第63話 ウエステン王国  

サザン別荘で数日、ボーっと過ごした後で、思い立って、古代勇者ケンジのところへ転移。

コアの反応は、随分弱くなってしまったな、でも、僕にも、どうにも出来ない・・

手を触れても、もう高校生姿の彼は現れない。ケンジ、お疲れ様。


僕は、来る前にそのへんでつんできた野の花を束にして、状態維持と不壊の付与をかけて、コアの近くに置いた。

ここのダンジョンは、未公開だし、未開地でどこの国にも所属していないから、このまま放置で良いだろう。魔物が溢れたって、隣に魔王様が居るしね。


というわけで、隣の魔王様を訪ねたのだが、珍しいことに不在だ。幹部に聞いたら、分からないけど、最近よく一人で、街へ買い物とかに出るらしい。なんて話していたら、帰ってきたよ。

「なんじゃ? 久しいのう」って、まあ、普通だね。変わり無し、と。なので、帰ろうとしたら、ちょっと待て、って言われて、いろいろ話しましたよ。

隣国のダンジョンで遊んできたとか、リッチーに、僕が魔王だって間違われたとか、いろいろね。

何か?急にふくれっ面になって、「ずるいのだ! 妾も、面白いことしたいのに〜」って、グチグチ言っているので、なら、今度、あんたのお膝元の、ウエステン王国を巡ってみるつもりだから、・・・「一緒に来るか?」って 言う前に、

「行くぞ〜、一緒にいくのだ〜」って、はい、了解です。

じゃ、近々、連絡するから、って、サザン別荘まで転移したよ。


別荘のハンモックに寝そべって、うつらうつら、マッピングで、ウエステン王国の様子を見ている。ここ面白いな。大きな港が2箇所あって、王都の港と、公爵の港。西の山岳地帯には、鉱山とダンジョンが2箇所、もう一つのダンジョンが王都から北東方向の、未開地沈没の断層近くにある。

西の端は、隣国などは無くて、国境なんて無いようなものだが、その先にひろがる山岳地帯が険しく、高いので、それ以上は行けないってところだな。


面白いのは、魔王城と王都の真ん中あたりに、砂漠があること、しかも、緑の山に囲まれた砂漠だ。ここだけ、草木樹木が育っていない。不思議な場所。

オリバー帝国との交易路は、海沿いの道を使うか、あとは、船だ。マリン公爵の港から出れば、ウエステンの2つの港に海路で行ける。


あとこの王都は、王道というか街道がよく整備されている。王都からは、6本の街道が出ていて、地方の街や鉱山、ダンジョン、港へのアクセスが良い。

・・・と頭に入れていたのだが、そんな静寂をぶち壊す存在が転移してきたよ。

まだ、連絡もしていないのに、早すぎ?だろ? ノエルだよ、魔王様が勝手に、到着ですね。

「来てやったぞ〜、準備なんて何もないからな〜、いつだってOKなのじゃ!」って

まあ、こっちも、準備するようなものは、特に無いんだけどね、心の準備?ってのも必要かなって・・


とにかく、うるさそうなので、明日の朝の出発にした。それまでは解散、ってね。

「わかったのだ、じゃあ、また、朝にくれば良いのか?」ってボソボソ言っているので、どうせ、予定が無いんなら、このまま泊まっていけば?って言えば、

「そうなのじゃ、そこまで誘われたらなあ、泊まってやるのじゃ!」って、まあ良いけどね。部屋は、あるし、確か、ノエルの部屋もあった?よな。



PS.近況ノート 巻き込まれて異世界 104 ウエステン王都 地図です。


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