第2話 怠慢の魔王と過去


 「着いたぞ、ここが我が居住区じゃ!」


 「うん、田舎の村だね~」


 村の回りは木の柵で囲われてボロボロの家と畑しか目には映らなかった…


 「今日は収穫祭だから楽しんでくれ(笑)」「収穫祭?」「はい、収穫祭とは畑の食物を収穫する日にやる食事の日です」「他の日は食事は無いの?」

 「在るには在るが、量が少なくてな…」「そっか…」「最近だと食物が上手く育たなくてな…何とか改善しないと死者が出てしまう…」「そうか…」


 「今、帰ったぞ~!」「お帰りなさい魔王様」


 色々な所から声がかかるがその声には力が無い…


(なるほど~何とかしないと限界が近いな…)


 「魔王様、今回の収穫量は五十ほどです…」

(五十キロくらいなら二千人で一人25グラム位か~微妙だな…)「そうか五十個か…報告ありがとう」

(??キロではなく個??物にもよるが足りないのでは??)「ちなみに魔王?物はなんなの?」

 「物?あ~食物は芋じゃ!」「芋?」「そう、芋じゃ!いやいや作るのに苦労したのじゃぞ?」「まぁダンジョンは作物が普通は作れないからな~」

「そう!不可能を可能にしたのじゃ!!」「でも足りないのか~」「まぁ、その~はぃ…お主の奇跡の術で何とか出来ないか?」「可能だよ?「まぁ無理だよな…!?可能なの??」それくらいはね~」

「頼む、助けてくれ!!」「了解~まずは今日の収穫祭を祝うか!」「?どうやって?」「ストレージからキングオークの肉を2トン放出!!」


 突如、現れた肉の塊に全員驚き声もでない…


 「次は野菜と果物も適当に出してと、放出!!」


 次は野菜と果物が山のように現れて、放心状態の魔王達…


 「取り敢えずこんなもんかな??」振り返るエリック、口が開いた魔王達に頭を捻る


 「ほら、何とかしたぞ?」「あぁ、そうだな…ありがとう…」「いやいや、これくらいはね~(笑)」

(いやいや、何これ?確かに頼んだけどさ~この量は異常だろ??どうなってるの?ありがたいけどね?ありがたいけど、どうしよう~何を請求されるのだろうか…払えるかな~?)


 「これで、あの時の謝罪と感謝には足りるかな?」

 「?謝罪と感謝?あの時?何時の話し?」

 「五年前、初めての出会いの話だよ…」

 「あ~あの時の予想の話しかい?謝罪は?」

 「あの時、もう少し上手く出来たのに話し半分で聞いていたから、今みんなに苦労させたと思ってさ、すまなかった…」

 

 ~~五年前~~


 山奥にひっそりと建っている立派な城、周囲に生き物の気配はなく静かな城に一人の青年が近づいている…


 「ごめん下さ~い!お邪魔しま~す!入りますよ~?」 (返事はないか~) 「失礼しま~す」

(ここが噂の魔王城か~気配が一つしか無いけど…罠だらけだな~まぁ関係ないか~全部収納しながら進むかな…)

 ズカズカと進むエリック、罠という罠は収納され、なんの障害もなく散歩しているように歩く。


 (最後の扉かな?中に気配が在るし…)そっと手を触れるエリック、次の瞬間には消える扉…

 「失礼します、通りすがりの錬金術師で~す(笑)

」 「いやいや、何をしたの?扉は?途中の罠は?」(いかん、威厳の在る感じにしたかったのに…やり直すか)「よく参られた!私がこの城の主だ!して何用だ!」 「テンパっていたのに無かった事にするの!?無理があると思いますよ?」

「そんな事は無い!!」「まぁ良いけど…」「して、何用だ?」「ここに居る理由と目的を確認しに…内容によっては実力行使も~」 


 話が終わる前には鎖に捕縛された魔王が目の前で転がっていた…(何時の間に?気配も無かったが…動けないし魔力も練れない…)「話をするんじゃ無かったの!?何これ?どうなってるの?意味が解らない??」「この鎖は特別製で機能は行動不能と魔力阻害です」「いやいや鎖じゃなくて状況の話だよ!?」「あ~暴れたら大変だから先に拘束させて頂きました(笑)」


 「取り敢えず座りますね~」何もない場所に突如現れた椅子とテーブルに腰を掛け落ち着いた様子で紅茶を飲むエリック


 「…もう、何がなんだか意味が解らないよ…、詠唱や掛け声とか動作も無しにポンポンと造るけど、もう奇跡じゃん!?」「何でも出来る訳ではないよ?俺にも出来ない事は在るしね~」


 「さて、話をしてもらえますか?」「まぁ、拒否は出来ない状態だしの~但し私を立たせてくれんか?」「あ~忘れてた(笑)」 突如、床が盛り上がり魔王を拘束したまま椅子の形になった

 「もう、驚かなくなってきた…さて、何から話そうかの~」


 「結論から言うが私達はこの世界に興味はない、そもそも、この場所から動けないしの~」「?動けないとは?」「それはこの場所から次元の穴を通して向こうの世界にこの世界のマナを送らないといけないからじゃ」「なんの為に?」「ふむ、それはこの世界のマナが向こうの世界の生活圏維持に必要で、安定的に送るために私達は此方の世界に来たのだ」「なら、皆を連れて来れば?」「それが出来たら苦労はせん、向こうからは一定以上の力が無いとこの世界に来ることが出来なかったのじゃ」


 「まぁ話は解ったけど…」「出来れば見逃して貰えんか?」「その話を信じろと?」「信じてもらうしか無いの~」「ふむ、仮に見逃したとしてそのあとは?結局は問題の先延ばしだろ?俺が見逃したとしても次は討伐隊が来るぞ?そうなると大規模な話しになるし、そもそも話は通じないぞ?」「そこを何とか頼む、私達の仲間の為にも…」「そう言われてもな~」「お主の奇跡の術で何とか出来ないか?」「まぁ何とか出来ない事も無いけど…「本当か!?」反応が速いな~(笑)」


 「良いかい?説明するよ?」「頼む!」

 「まず、やり方としては封印という形を取ろうと思う、封印する時に生じる魔力場を利用して門を造る」「?封印?門?」「まぁ門の機能にこの世界のマナを一定量送る機能を付けるから、それで問題ないだろ?」「それはそうだが…そんな事が可能なのか?」「まぁ正直難しいよ?」「可能なら頼む!!」「了解~」


 集中するエリックの手に豪華な剣が現れた

「ふ~これで完成かな?」「何故に剣!?」

「この剣で切ると封印門が完成する、機能としては封印門の精製と切られた者が封印される時に一番縁や思いが強い場所に転送される、はず…」「はずって言われても…その話を信じろと?(笑)」「信じてもらうしか無いの~(笑)」 互いに笑い合う両者


 「信じるぞ!」「解った、なら早速「待て待て少し落ち着け」?どうした?」「先に言っておくぞ?騙したら、覚悟しろよ?」「はいはい、解りましたよ~」「まったく、こんな形じゃなかったら仲良くなれたのにな~」「どうだろうね~そろそろ始めるよ?」「了解、あ~最後に予想?予言?なんだけど仲間には気を付けろよ?殺される可能性があるからな?」「仲間?まぁ気を付けるよ」


 「それでは、さようなら」「いや、またな(笑)」

「それも予言?」「いや、勘かな(笑)」

 

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