第99話 エルマー火山島 開発構想  

念話 「リリーさん、ヒカルです、姿を見せても、攻撃されませんよね?」

「エッ、もう? はい、大丈夫です、もちろん!危害は加えません」

というので、透明化を解除して、改めて「こんにちわ、ヒカルです」

って挨拶したよ。

「やっぱり、ヒカルさんは、見えないな・・・」

って僕を「鑑定」したんだろうな、けど、そう、見えないよ、「勇者級の鑑定」ではね。


それで、僕に会って、何をしたいのか? 僕は何をすればいいのか?などの本題に触れれば、「特に無い」んだって・・・つまりは、同じような転生者の現在の様子が知りたかったと。

まあ、そんなことで、僕も、確か、この火山島には、今日で3回目ですよ、って言えば、やはり、あれ、噴火の時の魔物暴走の防止は、僕だったのか?って聞くから、「きっとね?」、あと一回は?「少し、上空から様子を見ていた、その時には、リリーさんとカンナさん、タケシ王の情報は入手していた、ことを話して、リリーさんとは、もう一回、ギルドで接近したことがありますね、って答えたよ。


あと、リリーさん達を召喚したのが、オリバー帝国の聖教教会で、それが、どうやら潰されたらしいことも知っていて、僕だろ? って、「まあ」って答えたら、頭を下げてきて、「ありがとう」って言われた。

350年経っても、恨みツラミなどあったんだろうな・・・


さっきの、「念話」、いきなりでも通じるのか?っていうので、相手の魔力波長さえ感じることができれば、その波長を捉えて話すだけですよ、僕の場合、既に、火山島の3人の情報は掴んでいましたから、簡単なことです、って答えたら、

「イヤ、普通、そこまでは、簡単では、無いよな〜」って言うから、練習次第ですよ、ってね。

試しに、カンナさんも、ここへ呼びましょうか?実験です。って言って、カンナさんに念話、「こんにちわ、カンナさん、ヒカルです」

「・・・エッ、ヒカルさん? 」

「そう、お手紙拝見しました、今、リリーさんのところにいます、来ませんか?」

「はい」


って、ものの数分で、走り込んできたよ、まあ、二人共、美人さんだね。今、25歳くらいに見えるってことは、現地では何歳だったんだろうね? 女性に歳は聞かないほうが良いって、昔、誰かが言っていたので、聞かないけど。

改めて、カンナさんにも自己紹介をして挨拶を交わしたよ。

やはり、リリーさん、カンナさん、そしてタケル王は、同時期の召喚だったらしい、よく、3人生き残れたもんだ。


どうやら、召喚時の呪いが弱めだったらしく、しかも、自分たちで解呪できたので、早くから対処はしていたらしいよ。ちなみに歳は?って聞けないな・・・

まあ、僕のことも話しておいたよ、2022年に60歳の定年間近で、横浜の交差点で信号待ちしていただけなのに、その場にいた勇者候補たちに巻き込まれて、召喚されてしまったが、年齢制限30歳というのに弾かれて、一人だけ同時代の別の場所に転生されてしまったこと、などを・・・そのとき、同じ交差点にいた、僕の部下だった女性も、勇者一行になっていたが、そこから救出して今、エドモント領で普通に暮らしているともね。


それで、カンナさんは? どういう理由で・・・僕に用事があったのかな?

どうやら、ここに、「行商に来て欲しい」そうだよ、確かに、ここ火山島では、いろいろ不足しがちなんだろうな。

何が欲しいの?

