第89話 ロゴス・ダンジョン遺跡 ランデル王国 

サザン別荘のハンモックに揺られて、「空間察知」を広い範囲を対象にして行っているけど、この世界も、球形の天体?なのかな、北の広い、ノースリア未開地の向こうが見えてこない。なので、ノエルの魔王城上空あたりに「転移」。

ここから、北に向けて、「空間察知」「鑑定」をする。


廃墟というか、国の残骸が見えるな、かなり大きな領地というか、王都だったのかな? それが山脈を挟んで左右2箇所に、西側の遺跡の周りに、3箇所、小ぶりな街の遺跡が見える。残念ながら、人の気配は感じることが出来ない。


「ノースリア沈下領域」の北の端の山裾の遺跡らしきものの上空へ転移して、真下に向けて、「気配察知」。人の生命反応、気配は無い。「空間察知」では、ここはダンジョンの遺跡。「鑑定」では、2000年前に閉鎖されたダンジョン、「ラゴス」。


ここから、西にあるのが、同じ頃に閉鎖されたダンジョン、「ロゴス」。

この国は、同時期に住民が一斉に消えた王都、ランデル王国。


王都の東には、ランド公爵領、ここも、2000年前に一斉に住民が消えている。

なぜ?消えた? 今はまだ分からないが、調査対象なのは間違いない。

山脈を挟んで右、つまり東側の王都らしき廃墟は、ビンズ王国の元王都。

こちらも、今は、人の気配は無い。

山裾、ちょうどラゴス・ダンジョンと対称する場所に、ダンジョン遺跡がある。

バロー・ダンジョン。


とりあえず、見える範囲のランデル王国とビンズ王国の「鑑定」情報だ。


一番近い所から行ってみよう。


ランデル王国のロゴス・ダンジョン。

マップで見る限りでは、ウエステン王国のダ・カンポ、カ・ホーク、の地脈の流れと、ケンジのダンジョンからト・ポックへと流れる地脈の合流地点っぽい場所にある。

兎に角、ノースリアの地盤沈下領域やウエステンの深い山岳地帯があるから、現在、ここまでの道は無い。人間には無縁の、地の果てという場所の感覚だろう。


僕は、まあ「転移」してきているので、その場所の上空で今、眼下を目で見渡している。

草木が生えていない砂漠。岩石はむき出し、沈下領域の崖の上の不毛地、外見では、ただの砂漠。何も無い。

「空間把握」で「地下探査」をする。ダンジョンは跡形もなく無くなっているけど、地下20m位のところに、魔力反応がある。

「鑑定」してみれば、箱が一つ、これ、ダンジョンで使っていただろう宝箱のようだ。

その箱を指定して回収、「収納」へ。

一旦外に出して蓋を開ける。罠や呪い? 確認しなかったけど、一旦「収納」に入れてしまえば、すべて、「解呪」「解除」「解毒」されてしまうのが、最近わかったことで、これは便利。

40cm四方の小さな箱。

中身は、「空間拡張」されている。何千年も経っているのに、まだ、魔力を保っていられるのは、ここが地脈の上で、地脈から魔力が供給されているからだろう。

手を触れて僕の魔力を流して、所有者変更上書き、脳内に目録が表示される。

魔石が大小いろいろ多い。


◎ロゴス・ダンジョン宝箱


💰金貨、これは、ランデル金貨、1000枚、

・古代の魔導書、

・袋に入った大きな魔石、どうやら記録玉だね、

・ミスリルの10cmくらいの塊、5個

・聖剣、これは呪われていない、

・コクヨ大学ノート、これは日記?

・マジックバッグ、中身がある、

(高校の学生服、カバン、生徒手帳、スマホ、ラノベ、コミック・・・)

 転生当時の持ち物だろうな。


生徒手帳を開いて見れば、2015年で18歳、高校3年生 滝口俊也。

それで、このダンジョンの崩壊は2000年前、ってものすごく時間軸が狂っているな。僕が2022年だから、7年違いで、2000年+勇者で過ごした期間、の時差。当然、召喚した国?は違うのだろう。そんな古代国家でも異世界召喚を行っていたんだな。異世界転生の仕組みなどはわからないが・・・


とりあえず、日記帳の最後を見てみれば、日本語の文字だ。


『 ここ半年くらい、西のノースリア地方に、隕石がドンドン落ちてきている、たまに大きいのも落ちてきて、大地を揺らしている。不吉だ・・この星が壊れるのじゃないのか?』

『王都から住民が一斉に消えたらしい、集団転生でもしたのか?』

『ここの大地から魔物や生物、植物までも、消えて、枯れていく』

『このダンジョンに来て300年、ここも終わりか?』


これが、転生者 トシヤの最後の記録だ。




PS.近況ノート

巻き込まれて異世界 108 ランデル王都、ビンズ王国 地図です。


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