第82話 転生者 エンデ国王 

市場の出店を回っているが、ここ、何か和食っぽいのが多いな。

煮物、うどん、おにぎり、すき焼き、刺し身、団子、たい焼き、どら焼き、大判焼き、お好み焼き、焼きそば、焼肉、カツ丼、親子丼、・・・

もう何だ?これ、懐かしさのあまり、ドンドン買い占めて、「指輪収納」に入れていたら、後ろから声をかけられた、気が付かなかったな・・・

「鑑定」、

▶エンデ、国王、転生者、気配遮断、

って、王様のお忍びでの街廻り?って奴ですか?


「懐かしそうだな? 日本人か? 」「・・・」

「たとえそうでも、何も危害を加えるつもりはないぞ」

「解ってますよ、エンデ国王様」

「お前、見えるのか?」「はい、しっかりと・・・」

まあ、悪意も何もなさそうなので、しかも、ちょうど、会ってみたいかな、という人物でもあったので、ぶっちゃけ、話してみることにした。


腕を掴まれて、建物の角を曲がったところに連れ込まれて、「転移」。

移動したところはまあ、お城ですね。

王の間とかじゃなくて、王の私室だけどね。

一人、お付きの女性が居る、「鑑定」。

▶サツキ、転生者、150歳 


おやおや、またまた、転生者ですね。この国は・・・、まあ、想像はしていたけども。

なので、僕も、僕だけ見えているのも、フェアーじゃないので、ということで、巻き込まれ転生からこれまでを、適当にかいつまんで話して聞かせてあげた。

「そうか、あんたも、苦労?したんだな」、って言ってはくれるけどね、それよりは、勝手に召喚されるんだから、みんな転生者は苦労?しているのでは?しかも、死なないかぎり、長生きだしね・・・

で、僕の本来が、60のオヤジって聞いてからは、何故か、丁寧語になってきたので、呼び捨てで構わない、僕も君のことは、二人のときは、エンデって呼ばせてもらうからって。


「では、ヒカル、一度、おまえの別荘? 連れていってくれないか?」「良いよ」

って今度は僕が、彼を掴んで、「転移」。


着いた途端に、空気の暖かさに驚いているな。そりゃそうでしょ、エンデ王国よりはかなり南方だからね、と言っても、赤道があるのかないのかなんてまだ調べていないけど、確かに、気温は違う。いきなりの南国気分だろうよ。

「俺も、こういうふうに、のんびりやりたかったよ・・」

って言ったって、あんたは、勇者の仕事があったんだろう、に。

「ありがとう、帰る!」って言うから、「イヤ、僕も行くよ、まだやることあるし」

王の私室へ、「転移」。


まあ、それからは、この世界での、知ってる限りの転生者の情報を交換したら、なんだ、その「不沈の森」の連中、みじめだな〜、ってしょうがないじゃないか。

確かに、エンデは、火山島やオスカ伯爵、マリン公爵家の使用人アヤカのことなどは知っていて、転生者同士で、たまに情報交換?しているらしいよ。他人思いの良いやつだよ。

いや、俺も、お前みたいに、盗賊退治のほうが良いぞ〜、とは言うけど、エンデは既に一国の国王だからね、まあ、それなりにやってよ。

どうしても、って場合は、手伝えるから、って言っておいたよ。

出店で、魔石と宝石を売っている転生者、ミスズのことは一応話しておいた。あとは、エンデが決めることだ。


「なあ、僕が、この国に、ちょくちょく来ることは問題か?ダンジョンとか潜りたいし、商売もしたいし・・・」

「うん?問題無いよ。それに、ギルドの鑑定門を通ってくるだろ?この国は、あの鑑定門を通ればそれでOKなんだ。」

「わかった、ありがとう、あと、できれば、白霧と催眠、盗賊・貴族退治は、秘密にしてくれると、ありがたいかな・・・?」「ああ、そうする!」


ということで僕は一人、城から出て市場に向かっているが、後をつけられている。

さきほどの、付き人、サツキだね、150歳同士、知り合いなのかな? 

とりあえず、ミスズの店の前で、「ここだよ」って言って「隠密」して消えた。

元クラスメイト? まあ、あとは、知らんよ。転生者同士、好きなようにやってくれ。

近くで見ていたが、中から、女の子2人の泣き声が聞こえてきたよ。何年ぶりの再会? 150年か? 普通ではあり得ない再会シーンだな。


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