第34話 作戦決行 

V字谷を進む勇者一行。剣士と魔道士、勇者、聖女の順に進んでいる。


そこへ、崖の両側から大きな石や岩の塊が飛んでくる。これは、結界でも防ぎきれない威力だよ。聖女の結界が割れてしまって、すばやく勇者がフォローしているが、時間の問題だね。

そこで、勇者から、「2人は先に進んでくれ、必ず追いつくから、少しここの連中を始末しておいたほうがよさそうだ・・・」って? わざわざ、戦力を分断するのか? まあ、知らんけど・・・


そう言われて、剣士と魔道士が前に飛び出して行ったが、そこへ今度は、上空にワイバーンが現れて、掴んで運んできた大岩を投げてくる、狙いは正確だ。

魔道士の張る結界にヒビが入りはじめてきている。


さてさて、仕上げといきましょうか? 

ワイバーンから、大きな火の玉が現れて魔道士に放たれた。

ワイバーンが魔道具でも持っているのか? 結界にヒビが入り割れた!瞬間、僕が、魔道士を転移させて、渓谷の上まで移動させた。

ちょうど魔王城とは反対側の崖の上だ。


魔道士のいるであろう谷底の場所では火炎爆発が起こって、周囲を巻き込んで、何もかも全部を燃やし尽くしている。これ、誰が見ても、魔道士は死んだよ、しかも、死体も無いだろう・・全部、火炎の中だ。


僕は、気絶している魔道士を鑑定して、「呪いの指輪」と「呪いのペンダント」の2つを回収して、あの火炎の縁に転送しておいた。さあ、ここには勇者なんていう規格外がいるので、さっさと撤退しよう。

あとは、魔王や魔王幹部が、好きなように遊ぶって言っていたから・・・


今も、オーガが2体現れたけど、あれ、魔王幹部の変身したものだし、魔王は、姿を消して、上空から下をみて、ニヤニヤしている。

魔王に念話して、魔道士を闇空間に収納してもらった。時間停止だけど、生き物でも、何でも入るんだって。腕や足に軽く火傷を負ったみたいだけど、話の結果次第では、きっちり直してあげられるし、今はこのままで良い。火傷の進行は止められるし。


僕も、上空で隠密状態で下の戦いを見ているが、勇者というのは、あの聖剣?が無ければ、ただのそこそこ強い人? 規格外なのは聖剣からの「呪い」だね。もらっておきますか? 聖剣を回収、収納へ。

突然自分の手から消えた聖剣を探しているが、それどころではないのだろうな、予備の魔剣を収納から取り出して頑張っているよ。


聖女? そんなのは、そのへんに気絶したまま転がっているよ。


剣の折れた剣士? 一応、勇者のところに戻ってきた。勇者から予備の剣を受け取って戦っている。そうしながら、魔道士の最期でも語っているんだろうか?

手には、魔道士の指輪とペンダントが握られている、焼け焦げているそれを、よくあの中から、見つけ出したものだよ。剣士が聖女を担ぎ上げて、勇者が殿?を努めながら撤退しはじめた。そこに、命中率良く、オーガたちの投げる石がどんどん勇者たちの身体に傷をつけていく。勇者なんて、既に片腕が無いけど、聖女があの状態じゃ、回復もして貰えなかったんだな・・・


聖女の本家の聖魔法、複製できました。


*聖魔法 ヒール、回復、超回復、修復、超修復、

     超回復などは、身体の欠損をも瞬時に治せる


ついでに、勇者パーティから、+100 魔力が流れてきた。


*ヒカル:レベル550 魔力900


さて、ここは魔王城の一室。

魔王に借りて、ここに白い霧を充満させて、その中央に回収してきた魔道士さんを出した。


「あ、気が付いたようですね、篠崎桜さんですね?」

「え、え・・・私は、死んだのですか?」

「イエ、生きていますよ、ここは、異世界だけど」

「え、え?・・・あれ? 何で? ・・・」

に、助けて!ってあったので、助けましたが?」

「え、え、あの? 青木部長?」

「部長は無いですね、ここは異世界、ヒカルです」


彼女も、随分意識もはっきりしてきたようで、助けた顛末を話して、これからどうしたい?って聞けば、「日本に帰りたい」って、まあそうくるよな~

実は、召喚された者はどこにも帰れない、のだということを説明するのに、時間がかかったが、なんとか納得できたようだ。

それで、身に付けていた、指輪とペンダントは外したこと、あれらは、呪いの魔道具であったことなどを伝えた。


霧の中で僕の姿が見えないっていうので、少し霧を緩めたら、若返っているぼくに驚いていたが、桜さんあなたも随分若返っていますよ。

あ、そうそう、あなたは、あの事故?でワイバーンの火炎に直撃されて死んだことになっているはずですから。


「つまり、私は、この世界で生きて行くしか無いのですね?」って言うから、「そうです、生きていくのなら、なんかお手伝いができるかもしれませんが、もし、生きるのがつらいようなら、即、殺してあげることも出来ますよ」・・・


しばらく、考え込んでいたが、顔をあげて、僕の「そばに置いて欲しい」って言いだしたので、「なら、少し、修行を積んでもらいます」って伝える。つまり今のレベルでは、いずれすぐに死んでしまいますよってね。


僕には心強い仲間がいる。

何と、ノエルが、「少ししごいたほうが良いの〜」って言い出して、しばらく面倒をみてくれるって言ってくれているのだ。

僕は、いろいろ提案を出す。

1.黒目黒髪は目立つので、変える。

2.レベルをせめて、200くらいに上げる。

3.冒険者登録して、稼ぐ。

4.たまに僕の手伝いをして、悪者退治?をする・・・


魔道士 サクラ レベル100

    鑑定、収納、

    光魔法、治癒魔法、結界魔法、

    魔法攻撃無効、魔法反射、支援魔法、

これが、現在の桜の能力、どこまで伸ばせるかな?


思いつくままの提案だったが、全部納得してくれたので、とりあえず、腕や足の火傷を自分で治させてみる、レベルが高くはないので、効果は遅いか・・・なので、僕が上書きで、回復してあげた。瞬間で、きれいな肌になったよ。



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