第9話 仮想「国立弘前病院」の開設まで
2017年11月12日
「輸血管理室が誕生」「マックで分娩統計」「周産期栄養管理室」「クィーンズクリニック」というタイトルで、これまでも弘前病院の自慢話をしてきた。
今回は究極のテーマともいうべき、「弘前病院を新しく作った!」という話をしたい。
スポーツ新聞のような見出しから御推察のとおり、もちろんヴァーチャルホスピタル(仮想病院)で、いわゆるインターネットでホーム頁を作ったというだけである。
今や、青森から鹿児島まで一本のハイウエイで結ばれ、車でも楽に日本縦断ができる時代となった。
厚生省においても、光ファイバーによる「健康情報ハイウエイ」考想を持っているとは聞いていたが、これほど早く実現するとは思わなかった。
もちろん、光ファイバーを新幹線に例えれば、現在のHOSPnetはミニ新幹線程度であるが、それにしてもありがたいことである。
一説によれば、厚生省は阪神大震災の事例を持ち出して大蔵省を口説いたとも言われるが、いずれにしてもHOSPnetが実現したのは異例の早さといえよう。
ちなみに、第一回目の国立病院等情報ネットワーク検討会が開かれたのは昨年の10月であり、それから毎月1回というハイペースで検討会がもたれてきた。
さらには病院部長の挨拶からも、厚生省がHOSPnetの活用に力を入れていることが想像できる。
このインフラを適正に活用する目的で、弘前病院でも3月14日にHOSPnet運用委員会を設置した。
その際に留意した点は、委員会を実務的に機能させるため、Internetの経験者を中心に委員を選定した。
HOSPnet運用委員会の最初の活動として、病院のホーム頁を開くことにした。
本省へ開設申請を出すというお決まりの事務手続きをとる一方で、実際にホーム頁の作成作業を始めた。
春分の日に散歩がてら弘前公園へ出かけ、入手したばかりのデジカメで岩木山やお城を撮ってきた。
その日の夜からhtml文書との格闘が始まったが、老眼にサンコバを注しながら、20数年前の国家試験以来かと思うほどの集中力で机に向かった。
ついには、文章の中で読点がくると反射的に<ビー・アール>を打ってしまうほど、思考回路がhtml化してしまった。
孤独な週末3日間の突貫工事で、自前のMacの中には「仮想国立弘前病院」が新築された。
月曜日(3月24日)の朝にホーム頁開設許可がおりてディレクトリも出来たので、午後の診療が終わったらファイルをサーバーに送る予定であった。
しかしMacからファイル転送できないため、ファイルの中身をwin3.1用に書き換えながら、その都度リンクを確認するという膨大な作業が必要になった。
その結果、実際に国立弘前病院ホーム頁(http://w3.hosp.go.jp/~hirosaki)が稼働したのは1997年3月24日の夜になってしまった。
ちなみに、現在は4月21日改訂の1.7ヴァージョンであるが、今週末には2.0お花見ヴァージョンになっている。
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