第10話 ポンジャーと共闘だ!
「グワアアアア!」
怪人シュウブンはこれまた大きな叫び声を上げて、こっちに吹っ飛ばされてきた。
「てやっ!」
「てやっ!」
今度は俺と土佐口が対応する。俺たちに物理攻撃強化の能力はないが、それでも怪人シュウブンはしっかり真っ二つになった。
だが、怪人チョーウンはこちらを見ることすらしない。倒したことを確信しているのだろう。
「怪人エンブン! 大丈夫か!」
怪人チョーウンは、ツタに絡みつかれている怪人エンブンに駆け寄った。
「大丈夫だ」
ところが、そのツタはなぜかひとりでに怪人エンブンから外れて地面に落ちた。怪人エンブンがツタから抜け出ると、ツタは跡形もなく消えてしまった。
「たぶん、ツタの使い手である怪人シュウブンが死んでしまったから、ツタにかけられていた能力が解けたのね」
と、土佐口が横で呟いた。
「ふう、危ないところだった……まさか怪人シュウブンが新しい技を編み出していたとはな。とにかく怪人チョーウン、助けてくれてありがとう。君がいなかったら、俺の命はなかっただろう」
怪人エンブンが怪人チョーウンに感謝すると、怪人チョーウンは照れて頭を掻いた。
「いや、礼には及ばない。俺は怪人として当然のことをしたまでだ。それより、怪我はないのか?」
怪人エンブンは顔をしかめた。
「うーん、実は、骨が何本か折れているようなんだな。続けて戦うのはやめた方がいいだろう。俺は先に本部に帰っておく。君は後片付けを頼むよ」
「そうか、しっかり休養しろよ」
「わかった。じゃあな」
怪人エンブンはテレポートしてしまった。
「さて、後片付けをするか。あれ、怪人リョウガンと怪人シュウブンの死体がないぞ。『ギョール』の奴らが片付けたのか。ちょうどいい、手間が省けた。俺も帰ろう」
怪人リョウガンと怪人シュウブンの死体は俺たち『ランチャー』が回収しているのだが、怪人チョーウンは俺たちの存在を忘れているようだ。
怪人チョーウンが今にもテレポートしそうになったときだった。
「待て、怪人チョーウン!」
大きな声がして、公園に三人の人間が躍り込んできた。見ると、浅野、平田、村上ーー『ポンジャー』の三人である。
「あっ、戦隊ポンジャー! なぜここに!」
怪人チョーウンは驚いてテレポートをキャンセルした。
「この公園で怪人たちが暴れているという情報を掴んだのだ! 怪人は四人いるという情報だったが……なぜ一人になっているのだ?」
「それは簡単だ! 俺が怪人を二人倒したのだ! もう一人は俺の味方だが、負傷したので先に本部に帰っている!」
怪人チョーウンは簡単に情報を開示した。
「なるほど、よいことを聞いた! では覚悟しろ、怪人チョーウン!」
ポンジャーの三人は、一気に怪人チョーウンに襲いかかった。
「よし、まとめてかかってこい!」
怪人チョーウンも激しく応戦する。浅野は必死に怪人チョーウンの間合いに入ろうとするが、怪人チョーウンは魔剣ミカヅキを縦横無尽に振り回し、ポンジャーたちの接近を許さない。
だが、ポンジャーレッド・浅野の本当の力はこんなものではない。
「なるほど、やるな! それならこちらも本気で行くのみだ! 出でよ、『聖剣マサムネ』!」
すると、どこからともなく一本の剣が出現し、浅野の右手に収まった。
「今度こそ覚悟しろ!」
「させるか!」
聖剣マサムネを手に入れた浅野は、躊躇なく怪人チョーウンの間合いに入り、魔剣ミカヅキと激しく打ち合った。だが、怪人チョーウンは最強クラスの怪人である。そう簡単にやられてはくれない。
逆に、怪人チョーウンの速いスピードとパワフルな斬撃に、浅野は翻弄されている。
俺は土佐口に話しかけた。
「これはそろそろ俺たちの出番か?」
「そうね」
俺たちはついに物陰から飛び出した。
「戦隊ランチャーも相手になるぞ!」
俺はそう大声で叫んだものの、俺と土佐口は物陰から飛び出しただけだ。実際に怪人チョーウンに向かっているのは斎藤と正親町である。
「何人増えようと同じことだ!」
だが、怪人チョーウンは全く動じた様子がない。それでも、頭数が増えたことで、怪人チョーウンに微妙な隙が生まれ始めた。ここぞとばかりに、俺と土佐口も硬直ビームと矢で援護する。
だが、それでも怪人チョーウンには、傷一つつけることができない。
「ふう、連続して戦っているから、疲れてきたな……」
しかし、時間が経つにつれて、怪人チョーウンの動きが鈍くなってきた。
「『ポーズビーム』!」
ついに俺のビームが怪人チョーウンを捉え、怪人チョーウンは硬直した。すぐに浅野が突っ込む。
「もらった! 『烈神剣』!」
浅野の聖剣マサムネが、怪人チョーウンに直撃しそうになったそのとき。
「うわっ!?」
突然突風が吹き荒れて浅野はよろめき、公園が濃い霧に包まれた。すぐに霧は晴れたーーだが、怪人チョーウンはもうどこにもいなかった。
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