第41話 エドモント伯爵領 暗雲 

ノエルも一旦帰っていったので、今日はどうしようかと思っていたら、サクラが、冒険者やって、稼ぎたいっていうので、良いけど、転生者ってバレないほうが良いよってだけ、説明をしてから、一緒にエドモントの冒険者ギルドに来た。何か?僕も久しぶりな気がするな。


受付で、登録の手続きをしていたら、ガントさんに呼ばれて奥の部屋へ、彼女は知りあいか?彼女なのか? とかいろいろ聞いてくるので、そんなんじゃあありませんよ〜、単なる知り合いですって言っておいた。ちょっと規格外ですから、よろしく面倒を見てくださいってお願いしておいたよ。まあ、それだけで、何となくピーンときたのか、頷いて、任せろ、っていうので・・・任せるよ・・・

どのくらいのレベルだ?っていうから、そんなの「例の」で調べればわかりますよね、って、そうだった、って走って出ていった。

なので、例のレベル測定器はガントさん自らが操作して、他の受付には見えないように、いろいろやっていて、レベルが高いからEランクでも良いが、一応、薬草採取から初めてもらう、とか言っているよ、良いのか? ギルド長だからね、誰も文句は言えないな。



結局、サクラは、その後、エドモントのお嬢さんの護衛であちこちに同行するようになって、お嬢様付きの家庭教師に就任したよ。ランクも、特別待遇で B ランクだ。まあ、なんというか、僕も協力して、薬草やら、魔石やらを、たくさんギルドに持ち込み続け、ギルド依頼も3つほどこなしたしね、そういう貢献も加算されたらしい。数年契約とはいえ、就職先が見つかってよかったよ。

護衛の仕事をこなすうちに、「気配察知」や「悪意察知」も取得できたようで、仕事能力が高いね。


僕も、酒買って古龍に届けたり、ケンジのところに行って、お香を炊いてみたり、精霊の泉で水を貰ったり、ノエルのところに顔を出したりして、普通にのんびり過ごしていたんだけど、そんなときに、サクラから念話があって、相談したいことがあるので、別荘に行ってもいいですか?なんていうから、OKしたら、すぐに転移してきたよ。


何でも、今度お嬢のお供で、隣のシーバス伯爵領の視察に行くのだけど、少し怪しい動きがあって、・・って話。

エドモント領伯爵邸の近辺に気配の怪しい連中がうろつき始めたこと、行き先のシーバス伯爵は、エドモント伯爵にとっては、良い関係ではないこと、などをあげているのだが、・・・まあ、怪しいと感じたのなら、そうなんだろうね。

とにかく、サクラはお嬢様を守ることに専念するように伝えて、周辺は、なんとか僕が探ってみよう。


久々に、ウインディに連絡したら、即、現れたよ、しかも、ライムも一緒だし、何と、セイランまで勝手に召喚されてるの?

まあ、良いけどね。

それで、今度仕事があるけど、手伝ってくれる?って聞けば、どんな?って言うので、まあ、悪いやつをやっつける?みたいな、って言えば、「ヤルヤル!」って即決だよ。セイランまで・・・、君が出張るほどの強い奴は居ないと思うんだけどね。


そういうことで、サクラからの話で、こうでこうで、だから、恐らくこうだろう、などと話をして、まずは、探りが必要って言えば、早速ウインディが動き出したよ。妖精通信をあちこち繋いでいるようだ。エドモント伯爵邸、シーバス伯爵邸とそれらの周辺の怪しいやつの動きの把握って、もう、完全に把握してるよ。頼もしい仲間だよ。

セイランも、何かを感じたのか?ちょっと出てくるってどこかへ飛んでいったな。

3分も待つこと無く、いろいろ分かってきた。


計画は・・・

1.お嬢の出立は明後日

2.護衛は、新規に雇った傭兵が5人、冒険者ランクで、CとB  

3.寄り道はしないで、直接シーバス領へ向かう

4.エドモント領を出てしばらくのところで、一回目の襲撃予定、

  この盗賊団を傭兵達が撃退する

5.途中休憩を挟んで、シーバス領の手前で、本格的な襲撃

  山裾から、盗賊団が合流、もちろん護衛の傭兵は敵方に回る

6.お嬢様を誘拐する、歯向かうものには容赦しない

  (サクラには、歯向かわないで、お嬢様を守るように言っておこう

  単なる付き人として振る舞うように)

7.シーバス伯爵から、盗賊団から、お嬢様を助け出したとの連絡が

  エドモント伯爵に入る、これは狂言芝居

8,シーバス伯爵は、エドモント伯爵に大きな貸しを作れる


ってこんなシナリオだろうな・・・

といった情報をみんなで共有する、もちろんサクラにも知らせておく。

へたに動かれては、お嬢様もサクラも怪我をしかねないからね。

さて、だいたい予想はしていたが、いち早く、山裾の盗賊団を探ってきたセイランが戻ってきたので、情報を共有して、盗賊情報を聞く。


盗賊団の第一陣、傭兵たちにやられるグループは、既に洗脳されているらしい。雇われた傭兵たちで使い捨ての駒だ。

残りの本体は、全部で30人。シーバス伯爵からの仕事の依頼書を持っていて前金を受け取っている。この盗賊団は、長く、シーバス伯爵と関係を持って、いろいろやってきているようだ。今回の依頼書以外にも、何かありそうだな。


ということで、まずは、依頼書を見に行こう。セイランと二人で隠密で転移して探る、ご丁寧に、最奥の部屋で、依頼書と金貨を出して、ニヤニヤしているボスがいるので、催眠で眠らせて、依頼書を見る。何と、バカ丁寧に、しっかり段取りが書かれていて、報奨金額も、前金は金貨500枚、残り1500枚は、仕事の完了時に屋敷で支払うと、サインと押印はシーバス伯爵のものだ。

これは証拠書類だね。一応複製する。他にもあるはずと、探っていると、セイランが、棚の奥に隠し金庫を見つけたので、解除して開けて見れば、過去の依頼書がかなり重なっているな、どうしてこういう証拠類を保管しておくのか、不思議だよ。

隠し金庫をもとに戻して、催眠を解除して転移で戻る。




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