第69話 イスト諸島 海賊退治
翌朝も早くから、「転移」して、ウエステン王国の海沿い、シーバス公爵領の上空にいる。沖の方、遠くには島並が見える、イスト諸島だ。真ん中の大きい島がイスト島。景色と眺めはとても良いけど、今は、まあ、見てはいけないものが見えている。あれ?海賊船か、海の盗賊団だよな。
貨物船が一隻、襲われている最中で、貨物船の乗組員たちが海に飛び込んで、小型船で逃げるところ。あそこから岸まで、小舟で来れるかな? というのは、なりゆきに任せて、僕やノエルの興味は、盗賊団の行方だね。上からみてるとよく分かるけど、あれ、イスト島に向かっている。中継地かアジトか、まあ、どっちでも良いけど、イスト島の上空に「飛行」で移動する。
島の南側の洞窟に船を着けて、荷を運び込んでいる。まず、あそこの調査だ。
呼ばなくても出てきたヤミちゃんに、あの洞窟を調べてくるように言って、ぼくも、「空間把握」で情報を得ておく。洞窟に荷物の数がやけに多いのは、今回だけではないからだな。ヤミちゃんから念話で、「ここ、盗賊団のアジトで、30人くらい居る、ボスは、身体のでかい奴で、ここにいるよ」って。
どうやら、ウエステン王国の幹部と繋がっているようで、上納金を納めることで、海上の貨物船の「事故」などには目こぼしをしてもらっているようだ。
王国の幹部の名はギルバー、実際は宰相の補佐という立場らしい。
ヤミちゃんが、ボスの記憶を読んだ情報だ。
セイランを呼んで、まず、彼の腕輪収納を預かって、手の中で「錬金」改良する。
腕輪収納の中に、「通常時間空間」を併設し追加した。その後、ウエステン王都の宰相補佐ギルバーを洗うように指示する。
さて、僕は、アジトに向かう、ノエルが先に飛んでいってしまったからね、急がないと、まあ、何が起こっても良いんだけど。
着いてみれば、何というか、ほぼ全員、既に魂を支配されている?
「おお、やっと来たか、ボスはあいつだな?」って、ウーウー唸って転げ回っているよ。すこし放っておいて、お宝の回収をしてしまおう。
隠し部屋も隠し金庫も無し、無造作に箱が積み上げてあるな、そりゃあ、こんなところまで、それらを盗みにくる奴は居ないだろうけどね。
一箱、綺麗な箱があるが、宰相補佐への上納金だろうか?開けてみれば、ウエステン金貨が500枚、あとは、鉱山からの運搬中にくすねたのか? 金塊、銀塊が、ごろごろ、結構重いな、10kgくらいか?
これはこのまま「収納」へ。
後の箱は、3箱に、金貨、銀貨がごちゃまぜに満杯、そして残りの2箱には、貴金属の塊が詰められている、金・銀・銅・ミスリル。
とりあえず、全部回収、「収納」へ。
あとは、最奥の事務室みたいなところがあって、そこに、ファイルに閉じられた書類がある。箱に入れられていて、重要書類?なのか? 少しは隠したいものなんだな?って開いて見れば、海賊の記録と、宰相補佐への上納明細が、こと細かく記録されている。
それとは別に、まだファイルする前の最近の上納明細の書類が3枚ある。これは良い、証拠書類ゲットだ。全部それらを回収、「収納」した。
戻ると、盗賊のボスがまだ、ウーウー煩く転げているので、全員に「催眠」の風を流して、眠らせて、「時間経過収納」へ。
あと、僕の別荘までは来れないとは思うけど、同じ海の上で、こんな連中が流れ着いてもイヤなので、アジトの洞窟と船着き場は破壊して、イスト全5島を範囲指定して、「認識阻害」で大陸側からは見えないようにし、さらに、視覚・方向感覚を錯覚させる「催眠結界」を張って、近くでたまたま見えたとしても、たどり着けないようにしておいた。
遠くからでは、見ることさえ出来ないからね。
セイランから連絡があり、待っていてくれるので、王都まで行こう。「転移」。
ギルバー補佐官の執務室に置いてある私物のカバン、これマジックバッグなんだけど、この中に、貢がれた金品が入っているらしいので、魔力を流して所有者変更して、うん、確かにたんまり溜め込んでいますな〜
とりあえず、無造作に出ていた最近の上納明細の分の金品を、空の綺麗な箱を出してその中に詰める。あとは、バッグごと回収、収納する。
さて、セイランに、他人に見つからないようにギルバー補佐官を無力化して、「時間経過空間」へ収納して捕獲、王都上空で待機、と指示を出して、僕も上空へ移動。
ヤミちゃんには、一応、宰相の記憶を洗ってもらう、犯罪に関わりが無いかどうか?
上空で「隠密」状態で待機していると、ヤミちゃんが戻ってきて、「宰相は白」って言うから、それならと、セイランから、補佐官を僕の「収納」に受け取り、他の盗賊連中と一緒にして、まず、イスト島アジトの記憶を全員から消して、海賊の本拠地は、王都のはるか西にある小さな島、という情報を記憶させる。
あとは、王都の王城前の広場に、白い霧を発生させて、その中に、「白状」を浴びせたギルバー補佐官と盗賊団のボスと上納明細書3枚を転送し、その近くに他の連中を転送してまとめて出して、終わり。
「白霧」を見た、近衛警備隊?が集まってきたが、まあ、もう少しすれば霧も薄まるだろう。
(イスト島海賊団より)
*金貨、銀貨 混合 3箱
*金塊、銀塊、銅塊、ミスリル塊 2箱
*ウエステン金貨 500枚
*金塊、銀塊 10kg
(ギルバー補佐官より)
*マジックバッグ 容量・大 時間経過
*ウエステン金貨 500枚x10=5000枚
*金塊、銀塊 10kgx10
サザン別荘で寛いでいる。
ノエルは、帰らなくても良いのかな? リビングで、スイカをかじっているよ、メタルスライムと一緒に。
ウインディが現れて、スイカ!って向かっていったが、来てそうそう、まずスイカなの? 何か用事があるんじゃ無いのか? と聞いてみたが、暇だから来たんだってさ。そういえばしばらく見ていなかったけど、・・・
精霊の泉で、何か精霊会議のような集会があって、飲んで食って、飲んで食って・・・のようなことをしていて、少し?忙しかったんだとさ。
あれ?ヤミちゃんは、呼ばれてなかったの? と思ったら、きっちり、集会にも顔を出していたんだって・・・何でも、精霊の泉と黒ダイヤの間の移動は、瞬間!なんだって。
よくわからん。
精霊たちの事情は置いておいて、セイランからの念話では・・・
ウエステン王都の上層部は、宰相の補佐官の犯罪ということで大騒ぎなようで、宰相まで、細かく調べられている。証拠の金品は補佐官の部屋にあったので、即、逮捕、あとの、犯罪の証拠は出てこないが、補佐官と盗賊団のボス、本人たちが勝手に自白するのを記録するだけでも、多くの罪状が積み重なるらしい。
本人たちは自白が終わったあとは、静かになり、事切れたようだ。
生きている盗賊団というか、海賊たちは、全員、犯罪奴隷として鉱山送り。といっても、誰も、自分たちが海賊っていう意識はなく、ただの盗賊っていう意識なんだけどね。
あと、最近まで沖に「見えていたと思っていた?」島が見えなくなった、初めから、島なんて無かったんだ、島って何? どこ? というような噂話が広まっているらしいよ。
「風の噂」で操作する必要もないな、こんなの自然消滅していく噂だよ。
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