第5話最初で最後

補習が終わり俺はあのベンチへ向かった、そこには彼が最初にいた、「来たね」と振り向かずに言う、彼はいつにも増して悲しい顔をしているような気がしていた。「薄々気づいているでしょ?僕なんだ今年は」と彼はこちらに振り向き俺に言った。君は苦しそうにしていた。助けたいその一心で彼に抱きついた、彼は驚いた顔をしたが、抱き返してくれた、嬉しかったこのまま時が止まればいいと思った、俺は彼にそっとキスをし、彼を離さぬよう消えてしまぬよう優しく包み込んだ。「あなたが好きです、だから行かないでください」「ありがとうでもごめんもう決まったことなんだ、僕も好きだよ」お互いの肩に雫を感じながら抱きあった、彼が言うには今日の夜に消えてしまうらしい、知りたくなかった、昔のことも、生贄も、彼のことも、きっと君はそれ以上自分自身の事を教えてくれないのだろう、いや知らない方がいい、これ以上君を忘れられなくなってしまうから、好きだ、好きだ、好きだ、この感情はもう伝えられなくなる、夜が来る、君は木の向こうにある小さな祠へと向かった、最後に僕にキスをし「ありがとう好きになってくれて、本当にありがとう、好きだよ朔」彼の体が光り出す、まるで神様のようだ、君は光になり星空へと消えていった、あぁもう会えないんだ、たった2日の君との思い出、きっと俺は忘れられないんだろう、一生。俺はそれでもいい、君に会えたことを後悔はしない、君の存在は俺の中で居続ける。今日も俺は3階にある教室の窓からあのベンチを見続けるんだ。

ある夏の日男子生徒が自転車に跨り暑いいなか横断歩道で青になるのを待っている、3階にある教室に男子生徒は向かう、そして2人は出会う、物語は繰り返されるのだろう、いつまでも、いつまでも、終わりはしない、いつまでも待っている君のことが知りたくて、だから君の事を教えて。

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君の事を教えて 岩井あんず @Azusa8242

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