第48話 上級精霊   

さて、領地も広がって、ますます活況の、我が家のあるエドモント辺境伯領は、そりゃあもう大変な騒ぎで、冒険者ギルドも商業ギルドも、毎日、出入りする人でごった返している。

とてもじゃあないが、顔なんて出す気になれないので、上空から、領地を眺めているところだ。


山側に広がっていった領地も、小さな村々を飲み込んでいって、整地整備され、南北の領道も通っている。街道の方の東西の出入り口には、関所の衛兵門が設置され、衛兵が常駐している。従来の領地から、開発され広がった領地へ移転、引っ越しも進んでいて、従来の領地側では、土地の整備が始まり、新しいほうでは、計画に基づいて、街づくりが行われている。


おかげで、南北の領道の南の端が、僕の家がある丘の下まで繋がって、交通の便がよくなった。といっても、僕は馬車も馬も使わないけど。でも、たまに、忙しい合間に、商業ギルドのイナーバさんが訪ねてきたりするけどね。

ま、最初に行ったのが、領地を囲む石積み塀の拡張工事で、そのおかげで、領地内への魔物の侵入はほぼゼロだ。



そうだった、今日は、ウインディに言われていたんだった。昼頃に、世界樹のところ、精霊の泉まで来てくれってことだったよ、忘れるとこだった。

急いで、転移する。


うん? 泉が何か今日は賑わっているな? 祭りなのか? 

セイランまで来てたのか! 寄ってきて、僕を所定の場所?に座らせたよ、関係者かよ?お前は。

妖精たちの踊り? ビュンビュン飛び回るのが始まって、泉の水がピューって吹き上がって、中から、あれは確か、アクアだ、水精霊が出てきて、何かのショーの始まりだな。

ウインディとライムが揃って現れたが、あれ? 少し大きくなったのか? 今日はおしゃれな衣装だな。

どうやら、2人揃ってに昇格したようで、今日がそのお披露目、それを僕の前でやりたかったそうだよ。


そういうことならばと、収納からたくさん出してあげるよ、お菓子に、果物、甘い物に、さらに追加のお菓子・・・・とにかく甘いものをたくさん!

妖精たちがそれらを持っていって、集まっている精霊、妖精たちにバンバン配りまくっているよ。


ということで、ウインディとライムが2人揃って、僕の前まで来たな・・・

「お陰様で、上級精霊になれました。ヒカルさん、ありがとうございます。

それで、・・・これからも、引き続き、宜しくお願いします〜〜」

「もちろんだ、承知した、二人とも引き続き宜しく頼む!」 ということで、また、場が派手に、賑やかに盛り上がって・・・そんなお祭りだった。


どうやら、僕のところで、魔力も高まったし、いろいろ経験も積んできて、精霊王様から、先日、正式に認められたようなのだ。よかったな。

様?って僕はまだ会ったことはないよな、って言えば、「内緒だけどね、もう既に会っているよ」って小声で言われた。えっ、誰?いつ? まあ、良いか、そのうち解る時もくるだろ? 


ヤミちゃんも指輪から出てきて、おめでとう、ってやっているけど、聞けば、ヤミちゃんはもう既に上級精霊なんだって、身体は大きくならなかったけどってさ。

なので、今、僕のところには、上級精霊達が3人も揃っているんだよ、風、光、闇。みんなよろしくな・・・


僕へのお返しってことで、「精霊の加護」(風・光・闇)をまとめてくれたよ、どうやら、ヤミちゃんは、2人が昇格するのが近いって分かっていて、今日まで待っていてくれたようだ。

ヤミちゃんに、ありがとう、って言って、魔力を少しあげておいた。ほぼ同時に他の2精霊が僕に寄ってきて、勝手に魔力を吸っていたけどね、「私も〜〜」って。



「じゃあ、4人で、旅行しようか?」 「賛成」・・・

「海の方で良い?」 「OK」ということなので、今回は、マリン公爵領を探検しよう、ということになった。


面倒なので、転移しようとしたら、「飛んで行く」っていうので、じゃあって浮上して行くよ。今、僕の周りでは、誰が一番早いか?なんてスピード競争まで始まっている、魔力も腹も減るからよせば良いのに・・・

結局、みんな似たようなレベルになったので、同格なんだけど、飛行は、風の適性で、ウインディが一番早かったかな? ライムが昇格した上級精霊魔法の「光速」、なんて使えば、瞬間で到着してしまうし、「影移動」なら、ヤミちゃんが一番なんだろうけどね。


*上級(光)精霊魔法

    *光速  光の速さで移動できる、発動中は透明化

    *光記憶 フラッシュとともに、その時前後の記憶を消す

    *光魂殺 魂を殺傷する(精神破壊〜死亡)

*上級(風)精霊魔法

    *風の噂 風を流して、人の記憶に「話」を刻む

         人の会話を風に乗せて拾う

    *風転移 強風に乗せて人・物を移動させる(距離は視認距離)

         自身を移動させることもできる




さて、ここがマリン公爵領、上空から眺める。


同時に、ウインディに領内の噂話を拾ってもらう。

この公爵領は、ほとんど海に面していてこのあたりは断崖絶壁ではなく、砂浜もある、西側に防波堤を作って船が出入りできる港になっていて、その東側に、砂浜のビーチが広がっている。海の沿岸都市ってところか。漁市場も、防波堤の西にある。


公爵邸は、領地の東側にあって、ビーチを臨む高台にある。

領の中央は、出店が並ぶ中央市場、東西に走る領道から南側が庶民、商人の住居、北の山側が貴族の町並みとなっている。

一旦、領の北にある山の上の方で適当に降りる。高いところで、2000mくらいの山岳地帯だ。


ウインディから、拾った話の中で、気になるものは・・・

最近山の中腹に、白い霧が良く発生している、ときどき、夜でも貴族の馬車が山に向かっている、港に貨物船が多くなっている、沖に停泊して入港待ちしてるのもある、公爵家の騎士たちが領内で何かを探し回っているようだ・・・

・・・

うん、何かが起こっているな。

ウインディに妖精通信を繋いでもらい、情報整理。

ヤミちゃんは、公爵と、公爵家を捜索。

セイランとライムは、山岳のチェック、特に中腹と、夜間走る馬車を。


僕も、いろいろ探ってみよう、今回から、変身することにした。

白髪、青目、白いTシャツに白い短パンの服装、155cm位のやや小さめの美少年16歳くらい、・・

何となくね、ここはよその領だし、変身してみようかなって、気分・・・




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