第43話 シーバス伯爵 終焉
翌日は、昼近くにエドモント冒険者ギルドに顔を出した。あいかわらず、こんな時間なのにごったがえしている、忙しそうだ。
また、ガントさんに捕まって、今、奥の部屋だよ。
気配感知でわかるよ、隣の部屋には、居るね2人。これ、マーテン大公のところの元勇者だろ? うかつなことは言えないな・・・
「いや〜昨日は大変でな・・・」から始まって、伯爵家のお嬢様が襲われたが、サクラの機転で助かったこと、襲ったのは盗賊団だが、元締めは隣のシーバス伯爵だということ、・・・って話し始めるので、「ちょっと、待った! なぜ? 僕にそんな関係ない話をするの?」って聞けば、あたまをポリポリ、「すまない」って言って、「少し、気が立っていてな、見境が無かったな、悪い」って謝ってきたので、まあ、ギルド長も大変ですね〜とういうことで、それ以後は、そんな話はなくなったよ。
で、最近はどうだ? っていうので、あちこち、行商と旅人してますよ〜ってね。
面倒なので、隣の部屋に、催眠の風を軽く流しておいたけど、気配が弱くなったな、そんなそよ風でも効いてしまうんだね、ちょっと、気を抜きすぎなんじゃないかい?
サクラの護衛の働きが良かった・・・のくだりだけは話してくれた中で印象に残っているけどね、ギルド長としても、伯爵家に紹介しただけに、顔が立ったというところか?
とりあえず、今日は何もなさそうなので、そのままギルドを出てきたよ。裏に回って隠密で姿を消して浮上。
しばらくして、あの2人が走って出てきて、何かを探すようにしていたが、馬にまたがって帰っていくようだな。僕にたどり着く痕跡なんて無いはずなのに、一体、ギルド長は何を?話したのやら・・・
ちょっと、黒魔法で、ガントさんの最近の記憶を探ってみれば、
『『
なにも、証拠は無いのだけど、前にも、霧騒ぎがあって、あのときは、伯爵家の三男坊が助けられた事件があったんだ、あれと似ているな、俺としては、そんなのに、関係ありそうなのは、一人しか知らない、・・・
』』
それが僕だって、・・・まあ、何を、余計な詮索をしているものやら、仕置が必要だね。前の霧のときの状況と、それに関しての、僕に関する思い込みの部分、これを、「記憶消去」。サヨウナラ。
ところで、あの大公家の2人、チラとしか見なかったけど、確か、レベルは共に150、「鑑定」と「収納」は持っているけど、「転移」は持って無かった。勇者ではなく、勇者パーティにいた2人ということかな?
名前は、トムさんとベティさん、フルフェイスで分からなかったけど、一人は女性か。今でも大公に付いているってのが気にはなるけど、後で、大公領へでも行ってみるかな、今はマズイよ、彼らより先にそこに居たら、変だよな~。
なので、まずは、問題のあったシーバス領へ行こう、セイランも勝手に付いてきたよ。もう、召喚儀式なんて必要無いんだな・・・。
上空から見ているけど、海が近いというか、断崖絶壁になっているんだ、ここか? サザランドが沈んだ境界なのかな?しかし不思議だよね、ドーンとかガーンとか何か音でもしたのかな? 反動でこのオリバー帝国なんて津波を被っているのではないのか? 特に、今は大きな港を持っていて繁盛していそうな、隣のマリン公爵領なんて、津波があったら、モロ、被害が大きいだろうな。
シーバスの屋敷が近くに見えるよ、どこかの調査団でも入っているのか?なかなか賑わっている。紋章を見れば、帝都の紋章だね。帝都が動いたのか?
セイランがちょっと様子を見てくるって降りていったよ、もちろん、透明化のままだけどね。
僕は、引き続き、空から見ていよう。
隠し金庫は空だけど、隠し部屋の宝石と書類はそのままだからね、発見しがいがあるだろ? 金庫の書類から、脱税と、盗賊団への指示、依頼書の一部はそのまま置いてあるしね、ただし金貨は無いよ。
でも、なんか別の場所から、続々と金貨の入った箱を運び出している。
伯爵のへそくり以外の、通常の領の金かな?これも、かなりな数の箱数だ。
シーバスの騎士団も、調査隊に協力してやっているよ、使用人たちは、一人づつ、事情聴取されているけど、無実なんだろ? なら解放されるさ。
セイランからの念話で、寝室に隠し部屋があって、巧妙に認識阻害までかけられている場所がある、恐らく調査団では見つけられないかも?って言うので、探査してみれば、ここにも、へそくり1箱と宝石がじゃらじゃら、書類も多い。
書類を少し回収して見れば、これはマズイんじゃないか? 帝都のエライさんたちへの賄賂の証拠書類だよ、贈賄罪も成立する? 帝都のお城のほうでは、収賄罪で大騒ぎになるだろうな? これを探しているのか? 調査隊の目的は?
書類は全部回収しておこう。贈収賄罪の関係書類、後で大公にでも送るか?
宝石や金は不要なのでそのままにして、セイランに指示。「認識阻害」を破壊して、調査隊が見つけやすいようにしてやってくれって。まあ、通常ならこの伯爵も終わりだろ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます