第4話 8月15日後編

 花火は色鮮やかに宙に現れた。私はその写真を撮ろうとスマホを両手で持って撮ろうとしてみるが上手く撮れない。


 「画像じゃなくて、動画でいいじゃん」

 「容量重くなるから画像がいいの」

 「そっか」


 「貸して」


 少しの間の後、日高くんがそう言った。

パシャ。写真を撮る音が花火が綺麗に咲いたと同時にする。


 「はい」


 日高くんは私にスマホを返す。撮れた写真は私が撮っていた数枚の写真とは比べ物にならない程綺麗に撮れていた。


 「日高くん、すごい!」

 「そりゃあ、元写真部だから」

 

 写真部。日高くんは、そうやって無意識に私を現実へ引き戻す。

 

 東京の花火大会より数は少なかったけど、一番思い出に残った花火大会だった。名残惜しい気持ちを残して、私達は家に向かう。

 

 「花火大会、日高くんのおかげで本当に楽しかった」

 「それは良かった。僕も柊さんのおかげで今までの人生の中で一番濃い夏だったよ」

 「なにそれ。お別れみたいじゃん」

 「そうかもね」


 それを冗談として受け取っていた私はバカだった。大馬鹿ものだった。

 

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