第91話 スミレ ダンジョン・コア  

とりあえず、スミレには、魔道士のローブを着てもらって、一緒にオリバー帝都のリカロ商店へ「転移」で移動する。

リカロさんに、女性ものの服装店を紹介してもらおうとお願いしたら、それなら、と、一人女性を連れてきて、「リンダです、娘で」って紹介されて、彼女が案内してくれるようだ。

まあ、僕も邪魔者だろうから、スミレに、差し当たっての資金として、オリバー金貨50枚、銀貨100枚を渡しておいた。早速、「指輪収納」にしまっていたから、使い方は平気だろう。

リンダさんに、冒険者の服装、商人や平民の服装、その他を適当に見繕ってくれるようにお願いして、リンダさんにも、金貨1枚、依頼料ですって渡しておいた。


僕は、その間は、リカロさんと、最近は・・・なんて話を聞いたり、店の商品を見たりしていて、ついでに、数カ月分の、酒の仕入れもしていた。

これが、彼も「収納」持ちだからね、簡単になったんだよ、2人で、椅子に座ったまま、手から手へ、といった感じで、スッスッって移動出来てしまうからね。

代金も同じで、手から手へ「収納」を移動させるだけ。


2人が帰ってきたので、リンダさんにお礼を言って、お金、足りましたか?

「はい、もう十分に、私の分までありがとうごいざいました!」

スミレにも、どうだったか?聞けば、楽しかった、嬉しかった、いろいろ面白い、など・・・「ありがとう、来てよかった」、・・・って言っているからOKだろうな。

結局、何着、買ったの? 「いろいろ、冒険者用、商人用、普段着、普段着、おしゃれ着、おしゃれ着・・・」ってまあ、たくさん買ったようでOKだ。

足りなければ、また来れば良いしね。


ところで、スミレは、食べ物は? 「食べなくても良いけど、もし、食べるなら、お菓子かな?」って、なんだ? アキラの記憶かな?

リカロさんたちにお礼を言って、市場の中で、お菓子屋を探せば、直ぐにわかった。店に並んでいるのが女性ばかりで、甘い香りもあるしね。

入っていくと、何と、ここにも、ショートケーキもマカロンも、チョコもあるよ。勇者たちの遺産に感謝。

適当に買い占めて「収納」、次は、果物屋だ。ここでも買い占めた。

スミレは、「見ただけでは、まだわからないから、自分で買うのは、今度にする」っていうので、それじゃそういうことにして、市場の建物の影に入って、「転移」。


「転移」してきたのは、古龍ストームのところ。

スミレを紹介して、酒を出して納品する。

何か? 問題は? 変わったことは? 「無い!」 

ははは、ということなので、仕上がっている「龍泉酒」を収納した。


古龍に、2000年くらい前に、隕石がそんなに落ちてきたのか?って聞いたら、そういえば、そんなこともあったな、あれ、今のノースリアの辺りに集中して落ちていたなぁ、そう言えば、って、・・・思い出したようだ。

まあ、あんたは無事だったんだし、2000年も前なら、いつまでも覚えているわけないよな。でも、そんな時期に、ダンジョンを隕石に破壊されて、休眠していたのが、このスミレなんだ、って教えてやったら、

「よく生きていたな〜、ヒカルと一緒にいるのか?」

「はい、・・・」  

「・・・」

って、なるほど、そうか、古龍は、僕と一緒なら、加護でもくれようとしていたんだな?

ありがとう、それにすみませんねぇ、まだ、僕自身も、スミレがどうしたいのかは、解っていないのですよ。まだ、初日だしね。

「ストーム、悪いね・・・また、連れてくることもあるだろうけど、その時は、頼むよ〜」

「ふん、わかっとるわい」

「ありがと・・・」で、樽酒1個を追加して置いた。

「そういえば、ノースリアが沈んだのも、その頃だった」。

なんてストームが言い出して、「でも、サザランドが沈んだのは、もっともっと、昔だぞ〜、ほとんど忘れたがな〜」ってさ。


サザランドも隕石なのか?あの海域の磁石が狂うのって? 隕石が海底に溜まっている?とか? こんど、サザランド海域も調べてみよう。

なんていろいろ考えていたが、何と、その間、スミレが古龍に酒をついであげてるよ、そういう作法というか礼儀は、アキラ記憶か? たいしたものだよ。

古龍ストームも、まんざらでも無さそうだしな〜、やっぱ、あれか? 女性だからなのか? まあ、良いや。って見ていたら、スミレの前に、小さな箱が現れたよ。

開けてみれば、サザランド金貨が10枚、オリバー金貨が、100枚。

スミレが、僕を見てくるので、まあ、うなずいておいたよ、きっと、ストーム、何かを与えたかったんだよな? あれか? 女性だからか? 

「ストーム、ありがとうな。気を使わせてすまんな・・ まあ、また来るよ」

って、さよなら、して、まずは、エドモント別荘へ。


ここは、伯爵・辺境伯領にある僕の家って紹介して、しばらく上空を一周「飛行」して、「転移」して、サザン別荘へ。

今は、ここが僕の拠点って言って、上空を一周「飛行」して、家に入った。

部屋は、2階の西側を与えたが、問題無いようだ。

ベッドも寝具もあるし、いつでも使えるよう、「状態保存」魔法がかかっているからね。

あとは、一階の、居間、食堂、風呂、トイレを回って、紹介終わり。


居間で、座ってゆっくりしながら、メロンとショートケーキで、おやつの時間。

そうだ、普段飲まないから忘れているよ。お茶が無い。なので、精霊の泉の水を出した。

さっき、古龍にもらった金貨を出してもらって、説明する。


オリバー金貨100枚は、そのままスミレが使ってくれて構わない、

覚えておいて欲しいのは、サザランド金貨、これ10枚しかないけど、今は亡き国の金貨なので、マニア垂涎の品物、オリバー金貨の100倍以上の価値があるもの。

だから、10枚でも、単純に、オリバー金貨1000枚という価値がある。

現在その金貨は買い物で使えないけど、換金はオークションに出品すれば、オリバー金貨に変えられる、ことを説明しておいた。

そしたら、黙って、サザランド金貨10枚を僕のほうへ寄越して、

「掘り起こしてくれて、生き返らせてもらった、お礼です」って僕にくれるようだ。「ま、そういうなら、預かっておくよ」

ちなみに、稼ぎたいなら、ダンジョンで宝箱を当てれば良いし、いろいろ稼ぐ方法はあるから、もちろん、初めのうちは、手伝うけどね。

「いずれにしても、スミレの好きなことをすれば良いさ〜」



*サザランド金貨 10枚 (スミレから預かり)




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