第70話 巻き込まれて、異世界スローライフだよ 

サザン別荘、いい場所があって良かった。ここ、落ち着く。

お金は、もう使い切れないくらいにある。

無くなることは無いけど、宝石や貴金属のインゴットや塊もある。

おそらく、どこかの国の年間予算?なんて超えてるだろうな。

でも、僕を、勝手に召喚したこの異世界に、そこまでの貢献?はしたくない、弱いものを助ける? まさか? しないし、乱暴者をやっつける? しないよ。そういうのは、普通に居るだろ?

なら、国家や、教会や、そんなもののために働く? 冗談じゃないよ、孤児院やスラムや病人や、貧乏人のために何かしてやる? しないな。


強いて言えば、まだ、呪いがかかったままの異世界人が居れば、様子を見てみたいかな? どうするかは、会ってから決める。おそらく、そのまま放置ということになりそうだけど、サクラやカエデ、ケンジやヒロシなんかの前例もあるしね、まだ、頑張って生きている、昔の勇者たちの様子がわかれば、知りたい。


そんなどうでも良いことを、ハンモックに揺られながら、ウツラウツラしていたよ。

ここは、台風やハリケーンや、そういうのは来ないのかな? 津波? 高潮? 

そんなものよりは、ここは、魔物か? 海の魔物たちが暴れれば、津波、高潮、暴風豪雨なんてものが簡単に陸地を襲うんだろうな・・・


先だって、土魔法関連をもらったな・・・


*土竜の加護 土竜魔法創造

・土魔法:土壁、土弾、土槍、砂嵐、

・土木:道路工事、家屋創造(コンクリート住宅)

・園芸:土壌改良、土壌解呪、栽培促進、


自分のために、ちょっと、調整して練習してみよう。

別荘から森の泉に向けての場所で農作物でも作ろうかな? できるかな?


畑の範囲を土壁で囲う、高さは20cmくらいか? 単なる囲いだな。

その中の土を、深さ150cmくらいを「土壌改良」、念の為に「解呪」をかけておく、生活魔法の水魔法で全体に小雨を降らす。

次は、畑の横に作業小屋を建てる。

「家屋創造」で、コンクリート2階建てにして、一階は作業部屋、土間、などで、階段上がって二階は、土足厳禁の居間、10畳間くらいの大きさ、トイレと水場は、一階に作る。

二階にはベッドもソファーも置いて、ここでも寝れるように。


部屋の窓は、作成時にイメージした通りに出来上がっている。東と南に窓があって、東の窓からは、眼下に畑を見下ろし、南の窓は、オーシャンフロントだよ。

西にも窓というか空気抜きはあるけどね。


さて、植え付ける「種」が無い・・・

なので、買い物だ、帝都に行こう。

リカロさんのところで、酒の仕入れもしたいし。

いつものように酒を仕入れして、どこかで野菜の種など売っていないか聞いたら、「近くの花屋で、花の種や野菜の種、あと果実の苗木なんかも、売っているよ」って情報を得て、花屋へ。


あるよ、あるよ、もう、買い占め状態で、人参、玉ねぎ、じゃがいも、白菜、ほうれん草、かぼちゃ、大豆、いんげん、そら豆、トマト、すいか、いちご、メロンの種を買う。りんご、みかん、柿、葡萄の苗木を購入して、一応、培養土や野菜の肥料などもまとめて購入して、マジックバッグに入れて帰宅。


まず、畑の周囲に、果実の苗木を植える。間隔をあけて、並べただけ。葡萄だけは棚を急遽作ってそこに植えた。

水を撒いて、「栽培促進」の魔法をかけておく。気のせいか5cmくらい伸びた?

畑の方は、どこに植えたか分かりやすいように、「土壌改良」で畝を作って、人参、玉ねぎ、じゃがいも、かぼちゃ、をとりあえず植えてみた。

僕はまだ? まともな?料理とか出来ないから、出来たとしても、煮るか、焼くか、カレーで煮込むか、そんなものしか出来ないから、徐々にね。

なので、作った畑は、まだまだほとんど空いたままだけど・・・


水をまいて、「栽培促進」の魔法を掛けると、すぐに双葉が出てきたよ、凄いね。

明日、どうなっているのかな? 楽しみだ。

今晩は、この作業小屋の二階の部屋で休むことにする。一階の水場で、シャワーを浴びて、温風で乾かして、クリーンで仕上げて、二階へ行く。


夜風が窓を抜けていくけど、これ、風に当たりっぱなしでは、つらいかな?なので、窓を半分閉める。虫が入ってこないように「防御結界」を張ってあるしね。

明かりが無かったので、急遽、「錬金」で魔石を使った照明を作って、一つは天井照明、一つは、ベッドの脇にスタンド照明として設置した。

遠隔で魔力を軽くぶつけることで、スイッチが作動する仕組みだよ。

ベッドのマットと上掛けや枕は、「収納」にあったのを複製したもの。


翌朝、朝日の差し込む東窓を開けて、畑を見る。

さすが、魔法世界、異世界だよ。

畑の作物の実が出来ている。

そして、周りの果樹も多くの果実を実らせている。

しかも・・・季節感?は無い。春、夏、秋、全部あるよ。

実に不思議な感覚、種植えたの、昨日だよ。

昨日は、まだ、苗木だったんだ・・・




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