「金貨、銀貨の材料、穀物、野菜、果物、などの食料、など、とりあえず」って言うので、まあ、適当に、出してみたよ。

インゴット10kgの金、銀、銅 各10個、小麦、とうもろこし、各、500kg、野菜は、買い込んで収納していた、たまねぎ、人参、じゃがいもなどの基本野菜、果物は、メロン、スイカ、りんご、柿、を、たっぷりと・・・

「エッ、これって? お金は? 幾らでしょう?」

「まあ、高いですよ〜」

「リリーさん、どうしましょう?」

「せっかく出してくれたんだから、買い取れば良いだろう? 彼だって商人なんだから」リリーさんが口をはさんできた。

と、言っても、まあ、資金が無いんだろうね、インゴットは高いから。

しかし、金貨、銀貨の製造なら、王が資金を出してくれるのでは?あればね。

なので、ここの商業ギルドに僕の口座を作ってもらって、そこへ、資金に余裕のあるときで構わないので、入金して下さい、何分割でも構いませんから、って伝えておいた。一応、納得してくれたようで、「書類を作ってきます」って出ていってしまったよ。

良いよ別に、初めに買ってくれなんて一言も言ってないしね。


それにしても、金を稼ぐ手段を見つけなければいけないな?

リリーさんに聞いてみる、

海上交易は盛んなの? 「イヤ」

この島に鉱山は、「発見されてない」 

魔物は? 「それなりに居るので、肉には困らない」

タケシ王は何をしているの? 「家族の世話かの?」 ・・・

何だ、駄目な奴なのか?


普通、火山の近くって、鉱物資源が豊富だよね・・・なので、火山島全域を範囲指定して、「空間察知」で鉱物を探す。うん? 活火山には無いのかな? って2箇所、気にかかるものが見つかった。

島の南のエルフ居住地の西あたりに、鉱脈がある、金、銀、ミスリル、銅、あと、宝石の鉱脈もあるね、ダイヤ、ルビー、ピンクダイヤ。

島の北の山裾には、これは? ダンジョンの気配がする。


結果を、リリーさんに伝えたら、まあ、驚いていたけど、島の活性化、産業にもなりそうだしね、頑張ってやってください。

どうする? ダンジョンっぽいもの、見にいきますか? 「はい、行きます」

ということで、勝手に、2人で「転移」して今、そのあたりの上空。


再度、「地中探査」してみれば、砂浜から少し、山側に上がったあたりに魔物反応があるので、その場に近づけば、山の斜面が縦に割れて、空洞が出来つつあるのか? 中からは、魔物の気配。「鑑定」「探査」では、既に5階層出来ている。コアの存在気配もある、これ、「未公開ダンジョン」だよ。

リリーも感じ取っていたようだが、僕の鑑定結果を伝えておいた。

何とかなりそうだな、火山島に冒険者を呼び込める、砂浜ビーチもあるし、観光?宿泊施設? 出来そうだね。


問題は、王都を通さないでここに「港」を作って「ダンジョン街」を作るか、王都を通すなら、ここまでの「道路」の開設、または、「船」による輸送か、「転移の魔道具」などをうまく使って、人員の「移動手段」を考える、とか、そんな感じかな? ってリリーさんに僕の感想を伝えたよ。

鉱山の方は、そこが王の肝入の場所の近くなら、その村の産業にしても良いし、現在のそこの住民を全員王都内に移住させて、魚港を解放、拡張しても良いし、それを鉱山への足掛かりにしても良いかも・・・

まあ、あとは、火山島の住民でなんとかして下さい。

手伝い? ほんの少しなら、良いけどね。


ギルドに戻ると、書類を持ったまま、カンナさんがいたので、待たせたことをわびて、書類を見せてもらう、まあ、普通の金銭借用書だね、サインして契約は成立した。僕からは、返済期限の定めを削除して、期限の定めを無くしておいた。

いつまでかかっても良いし、直ぐに全額返してくれても良いし、どっちでも。

まあ、そこに書いてある、総額が、正当かどうかは知らないけど、カンナさんが、鑑定して見積もった金額なんだろうから、それでOKだ。


先日、スミレから戻ってきた「転移の指輪」を複製して、錬金調整して、カンナさんに、記念品です、って渡しておいた。「鑑定」持ちなんだから、自分で鑑定してください。


*指輪 転移の指輪 

・使用者限定:カンナ 

・不壊 絶対防御 結界 能力隠避

(表面彫刻は、カンナの花、何か?菖蒲っぽく見える?)




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