7.賞賛と反響
☆☆
ライブ終了後のSNSは賞賛のあらしであれにあれていた。
「すごかったよ」
「やば」
「生で見れないのが本当に残念」
「これってアーカイブ残るよね。残して!!」
「憧れる」
「これはアーカイブ残さないとだめでしょ」
ネットの声は偉大なものでアーカイブに残ることになった。
☆☆
一回目のライブ解禁になってアーカイブにも映像が残されたからか。
もともとのダンスと歌の評価が高かったからなのか、フォロワーは39000人を突破した。外国の方からのフォローもあるからこれからも伸びることだろう。
これでSNS度の媒体でも広告収入を手にすることができた。
これは事務所を通して分配されるから本人の手に渡るころにはかなりの額差し引かれるだろうが、収入は収入だ。
それからは週1ペースで何かのダンスだったり、歌のカバーだったりを発表しているようだ。
俺はそこら辺のSNS状況がわからないが、マネージャーの興奮ぐあいから何やらすごいことが起こっていることだけは伝わった。
☆☆
マネージャーから呼び出し。
「人気がこれだけ出てしまったからあゆが脱退することは不可能になったわ。残念だけど」
「でしょうね。本人は何とかなると思ってますよ。きっと」
本人が生み出す利益を理解していない。彼女らの努力の実った結果だというのに、それが恋路の最大の障害というのは何とも皮肉である。
「では、何とかするべく、彼氏の情報を提供してもらえますか」
「私の知っていることをはなすわ。どこまで本当かわからないけれど」
「やばい写真とかつかまれて脅されるとかが一番最悪なパターンでしょうから」
「なるべく特定してくぎを刺しておきたいわ」
「了解しました」
1ファンとしてたぶらかす男に釘を刺しておきたいという私情が実務になった瞬間だ。
☆☆
夏海からまた聞きした情報を集めると
彼氏は大学の大学院生になる予定なのだとか。在学中の学校名は指折りの有名大学。
(実験しているのか。遊んでいるのか)
なまえがわかればな。
「わかったわよ。彼氏の名前」
声をかけてきたのは2人の担当マネージャー。
「
「フーン。遊んでないといいですね」
「遊ぶ暇なんてないでしょ? そこの大学院の進学率低くて入るの大変みたいだから」
「フーンそうだといいっすね」
同じ男としては遊び方を知っている男性を多数見てきているので信用は薄めだ。
☆☆
仕事の合間を縫って彼の大学まで行くことができた。
「こんにちは。あゆの彼氏さん」
「あ、えっと。お世話になっています。彼氏の
「お時間取らせて悪いのだけど、あゆはこれからの人なの。ちょっかいとか困るのよね」
「でも、真剣な交際をさせてもらっています」
「結婚はいつでもできるわ。別にアイドル候補のカノジョじゃなくてもね。売れる機会をつぶさないでほしいの」
「ライブ会場でご友人といらしていたようですが、友人や親族に話してはいないですよね」
「もちろん。あゆみからは親を紹介してほしいといわれていますが、高校を卒業して、私も安定した収入を得てからと思っていますよ」
「頼もしいわね」
「そう。あなたも勉学に励んでほしいわ」
「もちろん、わかっています」
「今すぐにどうこうとは思っていません。彼女にも言っていたんですが聞かなくて。家庭に入ってほしいことは事実ですが、僕も研究職目指していますので」
なんやかんや真剣な交際であるようだ。
「勉学とお金を稼ぐ術を得て頂戴ね。写真撮られたら恨むわよ」
「はい」
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