リョウタ・スペンサー ドラム担当 25歳の場合

 "Hey, I know you. You are Mr.Asaka JP Star entertainment's president."(ねえ、あなたを知ってます。JPスター芸能事務所社長の浅加さんですよね。)


「やあ、その通り! 君のことは噂で聞いてるよ。ドラムソロの世界大会で優勝したことをね。単刀直入に言ってしまうが、ぜひうちの事務所に来て欲しいと思ってる。

 君の才能を決して無駄にはしないと約束するよ。はい、これを訳して」

 浅加は隣にいる通訳に指示を出した。



「ああ、訳さなくて日本語分かりますよ! 大丈夫! でも、僕なんかを日本の一流の芸能事務所に入れていただいて良いんですか?」

 リョウタが流暢りゅうちょうな日本語でペラペラ話し出した。



「なあんだ、日本語も出来るのか。いやあ、日本からロスまで来て僕の話しが通じないと困るからね。通訳を頼んだんだが、早く言って欲しかったよ。

 で、どうかね? 僕と一緒に日本に来る気はあるかね?」



「……もう少し考えさせてください」


「ん? 何か心配事でも? 給料か?

 それともウチじゃ物足りないとか…… 」



「いえ、そうじゃなくて。……僕の家族にも相談しないと。それにアメリカのレコード会社からのオファーもあるので」



「アメリカのレコード会社もか。君がもしウチを選んでくれたら、アメリカンドリームほどの額は出せないかもしれないが、充実した仕事をさせてやる自信がある。

 もし来てくれるのなら、ご家族には、俺の方からも説得してみるつもりだよ」



 リョウタはしばらく考えていたが、「OK! 明日僕の家に来てくれませんか? その時まで結論を出しておきます」と日本人のように丁寧に頭を下げた。




 翌日の昼、浅加は昨日教えられた住所に車で向かった。

 アメリカのごく一般的な家々が広い道路を挟んで立ち並んでいる緑豊かなところだ。


 似たような家が整然と並んでいる、その一角の、白い壁と赤い屋根の新しそうな家の玄関のチャイムを鳴らした。



 "Hi! Nice to meet you.Wellcome to my house." (ハイ、お会いできて嬉しいです。どうぞお入りください)

 ドアを開け顔を出したのは、リョウタの父親で弁護士をしているジェームズだった。



「まあ、いらっしゃい。お待ちしておりました。どうぞどうぞ、今リョウタを呼んできますね」

ロスの日本人会で英語講師をしている母親の由紀ゆきも嬉しそうに浅加を迎えた。



「あ、いらっしゃい! 来てくださってありがとうございます」

 リョウタが二階から笑顔で駆け下りてきた。



「まあまあ、先にランチでもしながらお話しませんか?」

 由紀が浅加のジャケットを受け取り、ダイニングテーブルに掛けさせた。



 ジェームズが浅加の向かい側の席に着くと、早速聞きたいことが待ちきれず英語で話しかけてきた。

 <それで? リョウタのドラマーとしての才能をかってくださったと聞きましたが、彼のドラムは見たことがあったんですか?>


 由紀が通訳をしてくれた。


「ええ、もちろんですよ。彼のドラムの世界大会を観ました。本当に素晴らしかったです」

 浅加の言葉をジェームズに伝えると、


 <彼はアメリカのレコード会社からも引く手あまたなんです。彼に損をさせない自信がおありですか?>


 ジェームズの言葉は若干上から物を言っていたが、それだけ息子の才能を買っているからだろう。



「はい、損はさせません! 日本でバンドを組んで売り出せば、必ずミリオンセラーになると保証します。なにせ僕は昔から目と腕に狂いはないですからね」浅加も負けてはいない。



「ちょっとちょっと、僕抜きでどんどん話を進めないでよ。初めにマミーの自慢の手料理を食べてからにしない?」

 リョウタがやっと着替えを終え、食卓につきながら言った。



 テーブルに並んだご馳走は、日本料理と洋食のミックスされた頬が落ちそうなほど上手い料理ばかりだった。



「ダッドの心配も分かるけど、昨日の夜一晩考えて決めたんだ。僕は日本に行くことにするよ!」



 <そうか。リョウタが決めたのなら反対しない。もう大人なんだから、自分の生き方は自分で決めるべきだ。

 ただし、僕らは親だからね。君が日本で苦労しても助けてあげられないことを心配してる。苦労も人生の勉強だが、親としてマミーもダディも心配するのは当たり前のことなんだ>



 <分かってる。ありがとう、ダッド。だけど、日本は憧れの国なんだ。マミーの国でもあるしね。日本に行ったらやりたいことがいっぱいあるよ。

 音楽もそうだけど、食べ物やファッションや日本の芸能界にもね>



「リョウタ、ママも応援してるわ。もし何かあったら、ママの実家のおじいちゃんとおばあちゃんを頼ってもいいのよ。二人とも元気で横浜に住んでるわ」



「ありがとう、マミー。東京のおじいちゃんたちにも会いに行くよ」



「……では、決まりですね。早速ですが、僕は明日日本に帰国します。来月までには契約のために事務所に来てほしいと思ってるよ」


 浅加は名刺を渡し、リョウタとリョウタの両親に丁寧に挨拶をすると、また車で滞在先へと戻ったのだった。




 こうしてリョウタはロサンゼルスの家を出て、JPスター芸能事務所のある東京へ来ることになった。


 初めて東京に着いた日、あまりにも都会すぎて目眩がした程だった。ロスの郊外にはなかった高いビル群に圧倒され、自分の真の目的にも不安になり、心まで迷子になりそうだった。



 一緒にバンドをやるメンバーだと紹介された3人に初めて会った時、今までの不安が一気に吹き飛んだ。

 彼らの顔が希望に溢れて生き生きとしたオーラに包まれているのを感じたからだ。

 同じ目的を持った4人が仲間として前だけを向いて突き進むことになるのは、自然のことだった。

 新生ラ・メールブルーは、1年経った今でも、プロフェッショナルの4人の神がかった演奏で、人々を希望の光で包み込み心を捉えて離さない、誰もが1番落ち着く永遠の場所、その名の通り『青い海』のような存在となっている。





 終


リョウタ・スペンサー プロフィール

身長180cm 体重70kg 足のサイズ27.5

California Music and Art University(*架空)卒業

柔らかいカーリーなライトブラウンヘア

好きなタイプ 明るくて聡明な人 冷静で落ち着いてる人 スポーツができる人

趣味 バスケットボール ドラム(世界大会優勝) 水泳

性格 明るい 周りに気を遣える ノリがいい 聡明で優しい


イメージタレントは、SixTONESのジェシーさんです。








 裕星のメンバーたちの紹介スピンオフストーリーを一気に投稿いたしましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました❣️


 それでは、明日は運命のツインレイシリーズPart4『涙のタイムスリップ編』を予定通り投稿いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします!✨

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