第4話 気づいてくれよとパンフレット届いたよ

 命乞いに俺は神の名を受け継ぐ家系だを加えるのが一番賢い。


 そんな冗談が流行る時代になってしまいました。


 生物たち、一年の月一地獄と条文公開にかけた苦労の割に理解が浅いかもしれません。その種族を滅ぼすために試しにやっちゃうだろうに。他種族のほうが多いんだし。それにその先もある。


 普通に寝ているときに条約を教えたほうがいい気がしてきました。

 作ったストックの地獄を月一試すついでに、ではなく。


 一年もすると気も変わるものですね。なじんできたのと、愛着でも目覚めたのかもしれません。


 この世界の理解の浅さを説明すると、この世界は進化論を信じる私にはありえない作りをしています。

 

 ある程度育ってる自然世界に、どれかが霊長になれよと各地に置かれたバニラミニオン(トッピングなしのバニラから、特に能力がないの意味。ミニオンはフランス語で下僕)みたいなやつが神との交信によって変形してきました。


 人族が神との契約で三つ目になったり取られたりしたやつですね。


 それで理解についてですが、神の名とかあれからずっと話題になってますけど、あれはもはや軽い危機です。


 神の名は成人の日とか葬式とか大切な式典でいえば「みだりに口にする」にならないため、みんな覚えてくれます。人口に膾炙してるといっていい。もはや無視していいでしょう。


 宗教団体によって違うとはいえ、どれかあってるでしょう。知らんけど。


 問題は、バニラから変形するごとに名前がかわっても、過去の契約が継続されていると理解していないことです。


 神の名とかより今本当にホットなのは聖地です。バニラミニオン生誕の地は特別視され聖地と呼ばれていました。そこを守ることで霊力みたいなのを得る契約を結んで生き延びた種族の多いこと。


 どっかが思いついて広がったんでしょうね。生き残ってる元バニラたちはほぼ聖地と契約してます。


 それで肝心の原初くらいに交わされた今回の悲劇の種なんですけど、聖地を百年奪われたらままなら重くて存在抹消、軽くて変形部位没収なんですよ。


 そしてなんとその奪われてはいけない聖地が、ここ。そして占領99周年カーニバルをやったばかり。


 長寿の加護との交換だから、聖地なしは存在抹消。さらに原初から5つくらいに分岐しているから世界人口の2割くらいがなかったことに。


 今夜やるから気づいてくれ。


 存在抹消はだめだ。


 最近やっと魂の汚れを落として輪廻に戻すことで、生物の魂で汚れた輪廻の道を、魂コロコロ方式できれいにする機能を地獄につけれたんだ。ぜったい存在抹消させてたまるか。


 族滅とかならまあただの死だからいいけど、これはだめ。


 普通に死んでお願い!逃げないで!





