第7話 仲間ができた!
「あのままでよかったの? 大丈夫かな?」
「あの人たちがそう言ったなら従うしかないわ。 あと、あなた最後におまじないかけたわね。」
「えへへ。 うん。もう家族離れ離れになってほしくなかったから。」
「古い魔法だけど、そういうのも悪くないわね。」
私たちは来た道を見つめながら話した。
「・・・あれ? ・・・ってええ!?」
驚いたのは、彼女がきれいな黒い髪を耳にかけて際にあの指輪がついていたからと、おまじないを知っていたことを今気づいたからだ。
「なによ。 あなたほんとぼーっとしているわね。」
「えと・・あのー つまり・・・」
「はぁ。 そうよ。一応私は同業者なのよ。」
私が言葉に詰まってる様子をみて、呆れた顔で教えてくれた。
「・・・・・・・・・・・」
「ちょっと、最初から説明してほしいっす。」
「いやよ。 そんなのめんどくさいわ。 ああ、あなたのいう最初ってどこかしら?
私が生まれてから? それともアニメで初めて魔法少女”ミミ”を見て
私もなりたーい。って思ってたところ?」
「いや、そこはこの国来てからでいいので・・・」
彼女は、はあーーーーーーっとわざとらしいため息をついて
砂浜に落ちてた大きめの石に座った。
「私はここに来る前、ただひたすら逃げていたの。
命を狙われてたから。
逃げるように転がり込んだこの国で、元国王に身柄を隠すように言われて
ここで匿われたのよ。
こんな小さな国でも、魔女狩りが行われていたから
自分の使い魔に記憶を改竄させて、ここで暮らしていたわ。」
「じゃあ、その指輪が解術の条件付トリガーになっていたんだね。
そのアオイちゃんの使い魔は? 教えてほしいな。」
”まあ、いいわ。”そういって彼女はすっと立ち上がって、ピーっと指笛を吹いた。
「おいで。」
彼女の少し後ろから、1匹の立派な鷹が彼女の右肩に止まった。
(うわーーーー!)
「かっこいいね!! クールなアオイちゃんにピッタリって感じ。
名前はなんていうの!?」
「・・・あなたの使い魔は?」
私の問いには答えてくれず、鷹のくちばしを撫でて穏やかな表情を浮かべていた。
(よかった。 なんか地雷踏んだかと思った。)
「私はね、この子だよ。 おいで、モチ。」
私の足元の地面が渦を巻いた模様に変わり、グレーの毛並みの猫がぴょんっと飛び出した。
”なあ”と鳴いたが、モチはアオイちゃんの使い魔である鷹に目を真ん丸にした。
「えへへ。 アオイちゃんの鷹にびっくりしたみたい。」
モチの頭を撫でるが、鷹から目を離さなかった。
「私のことを警戒しているようね。」
「うん。 モチは勇敢だけど、ほかの魔女の使い魔に会うのは初めてだからね。」
「昔から、使い魔は使役する魔女に似るって言うわ。つまり」
「いや、私に似てないよ!! 勇敢なところは似ているかな。」
「今のところ勇敢な姿とは言えないわね。」
アオイちゃんはわたしをいぢるようになったが、彼女とスムーズに会話できてうれしかった。
「さ、もうもどしt・・・」
アオイちゃんの言葉を遮るタイミングで、私たちの使い魔の様子が急に変わったことに気づいた。
私は撫でていた手を止めて、様子を見ていると、突然お互いの使い魔の身体が
紫の炎を上げて姿を消し、一通の手紙に変わった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
宙に浮かび、そこからひらひらと落ちてきた黒い手紙封筒を掴み、お互いの顔を見つめあった。
「これって、黒文・・・」
基本的に使い魔を通してそれぞれの魔女に指令が届けられる。
基本的に指令内容は、人を食い物にする悪魔、事象の解決にあたることが多いが、
この黒文とは、ここに書いてある指令には必ず従うこと意味していて、
話を聞くところには、人間を守る仕事ではないということらしい。
「ぼーっと見つめててもしょうがないわ。 見てみましょう。」
アオイちゃんに促されて、私たちは封筒を縦に破ると、足元の砂に文字と地図が書かれていく。
「えーっと、魔女の反応あり。身柄を捉えること。・・・・生死は問わない?」
読み終わると、風に吹かれて砂に書かれた文字は消えた。
「これって・・・」
「変な任務ね。 基本的に魔女同士は同じ単独任務であることが掟なのに。
ましては、ほかの魔女の身分を確保って・・・」
「情報が少なすぎるよ。 それに、捉えるって表現がなんかこの人が悪い人みたいに感じてしまうね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「とりあえず行きましょう。 このままここで考えていてもしょうがないわ。
地図にあった場所へ行きましょう。」
「うん! 私たちチームだね。 頑張ろ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
私たちは、指定された場所に向かうためにここから一番近い駅に向かった。
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