第51話 サザン別荘 日常  

熟睡できた気分だ。

朝、山の方から?小鳥の鳴き声が聞こえる、東から朝日が昇ってきたよ、南窓から光が入ってくる、東の部屋は、もう朝日の光がいっぱいだ、あれ? 太陽じゃないよな、何? まあ、太陽みたいな恒星? 

しばらくして、風が窓から入って抜けていく。昼にかけて日が昇っていった。暖かい風が吹き抜けてゆく。夕方、日も傾き始めて、部屋の中の日陰も多くなった。午後の昼寝はこのくらいの時間帯がよさそうだ。西側のカーテンを開ければ、日没が見える、この世界も球形だな。


なんて特に何かをするわけでもなく、まる一日過ごして、家の場所も向きも、これで良いようだ。もっとも、何かあれば、すぐに変えてしまえるしね。

なかなかに快適で静かな、南国の別荘ができたよ。

ここ、どこの国にも属していないよな〜〜 そんなに来れるとこじゃないからね。


念話がきた。ストームだ。そうか、しばらく行ってなかったな、酒くれ! だってさ。じゃ、朝飯前にササっと終わらせますか・・・

まだ在庫はあるから、それを渡して、そのあと帝都で仕入れだ。

ストームに、南海の別荘作ったって言ったら、サザランド王国があったころは、あのあたりの山には、知り合いのドラゴンがいたって話、何年前の話をする?


ということで、今、久々の帝都のリカロ酒店。今はリカロ商会って名前が変わって、店構えも大きくなったな。

僕が入っていけば、リカロさん自ら出てきてくれて、名前も店構えも変わりましたね〜なんて言えば、「すべて、ヒカルさんのおかげですよ、マジックバッグも酒も、何より、運気がどんどん良くなっているようで怖いくらいです」なんて言っているから、良かったですね〜ってしか言えないよ。

運気ドンドン上昇、なんて僕は関係ないと思うけどな〜 

いつもの倍の酒を仕入れて、話し込んでいると、小声で、「最近、皇帝様がまともになられて」・・・なんて言う、例の悪徳教会の事件以来、この領の発展もすごいことになっているらしいのだ、良いことだね。


「実は先日、マリン公爵領でも大きな事件があってね〜なんて話しだしたよ。耳が早いね。このオリバー帝国には、精霊様の加護が付いているって、もっぱらの噂になっているって話。「盗賊団や悪徳教会、悪徳貴族がどんどん潰れていって、もはやこの帝国では、精霊のイヤがるような「コト」をしたら、ああなるっていう戒めがあるってのが常識になっているよ、私も、まともな商売をしなきゃだよ」なんて笑って言っている。ま、いつまで続くか?なんだろうけどね・・・


転移で、南洋別荘まで帰ってきたら、ノエルが居るよ。確かに、別荘作ったからねとは連絡はいれておいたよ、後でウジャウジャ言われるよりましだから。

でも昨日の今日で、もうきたの?

それで、精霊たちと、海遊びしてるし・・・魔王城を空けて平気?かと思うけど、あそこには、真面目で強い幹部たちがいるからね、頼もしい部下たちだよ、「まったく問題無い」ってさ。


土産話しだって、「不沈の森」の連中のことを、いろいろ教えてくれた。近所だからね、一応、ときどき監視・調査させているんだってさ。

それなりに、やっているようだ、森の恵みが思いの外豊富なので、衣食住には困っていないらしいよ。服を作れる人もいたんだろうな。土木、建築は居たよね、狩りや採集、栽培はできるから、鍋カマは? 鍛冶屋か錬金使いも居るのか?

それでも、どうしても足りなければ、転移して買ってくれば済むんだけどね。


それで? 君は、いつまでここに居るの?って聞けば、「うん? 無期限?」って、お前、暇人なのか? 暇なのか? やること無いのか? 

まあ、良いけどさ、空き部屋はあるから・・・


仕方がないので、みんなで、他の島やら近所をいろいろ探検してきた。

森にも、山にも、地上にも魔物が居ない、ここは楽園か? もともと、山のてっぺんで、魔物が住んでいなかったところがそのまま島になったからだな。砂浜を作っているのは、サンゴの欠片だ、すべての島の周りにサンゴ礁が形成されている。サンゴ礁の先は、一気にドーンと深海にまで落ち込んでいる。

海にも潜ってみたいけど、その関係の魔法もスキルも無いな・・・





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