第116話 火山島ダンジョン(2)
第2階層 海岸 魔海月、魔蛸、魔蟹、魔ダツ、
ここは、海だね。ただし全面ではなく、砂州が出来ていてそこを通るようになっている。まあ、予想はしていたけど、砂州なんてこれ幸いなんて歩いていれば、水の中から、どんどん飛びかかってくるよ、魔ダツ。
これ、鉄の鎧でも貫通しそうな感じ。まあ、強めの「結界」を張って、砂の上を進むけど、今度は、魔蟹の大群が押し寄せてくるよ、大きい蟹で、30cmはあるかな。なによりあのハサミは避けたいし、時々、泡を吹いてくるけど、毒のブレスだ。
まとめて、「火炎」で焼けば、なかなかに香ばしい香りだけど、この香りに誘われるのは、何も人だけではないよ、水面の岸近くには、魔海月や魔蛸が集まってきているし、蛸なんて、砂浜の上だろうが平気で上がってきて、触手を伸ばしてくるし、この触手は、触れた相手の魔力を吸収するようだよ。
砂浜から、足を外して、海中に落ちれば、魔海月の容赦ない毒触手の攻撃が待っているし・・・
と、いろいろ「並列思考」で「鑑定」「分析」して、対策を練るけど、面倒そうなので、・・・「浮上」して「飛行」して行くことにした。
指輪を渡してあるので、二人とも、飛べるはずなんだけど、少し、フラついてぎこちないかな?まあ、海に落ちなければ、それでOKだ。
それで、出口にさしかかったところで、大きな気配だ、魔ダツの大きいのが数匹、僕達に向かって飛び出してくる。
なので、「感電」をぶつけて落とす。
魔蛸や魔海月も飛行中の僕達に向けて、長い触手をさらに長く伸ばしてくるので、海面に向けて、何発も「感電」を打ち込む。
しばらくして、蛸も海月もダツまでも、腹を出して浮いてきたよ。もう生死関係なく、「魔石回収」。
この階層は、電気や雷魔法が決め手だな。
第3階層 岩山、火属性魔物、火炎蝶、火炎土竜、火炎蛇、
普通、火には水なんだろうけど、強い火に、中途半端な水をかけても、一気に水蒸気にされてしまう。風を流せば、火の勢いが強くなるし、・・・
まずは、火炎蝶が群れて寄ってくるよ、体が火炎に包まれていて、毒鱗粉を撒き散らしてくる。なので、まず、「結界」で封じて、その中に、追加の「火炎」と、少しの水と風を追加してやる。と同時に、「結界」内部で、水蒸気爆発が連発で引き起こされていって、中の火炎蝶が全部燃え尽きた。バラバラと魔石だけが、「結界」内に残されている。
岩山の岩の隙間からは、火炎蛇が、そして火炎土竜まで一緒になって出て来るが、これらは、リリーとカンナが二人で、落ち着いて対応している。
「加重」で動きを止めて、「光射」で、射抜いている。良い対応だね。ま、近くに寄ると、炎で熱いので、離れた場所から狙えば済むこと。
火属性の魔獣の魔石は、赤くて綺麗だね。蛇と土竜の魔石を回収。
第4階層 廃墟 アンデッド、ゾンビ、スケルトン、
こんな場所は、光魔法の出番だね。まとめて、「光雨」で、「浄化」の雨を降らせて、追加で、「浄化」「解呪」を掛けてまわる。ほぼすべての、ゾンビやスケルトンが姿を消したが、一番後ろにいた、大きなスケルトン・キングだけは、まだ、剣を支えにして立っているので、あとは、二人に任せてみた。
至近距離から、魔力多めで「浄化」「解呪」と共に「加重」で動きを止めて、二人の息の合った「光刃」がトドメを決めた。
僕は、「魔石回収」をして、下にいく準備をしていただけ。
第5階層 鉱山 金、銀、銅、ミスリル、魔鋼、
ここは、まあ、ほとんど魔物も出ない、鉱物採集が出来る階層だ。
二人共、「収納」も「鑑定」も持っているから、大丈夫だろ?って思っていたけど、どうやら、いつも僕が使っているやりかたは、異常?らしい、ということがわかった。
何で? 「鑑定」して、「分析」できたら、その鉱物を指定して、部分的に「収納」してしまえばいいじゃん!って説明するんだけど、・・・あれ? 変? なかなか実践できないみたいだよ?
