第4話 私はあなたの味方ですっ。


小屋に案内され、部屋の真ん中に机を囲んで置いてある4つの椅子に3人座った。


「あ、このコーヒーおいし。これは?」

「これは、私の友人が送ってくれる豆だ。コーヒー好きかね?」

「はい、好きです。 あ、あの・・・・ 名前お聞きしていいですか?」


その男性は”アル”と名乗り、アオイちゃんにもコーヒーが入ったカップを置いた。


「さて、情報交換といったな。 まず、君の目的とこれは何か教えてもらおう。」

元国王は、右手中指にはまっている赤黒いダイヤが埋めこまれた指輪を外し、机に置いた。


「目的ですか・・・ 私は、こそこそと今までの仕事を続けたかったんです。

 ただ、突然その仕事を手配する友人と連絡取れなくなったんです。

 そこで、片っ端から魔女を探していけば何か知っている人がいるんじゃないかなと。」


「で、つぎはその指輪についてですね。

 その指輪についている石は"魔石"と言って、膨大なエネルギーを持ってます。

正確にはその石はエネルギーを留めておく器って言った方がいいねですね。

ちなみに、そのエネルギーを扱う能力を魔術、魔術を使う人を魔女っていいます。 あ、これは世間一般的な意味じゃなくて、 私たち側の言い方。」


「あなたたち側??」

私の右側に座ってるさっきまで戦っていたスーツの女性が聞いてきた。


「魔女って定義したのは、実際にそれを扱う人側の定義ってことです。

 非魔術者は”魔女”って定義がむちゃくちゃですから。」


「あっ! ていうか、その前に君の名前聞いてないね。 あの、名前は?」


「私は、”アオイ”。 アオイでいい。」


黙って聞いていた男性は、ようやく口を開いた。


「アオイのことは一旦今はいい。

 ヤツ、現国王の"ベルナール"はこの石を探してる。

 キミ、ユイくんの話だとこれ単体ではなにも起きないのか?」


「はい、そうですね。使う人がいないと。

 あの、私から質問のターン。 それをどこで?誰からもらったんですか??」


私からの問いに思い出すように男は下を見つめた。


「これは、わしの嫁から預かったものだ。シホは娘と一緒にヤツに囚われたが、

 これだけは誰にも渡してはダメだと・・・」

絞り出すような声に怒りの感情を感じる。


「今、奥さんと娘さんはどこに?」

「ヤツのところだ。魔女であることを証明すると言っていた。

 私は・・何もできなかった・・・ 守れなかった。。。」


「・・・肩を持つわけではありませんが、国民も、王女様も、ご子息様も

あの状況で、すべてを守ることは不可能でした。」

アオイちゃんが男性に続いて、髪を耳にかけながら教えてくれた。



「でも・・・ あなたにとってはその石より、ずっと大事なものですよね。」


「・・・!!   嫁と娘の命が一番大事だ!

 ただ、わしが抵抗すればどうなるか・・・」

「私、お手伝いしましょうか?」


え?っと驚いた顔をこっちに向けた。

「あの、私が、奥様と娘さんを助けるお手伝いしましょうか?

 ごはんのお礼です。」


「・・・気持ちはありがたいが、君みたいな少女を危険にさらすわけにいかない。

 それに、これはこの国のことだ。」


 おい、どこへ行く?」


席を立った私に男性は尋ねた。


「? 先に情報収集しようかと。まだこの国のこと知らないですから・・・」

小屋の扉を開けると、アルさんは私に向かって叫んだ。


「ダメだ!! ・・・危険すぎる。 戦うのは、私だ。 君じゃない。」

くるっと振り返ると複雑な表情でアルさんはこっちを見ていた。


「いつでも頼ってください。 私はあなたの味方です。」

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