した

「はい、少々お待ちください」「すみませんが待ってもらえますか?」「げ、お前は昨日の…」

 颯爽と現れたのは豪商セバスで、受付嬢に待ったを掛けた

「すみませんがこの方のお金は差し押さえて頂きます」「はぁ、どう言う事ですか?」「昨日の事ですがこの方が私から商品を購入されたので、その代金です」「明細は有りますか?」「はい、此方に明細と契約書です」「確かにお預かりします」


 淡々と事務的に話す二人に騒ぎ出すフリス


 「コイツは詐欺師だ!!俺を騙して大金を奪うつもりなんだ!!」「ほう?私が詐欺師だと?」

「当然だ!!そもそも、適正価格じゃ無かったんだ!!」


 「だ、そうですよ?受付嬢さん?確認して貰えますか?」

 「はい、私の見立てでも適正価格では無いですね」「ほら!!見たか!この詐欺師!!」「安すぎます!有り得ないですよ!?何ですかこれ?私が買いたい位です!!」「は?」「まぁ勇者価格というやつです(笑)」「こんなのギルドに売るだけでかなりの利益ですよ!?お酒も幻の銘酒ばかりだし…」


 「まぁ、此処まで言われたら私にもプライドが有りますから適正価格に戻しますね?受付嬢さんお願いできますか?」「そうですね~お酒は適正価格ですので、素材の方が白金貨三枚で合計白金貨六枚でしょうか?」「素晴らしい鑑定眼です、どうです?私の商会で働きませんか?」


 奥からギルド長が笑いながら現れた


 「おいおい、うちの者を引き抜くなよ(笑)」

 「これはこれは、ギルド長様お久しぶりです」

 「誤魔化すなよ(笑)」

 「いえいえ、これも適正価格と言う事ですよ?給金はそれなりに出しますよ?(笑)」

 「か、考えさせて頂きます~」奥に逃げる受付嬢

 「ほら、白金貨六枚だろ?足りない分はギルドで貸すよ」「ありがとうございました、これで私も気が楽に為りました(笑)」


 「へ?」話に付いていけないフリスは訳が解らなかった

「結局…俺はどうなるんだ?」「お前はギルドに借金をした事になるな、ほら借用書だ眼を通せよ?」

「この詐欺師に何でギルドが金を払うんだよ!?」

「まだ言いますか?私の商会で出入り出来ない様にしますよ?」

 「それは止めてやれ、冒険者として終わっちまうからよ」

 「まぁギルド長が言うのであれば…仕方がないですね、次からは言葉に気を付けなさいよ?」

 「結局、俺は誰に騙されたんだ?」

 「さぁ、貴族様じゃないですか?私には関係ないですから(笑)」

 「そんな~」項垂れるフリス

 「それでは、後はお任せします」颯爽と出て行くセバス


 「まぁビシバシ働いて貰うからな!?」

 「そんな~俺は勇者だぞ?」(クソ!何でこんな事になったんだ!?)「そうだ!パーティーハウスを売ればいくらかにはなるだろ?」「良いのか?競売に掛けて」「あぁ構わない!それでチャラにしてくれ!」

 「無理だな、足りない分は白金貨約三枚だぞ?足りる訳が無い、精々金坂二~三枚だろ?まぁ競売は客次第だがな~結果は解らないがどうする?」

 「それでも無いよりはマシだ頼んだ」

 「了解、荷物はまとめて置けよ?今日か明日には結果が出るからな」


 「解った、準備しておくわ~」急いで帰って行ったフリス


~~マーリン視点~~


 「さてと、そろそろ魔道書の解読を始めますかね?」居間のテーブルに座りながら向かいのティアに声を掛けた


 「そうですね、そろそろ始めますか」

 「私は封印門の方を調べるわ」

 「はい、私は封印剣の方を調べます!」

 「手分けして頑張りましょうね」

 「了解です!」


~~三時間後~~


 テーブルに倒れこむ二人

 「駄目だ~!全然解らない~」

 「此方もです~」

 「そもそも、意味が在るのかしら~?」

 「どうなんでしょ~?」

 玄関の方から声が聞こえた

 「失礼しますよ~」

 「?誰かしら?」「私が見てきますね?は~い、どちら様ですか~」玄関に駆けて行くティア


 「いやいや、お忙しい所すみませんね~失礼しますよ?」「ティア?この人は誰?」「はい、この方は豪商のセバスさんだそうです」

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