第3話 森精霊の泉
道に沿って歩くこと10分くらいで、着いたよ。これ、森の泉? 見るからに綺麗な水だ。
「鑑定」では、
※森精霊の泉、水精霊が住む、飲用可、魔力、生命力が増加する、怪我や病気を回復する。
まあ、ものすごく、ご利益のある水だよ。
まず、手ですくって飲んでみると、なんか不思議と美味しい! 確かに、力が湧いてくるような感じもする。
空のボトルを出して、この水を少し入れて洗ぐ。綺麗になったボトルを連続して錬金複製する。とりあえず、20本くらい。全てに、泉から水を満タンに入れさせてもらったよ。
それで、収納へ。ああ、これで飲水も確保出来たな。
あとの、食べ物や果物や、そんなのは、自分で探してみよう・・・
泉の縁に触れて、「ありがとう」って伝えたら、ポンって、翅の生えた小さな人形さんが現れた。これは、なんだろう・・・妖精?なのか?
話せるのかな? って思ったら、頭の中に声が聞こえてきた、恐らく、この妖精さんの声だ。
「水は美味しかった?」かって聞いている。「代わりに、何か頂戴?」って・・・
何が良い?って声に出さないで、思ってみたら、通じた。
「甘い物が良い」って、あれしか無いな、ということで、世界樹の果実を1個、差し出したら、スッと無くなった、収納持ちなんだな。
「ありがとう」って言って、消えていったよ。
僕も、ここには水もあるし、少し休憩して、整理してみようかな。
だって、ついさっきまで、日本の都会の交差点で、信号待ちしていたんだよ、いくら、創造神様から説明されても、信じてはいるんだけど、でも、自分でも、また、いろいろチェックしたいんだよ・・・
結局、なるようにしかならない? でも、僕には、いろいろ、なんとか出来るかもしれない「力」がある。なら、前を向いて歩いて行こう!
ということで、再度、スキルのチェックから。
▶錬金、「素材作成」や「錬金複製」って、これ、何でも出来るのかな? なら、必要なものは・・・と、異世界らしく? ナイフかな? 戦闘用じゃなくて、なんというか、果物ナイフのもう少ししっかりしたような奴で、って思いながら「錬金」・・・出来たよ。
目の前に、思い描いていた、ちゃんとしたナイフが現れたよ、取り回しも良いし、対人にならこれだけで攻撃できそう、やるつもりはないけどね。収納しておく。
カバンを出して、中を見てみる。カロリー◯イト、これも出来る?のか?
「複製」出来たよ、パッケージを開けて、1個食べてみると、美味しい! 知っている味よりも美味いかな?なので、とりあえず、10個、複製しておいた。
ハンカチにボールペンや、スマホ、・・・まあ使わ無さそう。
そうだ、金貨は? とりあえず、しっかり鑑定してみると・・・
※オリバー金貨 オリバー帝国製造の世界的流通金貨
日本円換算で10万円
※オリバー銀貨 日本円換算で1万円
※オリバー銅貨 日本円換算で、1000円
あとは、手元には今無いけど、その下の貨幣もあるんだろうな・・・
なので、金貨を10枚、銀貨を50枚、銅貨を30枚、複製しておいた。できてしまった!
そうか? この場所というかここは、「オリバー帝国」なんだな。マッピングしてみると、頭に地図が現れた。オリバー帝国の帝都を中心にすると、今ここは、もう地図のかなり東の端あたりで、帝国の南には海、西も海で、北は山岳地帯、っと。
地図を縮小してみれば、更に隣接する他国の位置関係も解るな。
とにかく、ここから出るなら、西に向かえば、帝都ってことだ。
▶収納、これいろいろ使える気がするんだよね。
離れているところから、指定したものを収納、全体の中の一部だけ収納、って可能なのか?
とりあえず、あたりを見回してみると、小さな2cmくらいの綺麗な青色の玉がおちている。
鑑定では、ビッグスライムの核(魔石)って、そうだよ、スライムっているんだよね。
しかも、この魔石は、ビッグスライムだって、やっぱ大きいんだろうな。
これを、少し離れた岩のところに置いて、戻ってきて、実験だよ。
スライムの魔石を指定して、「収納」と思っただけで、収納できた、収納から出してみれば、先程の青玉だ。こんどは、それを、もう少し先の木の洞の中にいれて、そのへんの落ち葉や雑草をむしって詰める。洞の入り口とは反対側の方向に少し離れて、魔石を指定して「収納」って出来た!よ。隠しておいた青玉が収納できた。
これ、「転送」なら、収納はされずに、手元に来るだけなのかな?
同じように実験する、そうなんだね、出来る!んだよ。わかりましたよ・・・
今度は、随分離れているけど、森精霊の泉の中に、青玉を転送しておいて、それを指定して、「収納」、うん、出来る。
なんていろいろやっていたら、「パチパチパチ・・」って、えっ? 拍手?
突然、「ねえ、そこのあなた・・」って話しかけてくる誰か?がいるよ、でも居ないな?
「ねえ、どこ?見てるのよ? ここ、ここ、」
って、良く見れば、羽のある小さいのが、近くの枝に座っている、前に見た妖精さんより少し大きいのかな?しかも、言葉を話してる・・・
「ああ、こんにちわ、僕は、ヒカル、君は?」
「私は、風の中級精霊、ウインディよ、よろしく」
「って、なぜ? 人間の言葉を話せるの?」
「えへん、常識よ、だって、精霊だもの」
って、要は、先の妖精はまだ幼いし修行が足りないから、話せないけど、精霊になれば、つまりレベルが上がれば、人間の言葉も話せるってことらしい。でも、普通の人間には、聞こえないし、彼女たちの姿を見ることもできない、んだって。
僕は、精霊さんが言うには、「世界樹の加護」、を持っているからね、きっとそのせいだって。
それで、先程から、いろいろ僕が面白いことをやっているので、つい、見入ってしまっていたようだ。
「・・・で、そうじゃなくて、今日は、お詫びにきたの。妖精に、果実を渡したでしょ?あれ、世界樹の実よね、そんな大事なものを渡すなんて信じられない」
「イヤ、そんなんじゃなくて、水を分けてもらったし、何かくれ、っていうから、あんなものしかなかったんだよ・・・」
「あんなものしか、って、普通の人間なんて、あれを見ることも、触ることも、食べることも、まず、一生無いんだからね!」
ってまあ、叱られましたよ。と、隣に、ポッと先程の妖精が現れて、(ごめんなさい、これ、お返しします)って感じで、果実を戻してきたよ、まだ、かじってもいないよ。どうやら、話をして中級精霊に、さんざん叱られたらしい。
「はい、はい、分かりましたので、それはまあ、世界樹さんから頂いたようなものなんだけど、じゃあ、みんなで分けて食べよう! 精霊さんも一緒に、どう?ですか。」って言って、果実を、先程作ったナイフで3等分にして、一切れづつ渡してあげた。
そう言うなら、って、ふたりとも、美味しい美味しいって、むしゃぶりついているよ、なんてったって、身体も、口も小さいからね・・・
それにしても、世界樹の果実って、そんな貴重なものだったんだね・・・あと残り1個しかないや・・・
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