第78話 悪徳貴族の逃走劇 

サザン別荘で、なんとか「風の噂」で、オストリア王都の様子を聞こうとしているんだけど、さすがに、この距離は駄目か・・僕にも、出来ないことは、まあ、いろいろあるんだけどね。

ウインディを呼んで、「オストリア王都の様子を知りたい、風の噂が聞き取り難い、なんとかなる?」って相談したら、じゃあ!って、久々の「妖精通信」を繋いでくれたよ、凄いな精霊。


入ってくる情報では、『『白い霧、妖精の加護、精霊様だ、天罰だ、留学生が攫われた、海賊だって、海賊全滅だって、他国でも白霧の天罰があるそうだ、・・・』』 などなど、人々には、高評価だね。


お城のほうは? 『『どういうことだ? 違法奴隷売買だと? 留学生が狙われた? 白霧の天罰? 一体、だれが? ・・・・』』


エルマー王都、冒険者ギルドでは、『『エルフの留学生誘拐未遂だと? 助かった? 白霧の天罰? 妖精の加護? そういえば、海の向こうでも、白霧の天罰の話が出ていたな、それに、先だっての魔物暴走時の援護、姿が見えない、光の魔法、どこの誰? だろう? 』』

って、美人なエルフのギルド長が考え込んでいる。

それくらいにしといてくれないと、・・・記憶消すよ。


と、妖精通信が突然騒がしくなって、「緊急!」だって!


なんでも、オストリア王都から、貴族が2人逃げ出して、今、南の山岳地帯へ向かっている。どうやら、山を抜けてオスカ伯爵領を目指しているようだ。

まあ、あの違法奴隷関連の男爵たちだろうな、よく逃げ出せたものだ。

でも、この後は、無いよ。


とりあえず、妖精たちに、二手に別れて、それぞれの男爵たちを追跡して、いろいろ教えてくれると嬉しい、って伝言しておいた。もちろん、お菓子のご褒美付きだよ。

さて、「空間察知」では、南の山岳地帯の谷筋を通って南下していくようだ。イスカ公爵領を通らないのは、仲間ではないからかな?


一方は、イスカ公爵領の際の山裾を通る最短ルート、他方は、山の谷筋を通るルート。

当然だが、追手が出ている。王都からはもちろん、イスカ公爵家からも、追手がでている。


「空間察知」に、うん?異常が起きた? 違う、一方が、イスカ公爵領の少し前で消えて、少し先に現れたんだよ。これ、「転移」だ、恐らく「短距離転移」だろう。

魔道具を使ってるっぽいな。まず、こっちを対処しよう。

真上に「隠密」で「転移」して、見下ろしている、「鑑定」。


▶ナンド男爵 転移の腕輪(短距離、要魔力補充)  


ってあるから、もう、魔力不足で使えない? でも、こういう連中が持っているのはイヤなので、回収、「収納」する。

突然、自分の手首から無くなったものに違和感を感じてはいるが、まあ一回限りの使い捨て感覚だったんだろうな、たいして気にしていないようだ。


男爵一行を範囲指定して、金属、金品の回収、収納。

更に、軽めに「加重」しておく。これで、追いつかれることだろう。


ナンド男爵本人を再鑑定する。


▶ナンド男爵。

転生者 500歳(元勇者)

・窃盗、殺人、

・転移(欠損)収納 錬金 鑑定(欠損)

・レベル200 


*転移の腕輪(短距離、一回ごとに魔力充填が必要)

*ウエステア金貨500枚 

*魔剣 ナンドの魔剣

*聖剣 呪い状態


おやおや、転生勇者かよ? しかも、スキルに随分欠損があるし、聖剣は呪われたまま所持しているのか? 収納の中身も見てみたいけど、こればかりは、彼の意思で僕へ転送するか? または、僕が彼に触れて、僕の魔力で上書きして僕へ転送するか?・・しかないので、まあ、無理だ。彼が死ねば、収納も異空間へリセットされるし・・・

なぜ?スキルが欠損状態? この人、何をやってきたんだ? 何かをされてきたのか? よくわからんが、現在の状態は、悪意、敵意、にまみれている。呪い状態を差し引いても、ひどいものだ。この世界の司法?に裁いてもらおう。


気になるので、もう一人も見ておこう。妖精通信では、もうすぐ、谷筋の半分くらいまで到着、ってことだよ。

真上に転移して、「鑑定」。


▶ニグル男爵 転生者 500歳 

・窃盗、殺人 

・レベル180 

・剣術 

*腕輪 奴隷魔法、

*腕輪 召喚魔法、

*オストリア金貨500枚 


なるほど、勇者一行の剣士かな? 魔道具の腕輪を悪用している犯罪者だね。

追手も随分近くまで来ているようなので、ここは、ニグル男爵に「加重」だけをかけて、あとはヨロシク、のパターンで。


そうそう、先日、王都の噂話の中にあったけど、

金貨の価値が同じで、ただ発行元と模様違いということで、3国間では普通に現行貨幣として流通するそうだ。

ウエステン金貨、エルマー金貨、オストリア金貨、三国で、金の含有量を同じにして、統一するという取り決めが、200年くらい前に取り決められたようだ。

ただし、国によって、独自の模様を採用することは可能、というので、模様違いの同じ価値の3種の現行金貨が存在する。

これ、金貨マニア?なら欲しがる?かな。



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