第4話 裏切りのフリスその後①

~~フリス視点~~


 「さらばだエリック、お前は邪魔なんだよ」

(よし!上手く行った!これであいつの富と名誉は俺の物だ!!)


 「まずはこの剣を持って行くか…てか重い…」

エリックの剣を引き摺るフリスは仲間の元へ急いだ


 「二人とも大丈夫か?」「?あら?荷物持ち?生きてたのね?」「本当ですね、フリスさんが急に居なくなったからてっきり死んだのかと思いました…」「二人とも酷いな~ちゃんと俺は生きてるよ(笑)まぁエリックは助からなかったがな…」「は!?何にふざけた事とを言ってんの?」「そうですよエリックさんが殺られる訳が無いですよ?」

「そう言われてもな~事実だし、ほら証拠の剣だ」


 フリスは二人にエリックの剣を見せた


 「何に引き摺ってるのよ!!」

怒り出したのは《魔女マーリン》


 「それは、エリックさんの剣!?」

戸惑って居るのは《聖女ティア》


 「エリックが最後に俺に預けた物だよ、二人の事を頼むと言って魔王共々消滅した…まぁあいつらしい最後だったよ」「汚い手でその剣に触るな!!」「そうです返して下さい!」


 フリスの手から奪い取った二人は大事そうに抱えて泣き出した

「そんな…どうして…」「この剣は本物です…」


 「良いよ、やるよ(笑)どうせ持てないし(笑)」

「「当たり前です!!」」

 「お~こわ(笑)まぁ好きにしてくれ(笑)さぁ城に戻るぞ!」


 こうして、エリックを封印したフリスは魔王討伐の報告の為、王国に戻る準備を始めました


~~2日後~~


 「ふ~やっと着いた(笑)俺は城に報告に行くけど~二人はどうする?」「行かない」「私も遠慮します」「了解(笑)まぁパーティーハウスへ帰ってなよ(笑)後の事は何時も通り俺がしておくよ~」「勝手にどうぞ」(お~行った行った(笑)これで全て俺の手柄だ!本当に有り難いね~富と名誉に興味の無い仲間はさ(笑))


 報告の為に仲間と別れたフリスは一人城へ報告へ向かいました


~~マーリン視点~~


 フリスと別れた後、パーティーハウスに向かったマーリンとティアは今後の事を相談していた


 「これからどうするのよ?」「解りません…ただ、あの人が簡単に殺られるとは思えません!」「それは私も同感よ?だからさ、どうするのよ?」「取り敢えずあの人の部屋を調べましょう!何か有るかも知れませんし!」「そうね!?調べましょう!!あの人の部屋に入る大義名分よね!」「は!?そ、そうですね!急ぎましょう!」


 走り出す二人…少し目的を忘れて…


 「さぁ、着いたわよ?」「そうですね!早く入りましょう?」「なんだか緊張するは…」「私もです…」「まぁ今は緊急事態だし怒られないわよね?」「はい、大丈夫ですよ!それに…怒られるのも…悪くないかも…」「?ティア?どうしたの?」「いえ、何でもないですよ?はい…」「?まぁ良いは、開けるわよ」「はい…」


 恐る恐るドアを開けるマーリン、期待と不安、緊張の混ざった独特の雰囲気の中、静かに部屋に入る二人


 「ここがエリックの部屋か~意外に綺麗ね」「そうですね~少し良い匂いもしますよ?柑橘系ですかね?」「そうね、落ち着くわね」「はい…」


 ベットに座る二人は本来の目的を忘れて部屋を見渡していた


 「あ!?こんな事をしてる場合では無かったわ」

「そうでした!?目的を忘れていました」「「何かあの人を見つけるヒントを探さないと」」


 部屋を探し始め、使えそうな物を回収して色々と物色し始めた二人


 「取り敢えずこんな物かしら?」「そうですね、良いのではないですか?」「さぁ名残惜しいけど部屋から出ますかね?」「はい、そうしましょう!」

「おい!?この部屋で何してる?」「何しに来たのよフリス」「この部屋の宝は俺のだ!!手を出すな!」「宝?勝手にすれば?私達は日記を貰いに来たのよ」「そうです、日記以外は持ち出しませんので宝が有るなら御勝手に」「ふん、勝手にするさ」


 「何なのあいつ…腹立つな~」「そうですね…でも、フリスさんに見つけれるのでしょうか?」「さぁ~無理じゃない?」「でしょうね」


~~フリス視点~~


 城での報告を済ませ急ぎ戻ったフリスは焦っていた

(なんで?何も無いんだ!?あいつらは何も持って無かったし…)「ふざけるな!!冗談じゃない!」


 エリックの部屋を荒らしながら叫ぶフリス


 「どうするんだよ…」(宝を当てにして貴族と話を進めて来たのに…何も無かったなんて今さら言えないだろ…さては、あいつらが俺の目を盗んで持ち出したのか?そうに違いない!?)「ちょっと何にしてるのよ!?」「あ?丁度良かった、この部屋から持ち出した宝を出せ!!全部俺のだ!!」「宝?無いわよ、そもそも重要な物はエリックのストレージって言う魔法の中よ?こんなセキュリティの甘い部屋に置いておく訳が無いでしょ?」

「はぁ?ならどうするんだよ!?」「私は関係無いし知らないわ自分で何とか手に入れなさい?」


 ふらふらと歩きだしたフリスは途方にくれていた

(このままじゃ不味い…だけど自分では用意出来ないし)


 「ちょっと!?片付けなさいよ!聞いてるの!?」「うるさい、そんな事をしてる場合では無いんだよ!」(何とかしなくては…)「この部屋はもう良いのね?」 「好きにしてくれ、俺は少し出る」 「あっそ、まぁ片付けはするからもう入らないでよ?」 「解ったよ」(宝の無い部屋に興味は無い)


 解決策の浮かばないフリスは町をただ歩き続け、現実逃避をするために飲み屋に向かっていた

(取り敢えず飲んでから考えるかな~金なら有るし何とかなるだろ)


 「おや?誰かと思えば勇者様じゃないですか~」


 「誰かは知らないが俺は勇者フリス様よ!」「申し遅れました、豪商セバスと申します、気軽にセバスと御呼びください(笑)」「セバス?聞いた事が無いな?」「まぁそんな事より何をしていたので?」「うん?まぁ飲みに行くかと思ってね」「それでしたら良いお店が在りますよ?会員制で一部の人しか入れないお店だそうですよ?」「へ~面白そうだな~」「でしたら、今から行きますか?案内しますよ?」「まぁ店は決めてなかったからそこで良いぞ?」「それでは此方です」


 歩き出すセバスに着いていくフリス、複雑な建物の間を歩き右へ左へ、今何処に居るかも解らなくなってしばらく


 「この建物です」立派な一軒家の様な建物の前で止まるセバス


 「ここが?」「はい、此方になります、少々お待ちください話を付けて来ますので」「解った」


 建物に入っていくセバスを見送るフリス

(ここは解らないはな~噂では王族も入れないとか…ここまで有名になれたって事かな(笑))


 「お待たせしました、此方へどうぞ」中に入るセバスに着いていくフリス、中は落ち着きの有るバーカウンタとテーブル席が四ヶ所


 「テーブルが埋まっていてカウンターになりますが此方へどうぞ」「解った」勧められた席に座ったフリスは出されたお酒を一口「うま!?」


 「喜んで頂いて良かったですよ、まぁゆっくりと話でもしましょうよ(笑)」


 

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