第119話 転生者の末裔
あれこれ、創造神が・・・とか考えてもわからないのだけど、一つだけ解ったことがある。創造神の指輪を付けていると、「空間認識」の範囲がとても広がっている、ということ。「空間察知」や「気配察知」をする場合の範囲がとんでもなく広い範囲まで指定できてしまって、面食らってしまったくらいだ。まあ、そういうのが必要なときは使ってみようかな?
エドモント別荘のPOSTに何か手紙でも入った「気配」なので、こちらに「転送」して取り寄せてみる、これも、「転送」の範囲や強さ?が広がっているから出来たのかも?
手紙の中身は、いつもどおり、商業ギルドのイナーバさんからで、「特にこれと言った用事ではないのですが・・」って、つまりは会いたい!ってことですね、後で、ミドリ達が作ってくれたメロンでも持って行きますか・・・
何か?久しぶりに、エドモントの中央市場に来たけれど、確かに前よりも人が多いな、辺境伯領も広がったので、人員が増えているのだろう。
なんとなく、出店を見て回っていると、あれ? 獲れたて?新鮮な生の魚貝? しかも、氷漬けされて売っているよ、珍しいな。店主に話を聞いてみたら、どうやら、南方の島の漁師で、先祖代々伝わる、魔道具を使って商売をしている、ってことだ。
「鑑定」してみれば、「転移」の腕輪に、「収納」の腕輪だよ。これは、興味深々!ってやつですね。
このおじさんは、転生者などでは無く、普通の人なんだよ。
魚も新鮮そうなので、少し多めに買い込んで、僕の「腕輪収納」にしまっていたら、「あれ、あんたもかい?」って食いついてきたよ、ラッキー!
これ幸いと、いろいろ話を聞かせてもらった。
なんでも・・・
その島には、「収納腕輪」と「転移腕輪」が、2個づつ、昔から大事に受け継がれてきていること、その島は、あまり知られてはいないが、昔のサザランド王国の更に南方にあること、自給自足で、漁業、林業、農業、魔物狩り、酪農、で成り立っている。村人は、全員が、転生者の末裔で、多少は血を引いていること。中でも、魔力量の多いものは、これらの魔道具を使えるということ。ときどきこうして、多めに採れたものを、「収納」して「転移」で売りにくること。大きな街では、こういう魔道具を使っていても、怪しまれないこと・・・などを話してくれたよ。
全く、僕のことを、疑っていない様子が、かえって危険だよ。
まあ、「鑑定」では、腕輪には、「所有者限定」が掛けてあるから、例え盗まれても、使えないけどね・・それでも、取られてしまったら、いろいろ不便だよ。
*腕輪収納 容量・中 時間停止
*腕輪転移 制限 2回/日
島の名前は、古くからの言い伝えでは、「サンドミ島」というようで、漁師のおじさんは、「ミヤシタさん」ということがわかった。
僕も、自己紹介をして、「ヒカル、普段は、同じ様に、「転移腕輪」と「腕輪収納」を使って、行商をしている」って伝えたら、なら、もし、サンドミ島まで来るようなことがあれば、俺を訪ねてくれ、大抵は港にいるから、って言ってくれたよ。
まあ、僕が、その島に行けるなんて思ってもいないのだろうが、・・・「ありがと、そうさせてもらうよ」って言っておいたよ。
なんのことは無いさ、僕は、既に、マッピング出来てしまったよ、サンドミ島、僕のサザン島からさらに南方の方向にある。
「並列思考」で試しに、ここ、サザン島から南の方面を「空間察知」してみたら、何と! 島が2個あったんだよ。遥か南方なんだけどね
それで、小さい方の島は、人の気配は無く、単に、山岳地帯の一部が残ってます、って感じの島。島の周りは、砂浜などは無く、すべて、断崖絶壁。これでは、船が寄ることも難しいだろう。見た限りでは、周りが沈み込んで、取り残された?砂漠にあった「不沈の森」みたいな感じ。でも、ここは、島の山岳地帯は険しく高い山が連なっているよ。なかなか面白そうな気配を感じる。
それで、大きな島の方には、東西二箇所に港があって、それぞれ、港湾の街もある。人の気配もある、けど、こんな辺鄙なところ? 普通の人じゃあ、来ることさえ出来ないのでは? それこそ、「転移」か? 高性能な船? そんなのが無ければ・・・
島は、周囲を白い砂浜で囲われていて、港以外の場所には、サンゴ礁が広がっている、綺麗な島だ。
ミヤシタおじさんの言う、港がどっち?かは聞かなかったけど、まあ、大きい西の港だろうな? 違ったら、東へ行けば良いだけだしね。
それにしても、転生者の末裔のいる島か? いつ頃の「転生」だったんだろう?
しかも、「転移」や「収納」の魔道具が大切に受け継がれている、なんて、何か?嬉しい!
さて、忘れて帰ってしまう前に、イナーバさんに会いに行こう。
会ってみれば、本当に何も用事はなかったようだよ、別に構わないけどね。
それで、また、細かく、僕の口座状況を説明されたけど、別に、増えているなら良いじゃん、その調子でって伝えた。金利も高いし、資金を運用してしてくれてるからね、まず、減ることなど無いのだ、凄いな、異世界金融。
話のついでに、「サンドミ島」って知ってる?かと聞いたら、直ぐには返事がなかったけど、暫くして、小声で、「両親のふるさとの島です」って・・・エっ?
イナーバさんの故郷だって? 初耳ですよ! そりゃそうか・・
なんで、その島の名前を? って言うから、さっき、市場で、そこの島の人と話をしていたんだよ、僕は。
なので、「どんなところなの?」って聞いても、イナーバさんも、詳しくはご両親から聞かされていないようで、何でも、イナーバさんは、ご両親が、島から出てきて、このオリバー王国に移住してきてから生まれたようだ。ひょっとして、ご両親は、島に由来の魔道具の腕輪なんか?持ってません?
「・・・・それが、・・・あったんですが・・・」って、イナーバさんが子供の頃に、突然、家から、盗まれたのか?どうか、わからないけど、無くなってしまった、ということらしい。なので、どんな腕輪だったのかなども、聞かされていないようだ。なるほど・・まあ、これ、複雑そう?なので、今後も、サンドミ島には関わらせないほうが良さそう?だな。
PS. 近況ノート 110 サンドミ島 地図です。
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