 他者視点のほうで政治劇が繰り広げられたのでしょうか。


 私は知らないので何があったか知りませんが、今は荷馬車にのせられ、干し草と共に別のとこへ運ばれています。


 居着いていた都市が開放されて追い出されているとこです。


 みんなジョークも言えなくなっているさまです。


 地獄がなければ弱者は始末されてたね。


 毎日条文を十ずつ覚える地獄を作って、賢い生き物が時系列を予想しやっと気づかせました。聖地奪還の必要性を。


 百万都市の何をどうすれば占領になるのか。上を変えたらか、住民をすべて入れ替えるのか。


 それらが達成されて何日かいるのかどうか。


 五つくらいに別れてる種族ごとの判定か、一つが支配していたらいいのか。


 契約は細かいところまで詰めないといけないのがよくわかります。


 最後のはそれだと約百年前に奪われたとこ以外が滅しているはずなのでどれかが支配すればいいようです。


 経験則で理解するの怖すぎますね。


 それで隣の族に明け渡す我らが族なのですが、百万都市なのでもう移動が大変。


 人一人いたら支配が成り立たないと判定されたら終わりってことはないでしょうがヒステリーには触りたくないので素直に従っています。


 明け渡した0人都市が三百万都市になりそうなくらい包囲されましたしね。


 しかし私はどこへ行くのか。三百万都市近くの都市がそりゃ発展するだろうとみんな行きますが、外務省の渡来情報みたいなんがないので方々の危険度がわかりません。


 調理スキル持ちがいいとこにいけるわけないんですけど。


 ぼんやりとお世話になってる移民キャンプはお恵みが少なくて悲観的です。


 馬車か牛車の引手の歌が聞こえてきます。これでよかったのだよね神様と、望郷の念を捨てられずにいるのがわかる。


 私も地球で好きだった歌でもと心で選曲していました。そうしたら私が隣にいました。


 現れた瞬間に荷車の車輪が少しだけ沈む。


「隣よろしいですか?この体は大変ですね」


 横を見ると、繰り返すけど、私そっくりな姿の人がいました。


 この体に慣れていないけど、この汚れ具合はそうだ。ずっと眺めてきた手首の皮のシワや今の汚れ具合と同じ。


 変なスキルのやつが来た。


 もう遊びで人を殺す世の中ではありません。それでもやばい人はどこにでもいます。


 私は死ぬ前に地獄をアップデートしておきました。罪が少ない人は痛み止めや精神安定剤を飲んだ感じで過ごせるように。


「どこか目的地が?」


「あなたの隣に無事たどり着けました」


 同じ声だなと比べて気づく。


 やべえやつはさっそく本題に入ります。


「この世界は世界間の移動に対する協定の加入可能要件を満たしました。私は詳しい案内をするパンフレットとしてまいりました」


「なぜ私?」


「代表者に必要なのはその世界の知的生命体すべての行動を支配する能力が最低限必要になります。地獄を生むことによりあなたはその資格と協定を守らせる強制力を得ました」


「この力の湧きどころは神様的なもので、何か決めさせるならそっちでは?」


 契約はちゃんと詰めないと危ない。学のない私にその作業は難しすぎる。


 どうせ読み終わるまで一生使うくらいの条項があるんだろ。


「この世界は誰かが何か偉業を達成すると世界をかえる選択肢が与えられます。そこで神と実際に対面した偉業を成し遂げた方へ神は必要かどうかの選択肢が与えられ、必要ないが選択されました。もうこの世界に神はいません」


 それで昔の契約文ばかりだったか。いないと改定もできないんすよね。知らんけど。


「そのシステムってまだあります?復活させれません?」


「神はもういないので諦めたほうが良いでしょう」


 この私型パンフレットには何でも書いてあるな。


「この協定どんなものなの?」


「世界間の移動を規制するものです。これは生物、無生物どちらも対象になります」


「誘拐防止にですか?」


「誘拐もそうですし、この世界のように優秀なものがさらわれて発展遅延状態も防げます。科学実験に便利な魔法があるのにこの程度なんておかしいでしょう?基本的には世界間にトンネル穴を開ける行為とそれによって引き起こされるものすべて禁止です」


 もはや遠くの我がゴザの上から見るにこの世界はルネサンスあたりだ。


 契約文から見るに原初のが一万年も経ってなさそうだった。


 魔法があれば旧石器時代のニ百万年くらいスキップできそうだし、そういうことか。


 しかし、うーんもしかしてなのだけど。


「私はこの世界でないとこからこの体に憑依した感じですがお縄ですかね」


「世界間に穴を開けたやつらがしっかり閉じなくて、緩んでいて吸い込まれた感じなので、むしろ被害者として救済もありえます。地球に戻って魂の風化させることが可能です」


 ラッキー。


「この世界で地獄を味わわなくてすむいい救済ですね。加盟国と非加盟国、国ではないでしょうが言葉がないので、相互の関係はどうなっていますか?非加盟で優秀者を集めたほうが長期的に勝ちませんか?」


「拒否し非加盟で誘拐を頻繁に行う海に網を投げ込んで誰が悲しむのでしょうか」


 やっとるなこいつら。


「加盟、加盟拒否、未接触との割合は?」


「1:1と8でしょうか。加盟拒否は自衛方法を編み出すなり、こちらが気に入らないからと情報共有で自衛して誘拐と窃盗しています。未接触世界をターゲットにして。ここみたいに」


 どちらを選ぶか。非加盟のほうにいくつか団体あるだろうし二者択一ではなさそう。


「気前がいいほうにつきたいですね。問題はそちらの組織しか接触してこないので選択肢がないことですが」


「地獄タイプの統治は珍しいですから案外オファーがあるかもしれませんよ。個体でやっているのは過去にもいましたが誘拐されて資源になったようです。こちらとしては、この希少性をいつ見つけてもらうかというのも考えてほしいですが」


 パンフレット自分を読み切っていない。回答は避けた。

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