まあ、解説しながら、実践していきましょう。
まず、「空間察知」で、鉱脈の所在を探します。壁を適当に、「鑑定」して「分析」するだけでも良いし、「マッピング」してしまえば、さらに楽です。
そしたら、その中で、取り出したい鉱物、例えば「金」を対象として指定して、それだけを「収納」します、これが「部分収納」です。
あるいは、鉱石ごと「収納」に取り込んでしまってから、「収納」内部で、「鑑定分析」で、金属とそれ以外に「素材分離」させて、金属だけを取り出すということも可能なはずです。
・・・と、ここで、どうやら二人共、お手上げ?状態で固まってしまったようだ。
どうやら、「収納」や「鑑定」といったスキル、転生者の特典みたいなものを、そんな風に使ったことがないし、そんなことが出来る?なんて、思ってもみなかった・・・って、まあ、経験不足だね。練習してください! まだまだ、いろいろ使い道が広がるから。
なので、結局は、僕が一人で、頑張って、二人の要望する金属を回収して、5kgのインゴットにして出してあげる、というのを繰り返していって、結局、5kgインゴットの、金20本、銀20本、銅20本、ミスリル20本、魔鋼20本、を採集できた。全部、カンナの「収納」に収まったけどね。
まだ、行ってみる? 「はい」、「うん」、なので、
第6階層 砂漠 魔蠍、魔蛇、魔芋虫、
完全に乾燥した砂漠だよ、緑も、オアシスの気配さえ無い。延々と広がるこの先に出口があるのは、「空間察知」で解ってはいるけど、これ、そういう察知能力でもなければ、途中でイヤになりそう・・・
砂漠に入って進むこと数分で、早速、魔蠍に取り囲まれているし、大きな蠍で、尾を振り上げて、一斉に毒液を吹き出す体勢だよ。
ま、なにはともあれ、「結界」を張って防御を固めてから、二人の様子を見ることにした。リリーが「加重」で動きを止めて、カンナが「催眠」の風を流している。
全部で、30体くらいかな、それらがぐったりしたところで、二人して、「光射」だ。流石に、二人がかりの「光射」攻撃は見ていても、きれいだよ、細い光の筋が何十本も、魔蠍の体を射抜いている。あっと言う間に、ダンジョンに吸収されていって、魔石だけが残った。
なので、カンナに言って、これらの魔石だけを指定して、収納するように言ったら、何とか出来たようだ、「魔石回収」。
確か、サクラの時も、一体化されたものからの「部分収納」は無理だったな、って思い出した。「収納」(勇者級)?ってことなのか? なら、僕のは? 超勇者級?
まあそんなことは良い、出来ることをすれば良いのだから。
リリーも、自分で「気配察知」をして、出口は把握しているので、砂漠を出口方面に向かって進んでいるんだが、また、魔蠍に囲まれているし、今度は、少し遠巻きに、魔蛇にも囲まれている。厄介な奴らだよ、毒液飛ばしに、猛毒噛みつき。
えっと? 毒対応は、「状態異常無効」で対処出来るかな? 確か?「解毒」は付けて無かったかも??
まあ、そういう毒攻撃をくらわなければ良いだけのことなので、ここは先手必勝、一気に片付けてしまおう。
二人には、自身に「結界」を張って、離れて貰ってから、僕が前に出ていって、「フラッシュ」強めで、敵を一箇所に集めて、殺意を僕に向けさせて、その範囲を「結界」で囲い込んで、中に、火竜の「火炎」を充満させる。時々、風を追加して火炎の勢いを維持して数分、「結界」内の気配が全部消えたので、魔法を全解除。
魔石だけが砂の上に転がっているので、カンナに言って、「魔石回収」してもらった。
あれだけの火炎の中で、砂が少しも焦げていないのが不思議、ダンジョンは、あの程度の火炎では、びくともしないんだな。
そろそろ、出口が見えるころ、というところで、大きな気配が近づいてきているよ、これは魔芋虫、6mくらいか? どうやら1体。
わざわざ、地上に姿を現してくれたよ。早速、二人が攻撃を加えているけど、光攻撃では効かないんだよね、あの光沢のある皮膚。僕も最初、失敗したからね。
そうしているうちに、ピュピュ飛んでくる粘糸を避けるのに一杯一杯?な様子で、距離を取って戻ってきたよ。撤退できるのも経験だろうな。
別に、倒さなくても、次には行けるだろうからね。でも、僕は違うよ、気にいらないな、殺意丸出しで、・・・なので、「闇炎」で、芋虫の顔を覆い隠す、「闇刃」で、ぶっとい首をチョンパする、それだけ。「闇炎」の闇が晴れれば、頭は無いよ、きっと、ブラックホールへ飛ばされたんだろうな。
「エッ?今の何?」って聞いてくるけど、「秘密」って答えておく。何といっても、「魔王魔法」だからね。当分、秘密で良いよな?
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