第23話

 数日ほど同じような日々を過ごし僕たちは高い城壁に囲まれた街についた。

 大きな門があり馬車が並んでいる。ここが剣士の里のようだ。今まで来た中で一番大きなところだ。


「テン、おおきいね。」


 リアが石のレンガの城壁を見上げて言う。


「ここは、剣士の里の中心部よ。剣士の里は、一つの独立国なのよ。ここは剣王が住んでいる街よ。」


 リアのお母さんが説明してくれた。


「ここには、初心者の訓練学校と剣士ギルドがあって、要人警護に派遣される人もいるのよ。」


「わたしたちは訓練学校に行くの?」

「ええ。短期コースだけど、修了すれば剣士ギルドに登録できて、剣士のスキルがなくても剣士を名乗らせてもらえるわ。要人警護をするなかで他のスキルを隠したい人のためにそういうサービスを始めたそうよ。」

「へえ。そうなんだ。」


 剣士の里、あ、国か。人助けがメインの一族なのかな?僕はお母さんの説明をききながら考えていた。


「馬車の中の確認をさせてもらってもいいですか?」

 馬車が門に近づくと、門番さんたちが近付いてきた。


「はい。どうぞ。」


 馬車の後ろにある布の入り口をリアのお父さんが開ける。騎士の恰好をした男の人が馬車の中を覗き込んだ。


「申請通りですね。二人は訓練学校に行くのかな。最初は厳しいかもだけど、力はつくから頑張ってね。」

「はい。ありがとうございます。」


 リアとアルが話しかけられて嬉しそうに返事している。優しいお兄さんのようだ。

 馬車の点検が終わったので街の中へと入っていく。


 城壁の中は、外側とあまり変わらない色合いの街並みだった。今日は宿に泊まり明日からリアとアルと僕は全寮制の騎士学校に短期入学する。その間、大人たちは大人たちでやることがあるそうだ。


「テン、あなたは体力づくりをメインに頑張るのよ。」

「うん!わかった!」


 レンさんが僕にあまり魔法を使わないように釘を指す。トラブルを避けるためあまり目立ってはいけないらしい。こんな幼体が外に出ることは珍しいもんね。


「テン、楽しみだね。明日から頑張ろうね!」

「きゃん!」


 リアが僕のそばに来て、僕を抱き上げて言った。学校ってどんなところだろう。楽しいところだといいな。体力づくり頑張るぞ。


 明日の準備をするリアを見守りながら僕は眠りについた。





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