第11話

 また幌馬車に乗って出発だ。今日は森の中の道を進む。馬車の屋根の上で僕は風魔法の練習をする。後ろに向かって風を起こせば、馬車の歩みがほんの少し速くなる。


 楽しーい♪高い場所好きー♪


 リアたち魔物つかいは僕たちパートナーとコミュニケーションを取るために、ほんの少しだが常に魔力を使い続けているようなものなのでかなりの魔力が必要だ。だからリアは、リアのお父さんとレンさんと一緒に馬車に並走して走っている。すごい体力だ。僕も練習が終わればリアと一緒に走ろうと思う。


 馬車の外から見えないところではアルが小さな結界を張る練習をしていて、アルのお父さんはアルに付きっきりだ。


 御者席にはリアのお母さんが座っている。たまに魔法を使って森の中の木々をどけている。

 リアが高く飛んだりして木の上を飛び移ったりしている。魔物つかいはパートナーの属性が身に着くと聞いていたけど、あんな使い方もできるんだ。僕も練習しよう。


「はあ、休憩」


 リアが馬車の上に来た。風を操ってリアを涼しくする。


「ありがとう。」

「きゃん」

 どういたしまして!


「きゃん」

 さっきのどうやるの?


「木に乗るやつ?」

「きゃん」

 うん。


「テンと契約する前から、ジャンプ力は鍛えてたんだけど、テンと契約してから、足に力を込めると高く跳べるようになったんだよ。」

「きゃん」

 なるほど。


 もともとのジャンプ力と、足に風の魔力をこめるのかな。やってみよう。

 僕は馬車の下に降りた。


 えいっ

 いつもより跳べるけど、リアに比べたらまだまだだ。もともとのジャンプ力と魔力が足りない。もっと体を鍛えないと。


「テン、すごいね。テンってなんでもできるんだね。」

 リアが横に来て褒めてくれる。


「きゅん・・・」

 違うよ、リアみたいにもっと高く跳びたいんだ。


「体力と魔力がつけばできるよ。」

「きゅん」

 そう?


「うん」

「きゃん!きゃん!」

 じゃあ、頑張る!今から走る!


 僕はリアと一緒に走り出した。



 僕が疲れてヘロヘロになったころ、お昼休憩の場所にたどり着いた。

 アルが結界を張るみたいだ。

 何回か挑戦しているが、周りを魔力で囲んでは、崩れ、囲んでは崩れで大変そうだ。


「結!」


 何回かの挑戦のあと、端っこの方がいびつだが、一応、魔力で囲まれた空間ができた。


 そこでお昼ご飯を食べる。

 食後は低い木の枝に飛び乗る練習をした。


 午後からも馬車の隣を走る。体力をつけるのだ!っと思ったが、頑張りすぎと言われ、レンさんに回収された。やりすぎもよくないらしい。

 無理しなくても大人になれば体力はつくらしい。

 馬車に戻って体に魔力を行きわたらせる練習をすることになった。


 夕方には次の街が見えてくるはずだ。今日はその街に泊まる。どんなところかな。楽しみだ。


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