第120話キンモクセイ

キンモクセイの香りを感じる雨の朝、バスに乗り職安に向かった。

知らない電話通知があったので、リュックの中の筆箱を探した。


無い


どう探しても、見つからない。あの筆箱の中には実印と印鑑証明書が入っている。

僕は焦った。仕事探しより筆箱探しの方が重要だ。金山までバスに乗り。金山のターミナルから戻った。

部屋に上がると、テーブルを探した。

無い。

床に落ちてないか探した。

無い。

まさか、他のバッグに入っているのでは?

あった。

ホッとした。この前の面接で使用したバッグに筆記用具を準備していったのだ。

安心した。今日は雨だ。晴れの明日の方がいいA型施設と出会えるかも知れない。


キンモクセイも、ギンモクセイも秋の訪れを香りで教えてくれる。

まずは、筆箱が見つかっだけで良しとする。

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